普通以上デブ未満の“たるんだ腹”がアメリカで流行の兆し! シックスパックはもう古い、しかし注意点も…

普通以上デブ未満の“たるんだ腹”がアメリカで流行の兆し! シックスパックはもう古い、しかし注意点も…

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 ぽっちゃり男性の人気が加速している――。引き締まったアスリート体型の男性よりも、少しばかりお腹が緩んだ“お父さん体型”の男性の人気がこのところ高まっているという意外なデータが公表されて話題を呼んでいる。

■“お父さん体型”の好感度がアップ

 時代は“お父さん体型”なのか? 見た目も言動も男らしい“マッチョ”というコンセプトの発祥の地であるアメリカで、どういうわけか少しばかりぽっちゃりしたお父さん体型の男性の人気が年々高まっているという。いったいどういうわけなのか。

 しかしこのトレンドは今に始まったわけではない。さかのぼること2015年にアメリカ人女子大生のマッケンジー・ピアソンさんがオンラインコミュニティ「Odyssey」に寄稿した記事でお父さん体型(dad bod)の男性の魅力を力説。「安心感がある」、「抱きしめると気持ちいい」魅力ある存在として一躍このお父さん体型の男性に脚光が当たるようになったといわれている。

 お父さん体型はその名の通り“父性”を象徴するものであるという認識も広まっていて、この“父性”こそが女性に安心感を抱かせる要素となっているようだ。

 食事や健康にあまり気を使わない独身時代よりも、結婚して父親になってからのほうが健康的な生活を送れそうなのだが、2015年の研究では、父親になるとそれまで食べてこなかった種類の食べ物(デザートや菓子類など)を口にする機会が増え、また子どもの食べ残しを処分するケースも増えて体重増のリスクがわずかに高まることが報告されている。

 お腹のあたりが気になってきた世の中年男性からすれば、お父さん体型人気は胸をなでおろすような、元気づけられるようなトレンドといえるのかもしれないが、さらに驚くべき(!?)は、なんとその人気が絶賛上昇中だというのだ。

 アメリカのフィットネスジムチェーン「プラネットフィットネス(Planet Fitness)」はここ3年、毎年お父さん体型についてのアンケート調査を行っている。そして今年の調査結果を昨年(2018年)と比較したところ、お父さん体型の人気と好感度がさらに高まっていることが判明した。具体的には下記の通りだ。

1.お父さん体型の肯定感が上昇している。

●自分の体型に幸せを感じている:今年79%、昨年64%
●この体型が生活を何らかの形で向上させている:今年72%、昨年62%
●お父さん体型でよりリラックスできる:今年46%、昨年37%

2.お父さん体型で自尊感情(自尊心)が向上している。

●お父さん体型は自分を受け入れるのに役立った:48%
●お父さん体型になって外見にあまり関心を持たなくなった:47%

3.お父さん体型で自信が高まった。

●お父さん体型の人物は自分の肌に自信を持っていると思う:78%
●お父さん体型は魅力的:今年65%、昨年57%
●お父さん体型はセクシー:今年61%、昨年51%
●お父さん体型は新たな“シックスパック”:今年51%、昨年41%

 シックスパックはご存じのように見事に割れた腹筋のことで、これまではマッチョな肉体美の魅力のひとつとして認識されてきたが、そのシックスパックの地位が今や“ビール腹”に脅かされているのだ。ともあれ意外やお父さん体型の好感度は高まり続けているのである。

■油断していればアッという間に肥満体型に

“ビール腹”のお父さん体型が意外にももてはやされる事態を迎えているわけだが、ひとつ疑問なのはフィットネスジムチェーンが行ったアンケートである点だ。この結果は、人々がシェイプアップしたボディを目指して通うジムの運営に響くのではないかといらぬ心配が頭をよぎらなくもない。お父さん体型のままでいいということになれば、少なくない数の男性会員がジム通いをやめてしまっても不思議ではないだろう。

 しかしそこにはジム側のしたたかな計算(!?)もありそうで興味深い。実は最近になってこの「プラネットフィットネス」のジム内には「ジャッジメントフリーゾーン(judgement-free zones)」という区画を設けて、どんなレベルの会員でもプレッシャーを感じたり、ストレスを感じたりすることなく運動ができる環境を整えているのだ。この区画では、たとえば筋肉や体型を見せつけるような服装が禁止されていたり、筋トレ中に気合を入れるための掛け声を上げるのを禁じていたりするのである。

 つまり必ずしも本気で頑張らなくてもいい“ユルい”区画を設けることで、運動が苦手な中高年や女性の初心者にも気兼ねなく利用してもらうことを狙っているのだ。

「ジャッジメントフリーゾーンのあるジムとして、私たちは体型に関係なく、すべてのメンバーに快適な環境を提供できることを誇りに思います」と同社副社長であるジェイミー・メデイロス氏は語る。

 あの手この手のマーケティングに余念がないフィットネス業界だが、お父さん体型でも気にすることはないと高をくくってしまうのはやはりよくないようだ。お父さん体型でも油断していればアッという間に肥満体型になってしまうのは目に見えている。

 2018年の研究では、55歳以前に中程度の体重増(2.3〜10キロ)で早死につながる慢性疾患を発症する可能性が高くなることが報告されている。さらに、一度体重を増やしてしまうと負のスパイラルに陥りやすくなり、ますます体重を増してしまいがちになるという。

「医師は、2型糖尿病、心血管疾患、がん、および早死のリスクが高いことを含む、体重超過の危険性について患者に助言する必要があります」と米・ハーバード公衆衛生大学院の研究員、シルパー・ブーパティアージュ氏は金融ビジネス系メディア「MarketWatch」に話している。あくまでも好感度高めなお父さん体型の範囲内でキープしておくことが肝要のようだ。

参考:「Big Think」、「Odyssey」、ほか