民主主義サミット開催…中国・ロシアら専制主義の脅威に世界、日本はどう対応していくべきなのか?

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月〜金曜7:00〜)。12月13日(月)放送の「フラトピ!」のコーナーでは“民主主義サミット”について深掘りしました。



◆アメリカ主催の民主主義サミット、その意義とは?

12月9日、10日の2日間、アメリカのバイデン大統領主催の首脳級会議「民主主義サミット」が開催。これは民主主義の再生を目指し、世界的連携を模索するもので、「専制主義からの防衛」や「汚職との戦い」、「人権尊重の促進」などがテーマに挙げられています。約110の国と地域を招待し、90以上が参加。中国、ロシア、イランなどは招待されませんでした。

まずは、"民主主義”と"専制主義”の違いについて解説。前者は人民が権力を所有するとともに権力を自ら行使する政治体制で、後者は国家の全ての権力が特定の個人や少数者に集中し、その意思のまま政治が行われる体制のことを指します。

現在は、中国など専制主義的な国が覇権を広げ、それを支持する国も少なくありません。そこでこの民主主義サミットでは民主主義的国家、いわゆる自由主義諸国が集まり、議論しようということが前提で、日本は今後どのような舵取りをするのか問われています。

こうした状況にNPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんは、まず民主主義国家と非民主主義国家について言及。現在、世界ではどちらの国が多いかといえば、非民主主義国家で「これは中国の存在が大きい」と指摘。というのも、中国は共産党の一党独裁体制のもと世界第2位の経済大国まで登り詰め、同じく一党独裁に近いシンガポールも経済発展しているため。

そして、「強権的な政治体制でもある程度の経済成長が成し遂げられるということは、発展途上国のリーダーからするとモデルにしやすいし、やりやすい。そして、経済成長するためという大義名分もできる」と各国が専制主義を追随する理由を語りつつ、一方で「表現の自由や人権、自由、法の支配といったことは民主主義のなかでないと実現できない」と民主主義の重要性を説きます。

ただ、今回の民主主義サミットに関していえば、大空さんは「民主主義の押し付け」のような感覚に違和感を覚えたと言います。現状ではバイデン政権は人気に陰りが見え、中間選挙も控えているだけに視線の先にあるのはアメリカ国内。さらには、「アメリカは民主主義の素晴らしさがわかると、それを押し付ける形でずっときた。しかし、その資格は今あるのだろうか」と疑問を呈します。

なぜなら、アメリカ国内では多くの差別が存在し、銃規制も進まず、議会も混乱し、一時は占拠されたことも。そのため、「アメリカが(民主主義を)押し付ける立場ではもはやないのに、それでも今回のように(招待国を)選んでいる。しかも、その基準も不明確。シンガポールも参加していなければベトナムも参加していない。押し付け型のものは限界にきている」と案じます。

◆日本は中国・ロシアとどのように接していくべきか?

今回、招待されなかった国の代表格が中国で、その大きな理由の1つに「人権問題」、特に新疆ウイグル自治区の問題があります。これはイスラム教徒の少数民族ウイグル族らに対する人権侵害の拡大で、アメリカ政府はジェノサイドと認定しています。また、台湾で中国が国際機関などから締め出す動きがあり、香港で民主派を弾圧する動きも強まっています。

米中対立も解決の糸口は見えず、2022年には北京オリンピック・パラリンピックも控えているなか、日本はどうしていくべきなのか。食文化研究家で株式会社食の会 代表取締役の長内あや愛さんは「人権問題に関しては、強く非難すべき」と言いつつ、「隣国であり、大国でもあるので、どういうメッセージを発信していくのか本当に難しい」と頭を悩ませます。

また、ヨーロッパでもロシアとウクライナの情勢が緊迫。ワシントン・ポスト紙によると、現在ロシアはウクライナ国境付近に9万人規模の部隊を展開し、2022年1月にはウクライナを侵攻する計画があるそう。

実際、ロシアは北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大が驚異だと主張しており、元来ロシア圏内にあったウクライナがEUと接近していることをロシアのプーチン大統領が許さず、強行的な姿勢に出ています。

一方でアメリカ、バイデン大統領は米軍の展開はないとしながらも、ウクライナに応援・支援という形で武器や弾薬を輸出しています。

中国だけでなく、ロシアとの関係も難しい立場に立つ日本ですが、大空さんは「ロシアのことでいえば、日本は北方領土問題を抱えているので、必ずしもNATOやG7の他の国々と協調する必要はない」と明言。そして、人権問題に関しては「外国での人権侵害に対して制裁を課せるようなマグニツキー法の制定が必要」と力説します。

これはG7では日本以外の国は制定されていますが、なぜ日本ではできないのか。大空さんは「外務省が頑なに反対している」と言います。その背景には先の大戦などもあり、日本は外国での出来事に介入することに抑制的だから。しかし、「これは持っていることと使うことは全然違う」と大空さんは言い、マグニツキー法を作った上でそれを外交のカードとして利用すべきと主張。「具体的な案という意味では、このマグニツキー法は議論してもらいたい」と訴えます。

なお、民主主義サミットの結果としては、1つは「輸出管理・人権イニシアチブ」。これは監視技術の輸出を管理する多国間枠組みで、人権侵害や反体制派の抑圧で監視技術の悪用を阻止するとして、中国やロシア、北朝鮮、ミャンマーなどが対象となっています。さらには「反汚職戦略を策定」。独立メディアや公正な選挙の擁護のため、最大4億2,440万ドル(約480億円)を拠出しています。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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