「ブラックホールの放射線が生命を創造した」ハーバード大が新説発表! 宇宙と生命誕生の新概念「銀河ハビタブルゾーン」とは!?

「ブラックホールの放射線が生命を創造した」ハーバード大が新説発表! 宇宙と生命誕生の新概念「銀河ハビタブルゾーン」とは!?

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 宇宙の墓場であるブラックホールが意外なことに生命の誕生に関わっていた!? 我々のイメージを覆す最新研究が注目を集めている。

■生命が育まれる“銀河ハビタブルソーン”とは

 いったんその勢力圏に入ってしまえば恐怖と絶望しかない“宇宙の墓場”であるブラックホールだが、なんとも意外なことに生命の誕生に深く関わっているかもしれないというから驚きだ。文字通り“ブラック”なイメージが強いブラックホールがいったいどのようにして生命を育むというのか。

 そこに生命が存在する可能性のある惑星を探す時に重要だと考えられているのが「ハビタブルゾーン」(ゴルディロックスゾーン)の割り出しである。生命にとって生息可能な環境であるハビタブルゾーンとは、恒星との距離が地球のように暑すぎず寒すぎない絶妙な距離にある一帯だ。存在する水の大部分が液体の状態であることもハビタブルゾーンの条件である。

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 科学者たちは目下、地球外生命体を探求すべくこのハビタブルゾーンに位置すると思われる惑星を入念に調べ上げているのだが、その折にハビタブルゾーンと並ぶ新たな“モノサシ”が登場したかもしれない。それは何とも意外なことに大質量ブラックホールからの距離である。

 米・ハーバード大学の研究チームが今年5月に「The Astrophysical Journal」で発表した研究は、ブラックホールが“宇宙の墓場”であるという認識に異議を唱えるものになっている。確かにすべてを飲み込むブラックホールではあるが、その一方で、ブラックホールこそが生命の誕生を強力に後押ししているというのだ。

「これまで人々はもっぱらブラックホールの有害な影響について話してきました。私たちもブラックホールが放つ放射線がどれほど有害であるかを再検討したいとの思いで研究に取り組んでいましたが、その一方でポジティブな影響があるのかどうかについても吟味したのです」と研究チームのマナスヴィ・リンガム氏は科学系メディア「Live Science」 に語っている。

 研究チームが想定している放射線は正確には大質量ブラックホールを中心に擁する活動銀河核(active galactic nuclei、AGN)から放たれる放射線のことだ。

 そして研究チームはこのAGNについてコンピュータモデルを作成し、大質量ブラックホールを囲む銀河系レベルのハビタブルゾーンである“銀河ハビタブルソーン”を割り出した。この銀河ハビタブルゾーンに位置する惑星にもまた生命が育まれる可能性があるというのだ。

■弱まった放射線が生命の誕生にポジティブに働く

 AGNから放たれる放射線の影響が及ぶ範囲内にある惑星は当然ながら住めたものではなく、生命が生息できる余地はない。この範囲は“デッドゾーン”と呼ばれ、銀河の中の荒涼たる不毛のエリアであると認識されてきたのだが、研究チームによれば、この放射線の影響が弱まるエリアまでくれば、生命が誕生する可能性が生まれてくると説明している。

 天の川銀河の中心部に位置する「射手座A*(いてざエー・スター)」は、AGNと同様の構造で中心に大質量ブラックホールがあり強力な放射線を放っている。これまでの研究で射手座A*のデッドゾーンはブラックホールから半径3200光年の範囲と考えられてきたのだが、今回の研究チームの試算によれば、真の意味でのデッドゾーンはせいぜい中心から半径100光年の範囲内に収まるということだ。

 そしてこの真のデットゾーンから少し離れていれば惑星の大気は無傷のまま保たれるという。しかも弱まった放射線が大気中の分子を分解し、生命の誕生につながる化合物を生成するというのである。たとえば光合成を行う生命が登場すれば大気中の酸素も増えていくことにもなる。

 こうして放射線のネガティブな影響が、この銀河ハビタブルゾーンにおいては一転、生命の誕生にポジティブに働くということになる。つまり生命が存在する惑星を探す場合、まずは銀河ハビタブルゾーンを割り出し、そのエリア内の恒星系のハビタブルゾーンを特定するという2重の“絞り込み”で地球外生命発見の確率が高められるのだ。

 “宇宙の墓場”であるブラックホールが実はその影で生命誕生を手助けしているのだとすれば、恐怖と絶望の象徴から予期せぬ“イメチェン”を果たすことになるのかもしれない。

(文=仲田しんじ)

※画像は「Wikipedia」より引用