【千本釈迦堂】鼻が陰核、口が女性器、顔は醜女…日本人が知らない自殺した「おかめ伝説」人形コレクションがヤバい!

【千本釈迦堂】鼻が陰核、口が女性器、顔は醜女…日本人が知らない自殺した「おかめ伝説」人形コレクションがヤバい!

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 特定の物品を収集して展示しているといえば、すぐに博物館が思いつくだろう。

 僕は博物館が大好きでしょっちゅう足を運ぶが、中には博物館ではないけれど収集展示している施設もある。

 今回は、そんな収集&展示をしている寺院と神社を紹介したいと思う。

【その他の画像はコチラ→https://tocana.jp/2019/07/post_104937_entry.html】

 まずは、京都市上京区にある大報恩寺だ。千本釈迦堂の愛称で親しまれている。鎌倉時代初期に建てられた大変歴史のある寺院だ。京都市に現存する最古の仏堂遺構であり、国宝に指定されている。

 本殿に併設された『霊宝殿』には、木造六観音像六躯が安置されている。六観音とは六道(天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道)に迷う人たちを救うとされる観音様だ。聖観音、馬頭観音、千手観音、十一面観音、如意輪観音、准胝観音の観音像が、セットで揃っているのは大変珍しい。他にも釈迦の木造十大弟子立像もフルセットで揃っている。実際に拝観したが、それはもう見事だった。写真は禁止なので、ぜひご自分の目で確かめて欲しい。

 だが「お寺に観音像があるのは当たり前じゃんか?」という声が聞こえてくる。もちろん僕が紹介したいのは、仏像ではない。

 千本釈迦堂大報恩寺には、とある伝説があり、その伝説にちなんだ物品が展示されているのだ。

 その伝説とは『おかめ物語』である。

 千本釈迦堂の本堂を建立する際の大工の棟梁だった長井飛弾守高次は、優秀な職人であり造営工事は着々と進んでいた。しかし“千慮の一失”大事な柱の一本を間違えて短く切り落としてしまった。

 凹んでいる夫を見た、妻 阿亀(おかめ)は、古い文献を見てひらめき、

「斗きょうをほどこしてはどうか?」

 と提案した。斗きょうとは、切った木材を組む技法である。結果として、斗きょうを作った造営は大成功して見事な大堂の骨組みができあがった。

 しかし阿亀は、

「女の提言を受けて作ったというのが世間に聞こえては、印象が悪いだろう」

 と思って、自刃して果ててしまった。

 高次は、上棟式の日に阿亀の面を御幣(ごへい・棒にサラサラの紙が貼ってあるアレ)に飾って完成を祈ったと言われている。

 境内には、宝篋印塔(ほうきょういんとう)が建立されて『おかめ塚』と呼ばれるようになったという。

 現在の感覚だと「なんも死ななくたっていいじゃない」と思ってしまうが、なんと言っても鎌倉時代の話である。800年くらい前の話だ。

『#metoo そんなんで死ななきゃならない社会がおかしい。日本は昔から間違っている』

 とかつぶやかないように。

 現在でも京都周辺では上棟式の際に、おかめの面を飾るならいがあるそうだ。

 昭和54年には、阿亀の大像が造立された。

 大きく福々しい像はかなりインパクトがあるが、しかしまあこれもお寺なら常識の範囲内ではある。

 見ものなのは本堂内にある『おかめ人形展』である。

 さっそく受付にて拝観料大人600円を払って中に入った。ちなみに、先に紹介した霊宝殿へも拝観料内で入場することができる。

 会場にはガラスケースが置かれて、ズラーッとこれでもかという量のおかめ人形が並べられていた。信徒さんから寄付されたものを、ショーケースに入れて並べているそうだ。

 正直、今まであまりおかめについて真剣に考えたことはなかった。ひょっとこの相方、醜女のお面、くらいに考えていた。

 実際調べてみても諸説が入り乱れてよくわからないのだが、つまり福々しく太った女性の人形である。本来は「楽しい気持ち」「愉快な心持ち」になるよう作られた人形なのだろうが、たくさん並んでいると正直とても怖かった。

 見ているといくつかのパターンがあることが分かった。

 まずは、極端な醜女の人形だ。そもそもおかめと言えば醜女だが、より醜く造形されている。太っているだけではなく、顔面の真ん中が凹んでいるものも多い。トムとジェリーのトムが、殴られた後のようなありさまだ。

 また太りすぎて道端に落ちて溶けかけているアイスクリームのような形状のおかめも多い。色が真っ黒だったり、タヌキだったりする物もあった。

 醜い置物を置くことには、厄払いの意味があるのかもしれない。鬼瓦やガーゴイルに近いものを感じた。

 そしてエロスを全面に押し出している作品も目についた。

 一番ライトなエロは、子宝系のおかめである。豊満な乳を放り出して、赤ちゃんを抱いている。ただただ乳を出している像もある。顔はやはりとてもブサイクに作られていて、「誰得な置物だよ?」とも思う。

 そして、よりストレートに生殖器にまつわったおかめ像も多い。一番目立つ場所に設置されているおかめ像の手には立派な男根が握られて微笑んでいる。

 持つだけでは飽き足らず、裸になって巨大ペニスにまたがっている像もある。まるでバナナボートを楽しむリア充のようだが、あくまで顔はおかめである。

 そしておかめ本人が、ペニスの形態になっている像もあった。女であるおかめがペニスになってしまうのはどうなんだ? という話だが、まあそこまで深く考えてはいないのだろう。

 おかめの顔が女性器になっている像もあった。鼻がクリトリス、口が女性器、ほっぺたが尻になっている。このシリーズは、たまに秘宝館的な場所でも売られているのを目にすることがあるが、ただた気持ち悪い造形である。男性器、女性器どちらも併せ持つトックリもある。口が女性器で髪型が男性器になっている。おかめと言われればおかめだけど、パッと見はただのバケモノである。仮面をとったプレデターに近い。

 エロ系は多かったが、ただ具体的に性行為をしている像は一体しかなかった。座っているおかめと、おかめに寄り添い下半身をまさぐろうとしている男の二人の像なのだが、あまりにもおかめの表情が無表情でこわかった。おかめと知らなかったら、相撲取りのホモセックスのように見えたかもしれない。

 他にも、お面や瓦などおかめのグッズを山程一生分見ることができた。

『おかめ』を展示してあるお寺を紹介した後は、『イノシシ』が展示してある神社を紹介したい。

 こちらも京都市上京区にある『護王神社』だ。京都御所のすぐそばにある、小さな神社である。

 足を運んでみると、まず狛犬ではなく狛イノシシが神社を守っていた。境内の外と中に、2セットの狛イノシシが設置されていた。

 手水舎(手洗い)の普通だったら水を吐く龍の置物が置かれている場所にも、イノシシの置物が置かれてチョロチョロと水を吐いていた。イノシシが水を吐いてるって、ちょっと生臭い感じがする。

 なぜ、この神社がイノシシ推しをしているか? と言えば、やはりイノシシにまつわる伝説があるからである。

 奈良時代〜平安時代の貴族、和気清麻呂は悪漢に襲われて足の筋を切られてしまった。悪化して歩けなくなってしまった清麻呂だが、輿に乗って宇佐八幡に立ち寄ることにした。豊前国(福岡県東部)にさしかかった時、清麻呂の前に300頭のイノシシが現れた。

 そして、そこから宇佐八幡に着くまでの40キロの間、輿の周りを守りながら道案内をしてくれた。そして宇佐八幡に到着すると、イノシシたちは去っていった。

 その出来事の後、清麻呂の足の痛みは消え、そして歩けるようになったと言われている。

 ……という、絵面を思い浮かべるとなかなかワクワクする、『もののけ姫』のワンシーンのような伝説がある。

 護王神社は、和気清麻呂を祀っているので、狛イノシシはじめ、たくさんのイノシシの像が建てられているのだ。

 鳥居の横には『いのししコレクション展示中:全国から奉納された珍しいいのししを展示しています。お気楽にご覧下さい。』とかわいいイノシシのイラストの看板が出ている。

 中に入ると、とても巨大な絵馬が飾ってあった。真ん中にはイノシシの絵が描いてある。平成三十一年はちょうど亥歳だったので、大きく祀ってあるのだ。

 教育勅語の書かれたボードと国旗が貼られた右っぽいゾーンには大小様々な剥製のイノシシが並んでいた。そして剥製の前では、枯れ枝で作られたイノシシが置かれていた。しばらくイノシシと気が付かず、壊れたホウキの先かと思った。

 そして境内の奥にはもうひとつ、手水舎があった。こちらもイノシシがいるが、よりマンガチックな雰囲気のイノシシだ。

 その周りには、祈願が書かれた紙が大量に貼られている。

 和気清麻呂の足が治ったのが基本にあるので、『足腰の病気怪我平癒』『足腰の健康』を祈っている人が多かった。

『ヤスちゃんの右足が早く完治して下さい』

『一日も早く歩けるようになりますように』

 と真剣に祈願しているものが多かった。

 そして社務所の外には『いのししコレクション』が設置されている。

 ガラスケースの中にはズラーッとイノシシが並んでいる。これまたすごい量だ。

 ただ、おかめのようにエロいもの、面白い物はほとんどなかった。

 亥歳の人形が最もたくさんあった。亥歳に生産されたイノシシの絵がプリントされた、ウイスキーなども展示されていた。キーホルダーやお守り、食器などの小さいものも、ワチャワチャとまとめて置かれていた。

 置物の中にはかなり大きい物もある。買ってしまったものの、どうしようか困ってしまったのかもしれない。もしくは親族が亡くなった後に部屋から出てきて困ってしまい、神社に奉納した物もあるかも。熊が鮭を咥えている置物と近いものがある。

 ガラスケースの隣には、バカでっかいイノシシ像が展示されていた。イノシシは立ち上がり、WELCOMと書かれた札を持っている。

 なんだか間が抜けているが、外国の人は神社が好きだし、『いらっしゃい』という意思を示すのは悪くないかもしれない。他にもアーティストがチェーンソーで作ったイノシシ像も展示されている。神社とチェーンソーというのも、なかなか珍しい組み合わせである。

 電動のおみくじ機の横にもイノシシが設置されており『神代杉 なで猪』と札が出ている。みんなが触るので、磨かれてテカテカに光っていた。

 こうして護王神社では、イノシシ像を山程一生分見ることができた。

 博物館ほどは分類されていないし、解説もないが、大量のコレクションを見るというのは楽しいものだ。

 皆さんもおかめ&イノシシを一生分見たくなったら、京都市上京区の『大報恩寺』と『護王神社』を訪れて欲しい。

(文・写真=村田らむ)