生活保護の引き下げは違法? その背後にある不正受給の現状とは

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。「オピニオンCROSS neo」では、弁護士の三輪記子さんが“生活保護引き下げの是非”について述べました。



◆生活保護費引き下げの裁判で画期的な判決が…

生活保護の支給額が段階的に引き下げられたことについて、受給者が憲法に違反すると訴えた裁判で、大阪地方裁判所は減額を取り消す判決を言い渡しました。生活保護の生活費部分の支給額について、国は物価の下落などを理由に2013〜2015(平成25〜27)年にかけて最大で10%引き下げていました。

憲法25条では「生存権」について「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定めていますが、この生存権とは「国に対してやってくださいよという作為を求める権利」と三輪さんは説明。また、「最低限度の生活」に関しては最高裁などでさまざまな判決が出ていますが、それらを踏まえた上でも今回の判決は「画期的な判決」と称します。

そもそも今回の判決の背景には、2013年8月以降の生活保護引き下げがあり、その前年には強烈な「生活保護バッシング」がありました。そして現在、全国で生活保護費引き下げに関する裁判が行われていますが、昨年6月の名古屋地裁判決は原告の請求を認めず、今回の判決とは全く逆の結論になっています。

一部では生活保護の引き下げの要因と目されている「生活保護バッシング」ですが、その裏には「不正受給」の問題もあると指摘。しかし、2015年度の生活保護負担金は3兆6,977億円で、うち不正受給額は169億9,408万円。金額ベースでは0.45%とわずかで、三輪さんは「不正受給と言うと、お金を持っているのに不正に受け取ったイメージがあるが、実態は違う」と否定。さらに、「不正受給についても冷静にデータを見るべき」とし、「生活保護の捕捉率のほうが問題」と主張します。

◆大阪地裁では「違法」と判断された理由

では、なぜ生活保護に関する基準を引き下げたかと言えば、それは厚生労働省が独自の指数を使っていることに関係があると三輪さん。というのも、一般的な消費者物価指数で変化率−2.35%のところ、厚生労働省の基準では−4.78%。三輪さんは「要するにマイナス幅が大きくなるような指数を取り上げたのではないか。それは専門的知見に基づいたとは言えないということで違法と判断された」と解説します。

そして、「統計が不正に使われた際、それを正すのが訴訟・司法の役割」と明言し、「私たちも、生活保護で何が起こっているのかというのをもっと知るべき」と話します。

慶応大学特任准教授でプロデューサーの若新雄純さんは、生活保護は"ズルい”、"多すぎる”という議論が出る理由は「学校の先生が『人生は努力次第』と言い過ぎ」と指摘。なぜなら若新さんは「人生はほぼ運」と思っており、自身も運が良かったからいい仕事に出会え、税金を払えていると語ります。そんな自身の考えを述べつつ、「運悪くうまくいかなかった人を、手厚く保障する社会は当然」と言い、「自分が税金を払う側にいられることをありがたいと思わないといけないと、自分にいつも言い聞かせている」とコメント。

キャスターの宮瀬茉祐子は、自分が生活保護を受ける立場になったらという発想力の欠如を危惧。一方、MCの堀潤は、日本は生活保護や国民皆保険制度などがあるものの、「欧州の国々に比べると、国費投入割合が極めて圧縮されている」と示唆します。これに三輪さんも、「おっしゃる通り」と同意し、「生活保護にお金を使いすぎなんてことは全くない」と訴えていました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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