『君の名は。』は現実に起きる!? ある日突然、隕石衝突はありえる! 東大教授・杉田精司インタビュー

『君の名は。』は現実に起きる!? ある日突然、隕石衝突はありえる! 東大教授・杉田精司インタビュー

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  7月19日に全国で公開される新海誠監督の最新作『天気の子』のプロモーションとして、6月30日今夜、テレビ朝日系で『君の名は。』が放送される。『君の名は。』は、米「Gizmodo」が発表した2017年ベスト映画ランキングでは、『スターウォーズ/最後のジェダイ』、『ワンダーウーマン』を抜き、1位に選ばれた押しも押されぬ名作映画だが、物語の中で重要な役割を担うヒロインの友人が雑誌『ムー』の愛読者という設定で、『ムー』を広げ、アカシックレコードやエヴェレットの多世界解釈について書かれたページを見せるシーンが登場するなど、オカルト色の濃い作品でもあった。そして、新作の『天気の子』の主人公も東京へ家出をして怪しげなオカルト雑誌のライター業に勤しむ男子高校生と、祈ることで天気を変えることができる少女というオカルト色の強い設定であるため、オカルト界では“新海誠監督は、間違いなくこっち側(オカルト)の人”と色めきだっている。

 ちなみに、かつては日本でも、念じることで雲を消すおじさんがよくテレビに出ていたが、天候操作はオートマキネシスといって、比較的多くの能力者が実践できる能力でもあり、熟達すると雲を消すだけでなく製造する能力も身につくことで知られている。おそらく新海誠監督はそうしたオカルト的事例を調べ尽くした上で『天気の子』を製作していると思われるが、『君の名は。』も徹底的に隕石墜落やパラレルワールドに関すしてリサーチされた上で製作されたものだった。

 というのも、『君の名は。』の設定のようにある日突然隕石落下によって街が消滅する可能性はあるというのだーー。

 今夜の放送にあわせて、過去に東京大学理学系研究科地球惑星科学専攻の杉田精司教授(比較惑星学)にインタビューした記事を再掲する。

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 降り注ぐ汚染物質、大気圏に空いた穴、歪む重力、エイリアンの侵略、太陽嵐による電力・通信網のダウン、忍び寄る病原菌、核戦争の脅威……。トカナが日頃から指摘してきたことであるが、現在の地球はこのように人類滅亡につながる大災害のリスクに満ちている。そして昨今、各国が特に対策に力を入れはじめた“地球存亡の危機”こそ、巨大隕石の衝突だ。

 巨大隕石の衝突による地球の死――それは、私たちの意思や希望などお構いなしに発生し得る不可抗力といえる。ある日突然、すべてが終焉を迎える事態は本当に起きるのか?

 真実を探るため、今回トカナはヒストリーチャンネル(スカパー!やケーブルテレビなどで視聴可能)の新番組『人類滅亡の日 〜世界が終わる10のシナリオ〜』に専門家陣の一人として登場する、東京大学理学系研究科地球惑星科学専攻の杉田精司教授(比較惑星学)にインタビューを敢行! 気が遠くなるほどのスケールで人類に迫ってくる宇宙の謎と脅威に、最前線で立ち向かう日本を代表する科学者は、いったい何を語ったのか!?

■隕石衝突による地球滅亡は現実的危機か?

――杉田教授、本日はトカナのインタビューをお受けいただき、誠にありがとうございます。まずは単刀直入にお伺いします。果たして巨大隕石による人類滅亡について、現代を生きる私たちは本当に危惧すべきなのでしょうか?

杉田精司教授(以下、杉田)  客観的に(隕石に関するさまざまなデータ上の)数字だけを見て考えれば、私たちが生きているうちに文明が破滅するような衝突が起きる可能性を必要以上に騒ぎ立てて、怖がらなくてもよいのではないかと思います。

――えっ! では、現時点でそこまで対策を練る必要はないということですか?

杉田  実は、そうでもありません。ほぼ起きないだろうと思っていても、それが突如として起きることもあるわけです。私がそのことを実感したのは、まず東日本大震災です。

 学生時代のことですが、数百年前に東北を巨大な地震と津波が襲ったという話をたしかに耳にしていました。しかし、地震を研究していた仲間は、そのような規模の災害は数千年単位で起こるだろうから、私たちが生きているうちに再び起こることはないだろうと考えていたのです。そもそも、かつて本当に東北でそれほどの災害があったとは言っても、今となってはよくわからないはずで、それに本気で対策を講じていたら、いくらお金があっても足りないだろう、と。

――しかし、まだ起きないと思っていたことが、現実に起きてしまった……。

杉田  それから、2013年のロシア・チェリャビンスクでの隕石落下も同様です。幸いにも死者は出ませんでしたが、千を有に超える数の人々が負傷しています。あれは人が死んでもおかしくない事態だったと思っています。当時は、こんなことが起きるのか、という率直な感想を持ちました。

2013年、チェリャビンスク州の隕石落下(隕石の軌跡)
画像は、「Wikipedia」より引用

 破片となる前の隕石の大きさは直径20mもなかったと推定されていますが、これがもし50mだったとしたら、エネルギーの大きさは一桁も大きくなります。1908年のツングースカ大爆発の例もありますし、起きないと思っているからといって、決して馬鹿にすることはできないのです。

――では、やはり私たちは何らかの対策を練らなければならないと!?

杉田  結局のところ、どこまで心配するべきかという話に戻ってくるわけですが、それはほとんど起こらないかもしれない大災害に対して、どれだけ予算を投じて対策を講じるかという話にほかなりません。いま可能なことを、できる範囲で行うべきなのでしょうね。

■人類はどれくらいの隕石を把握しているのか?

――トカナでも報じているのですが、今年1月に「2017 AG13」という隕石が地球にかなり接近し、ギリギリのところ(地球から月までの距離の半分)をかすめていったにもかかわらず、NASAが事態を把握したのはわずか24時間前だったというニュースがありました。いったい世界各国の宇宙機関は、地球に接近する可能性がある隕石について、どれくらいしっかりと把握しているのでしょうか?

杉田  それは大きさによって異なります。もしも衝突した場合にほぼ間違いなく生命が滅亡すると思われる直径10km以上の隕石については、すべて調べ尽くしています。それよりも小さく、しかし破滅的な被害をもたらす1km以上の隕石も、だいぶわかっているのです。ただ、直径100mや50mのレベルになると、見つかっていない隕石は数多くあります。先程述べたチェリャビンスクでの隕石と同レベル、直径10〜20mとなれば、私たちが知らないものがほとんどです。

――それはつまり、映画『君の名は。』のように、ある日、突然の隕石落下でひとつの街が消え去ってしまうような大災害が起きることは……

杉田  現実に“ある”ということです。確率は1万年に1度ほどですが、ゼロではありません。

つづく

※インタビュー第2回(2月19日18:00配信予定)では、杉田教授が「はやぶさ2」の驚愕極秘ミッションについて明かす!

<東京大学 杉田精司 教授 プロフィール>
東京大学大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻宇宙惑星科学講座
惑星の起源と進化を理解するため、室内実験と惑星探査の両面から研究を実施。室内実験では、惑星初期進化で支配的な役割を果たした小天体衝突の機構解明に注力。地球の基本形が作られた地球集積期やその直後の時代の表層環境の解明が目的。2014年に打ち上げられた「はやぶさ2」計画では、可視分光カメラの責任者を務めている。

「人類滅亡の日〜世界が終わる10のシナリオ〜」
2月20日(月)〜24日(金)23:00〜25:00他  CS放送・ヒストリーチャンネルにて放送!
あわせて、世界の終末にまつわる計6番組を「アルマゲドン・ウイーク2017」と題して特集放送! 番組詳細は公式HPまで!
公式HP http://www.historychannel.co.jp/rec/1702_01/
視聴方法 http://www.historychannel.co.jp/howto/

動画は、「ヒストリーチャンネル? 日本・世界の歴史&エンタメ」より

地球や宇宙の歴史から未来に焦点を当て、人類が滅亡する10の可能性とその原因を世界的研究者たちが科学的に検証し、最新CGとドラマを織り交ぜながら、誰にでもわかりやすくリアルにシミュレーションしていく大型ドキュメンタリーシリーズ。

#1 巨大小惑星の落下 2017/02/20(月)23:00
#2 急接近!ブラックホールの脅威 2017/02/20(月)深夜 00:00
#3 浮遊惑星の衝突 2017/02/21(火)23:00
#4 核戦争の悪夢 2017/02/21(火)深夜 00:00
#5 太陽嵐による電力システム崩壊 2017/02/22(水)23:00
#6 地球規模の大噴火 2017/02/22(水)深夜 00:00
#7 ガンマ線バースト 2017/02/23(木)23:00
#8 急接近する太陽の脅威 2017/02/23(木)深夜 00:00
#9 エイリアンの侵略 2017/02/24(金)23:00
#10 海流停止による大災害 2017/02/24(金)深夜 00:00

(取材・文・写真=編集部)