復興庁発足から10年、インフラ事業に孤独対策、原発問題…復興への道のりは今

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月〜金曜7:00〜)。2月14日(月)放送の「フラトピ!」のコーナーでは、発足から10年を迎えた“復興庁”について深掘りしました。



◆進む被災地支援、インフラ事業は一区切りしたものの…

東日本大震災からの復興において司令塔の役割を担ってきた復興庁が2月10日で発足から10年を迎えました。そもそも復興庁とは、被災地再生に向け、中央省庁と被災自治体を調整し、復興事業を推進。2021年12月には三陸沿岸道路の全線開通を受け、インフラ事業は一区切りとなっています。

そんな復興庁の予算は当初2兆9,037億円ほどでしたが、2022年度は5,790億円。2021年度と比べても-6.9%で、過去最少となっています。

予算規模の縮小は、それだけ整備されてきたとも言えますが、インフラ事業だけが復興ではありません。それこそ孤独の問題や生活習慣病の問題など課題は山積し、復興予算に関しても適正に消化されているのか問題視された時期もありました。

こうした状況にNPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんは「(インフラ事業などの)ハード面の復興がある程度区切りがついたことは事実だと思うが、ソフト面の復興はまだまだ」と注意を促します。

ソフト面の復興に関して大空さんは「避難生活の長期化による持病の悪化、そして自殺で亡くなった方が、東日本大震災では約3,700人いる」と災害関連死を挙げ、いわゆるメンタルヘルスに関する支援が不足していることを指摘します。

復興庁では「心の復興事業」を推進。民間の相談窓口が協力し、今なお福島・宮城・岩手の東北三県限定で公的な助成のもと自殺相談窓口を設けており、「相談は増え続けている」と大空さん。

事実、都道府県別の人口10万人あたりの相談率をみると1位は東京で、2位は宮城県。大空さんによると、宮城県は2015〜2020年の5年間における不登校の子ども数が日本で最多。そこに該当する子どもたちは幼少期に震災を経験しており、その影響はどこまであるのか未知数ではあるものの、心のケアは引き続き「やっていくべき」と主張します。

さらに、大空さんはこの事業が"交流”"地域作り”などに関していれば容易に助成金が出てしまうことを危惧。「自戒を込めて言うが、日本のNPOはとても理念的で定性的なことが多い」と言い、効果検証の必要性を示唆。「闇雲に交流や地域作りにお金を出し、何の効果検証もできていないのが今の復興庁のソフト面のやり方なので、ここは大きく転換していかなければいけない。これは100億円程度の予算、今の予算規模で十分できる」と復興庁のシフトチェンジを望みます。

◆復興への大きな障壁…進まぬ原発問題の現状

復興に関する今後の課題のひとつに「原発」があります。福島第一原発事故からの復興は道半ば。復興庁は当初2020年度末を期限としていましたが、10年間延長しています。そして、今後の予算の多くは原発事故からの復興に充てられるようで、西銘復興大臣は「福島の本格的な復興再生に向けて今後も国が前面に立つ」と述べています。

そんななか、福島第一原発では2月9日に新しい動きがありました。それは、一号機の原子炉格納容器でデブリの可能性がある堆積物が見つかったこと。デブリは極めて強い放射線を出すため人が近づけず、取り出しには30〜40年かかるとされています。また、今後は福島第一原発の処理水の海洋放出について安全性を検証するIAEA (国際原子力機関)の調査団が来日し、現地調査が行われる予定となっています。

株式会社POTETO Media代表取締役の古井康介さんは、こうした原発問題に対して「復興のその先に進んでいくことが重要」と言います。

例えば、2021年末でようやく約5割の営農再開を果たしましたが、次なる農家の問題は風評被害で、風評被害払拭のための予算は今、かつてのおよそ4倍まで増加。このように課題は次々に変わっており、それは原発も同じ。「処理水が溜まり、それを放出するとなればまた風評被害の話になる。科学的データ以外の話が先行し議論されていることは懸念すべきことで、どんどん復興のその先に進んでいけるのかという議論を進めていく必要がある」と古井さんは訴えます。

原発を巡っては、使用済み核燃料から再利用できるウラン、プルトニウムを取り出した後の高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のゴミ」を今後どうするのか。その受け入れ地に関する問題も大きな障壁となっています。

2020年11月には北海道の寿都町と神恵内村で調査が進んでいたものの、北海道としては次の段階の調査への反対を表明。

政府はここ数年、候補地に頭を悩ませていますが、大空さんは「(核のゴミを)受け入れたところはかなりの予算がつくのも事実で、首長は当然社会福祉の安定・充実化の思いのもと、受け入れを表明している」と各地の首長の悩ましい心中を慮ります。

しかし、その上で「街が完全に二分化されている」と今の状況を憂慮し、「極力コミュニティの分断が起きないところで決着していくことが重要」と大空さん。そして、「結局それは対話で生まれる。方向性・結論ありきではなく、首長を中心に対話から始めなければいけない」と問題解決に向けての考えを示します。

一方で、原発問題の解決に寄与する新たな技術「核融合発電」も生まれています。通常、原子力発電は核分裂を利用していますが、これは原子同士をぶつけて融合させ、そこで発生したエネルギーを電力に変換するもので、石油の8,000万倍以上の巨大なエネルギーを発生させることが可能。しかも、燃料は海水から無尽蔵に取り出すことができ、なおかつ核分裂反応に比べ比較的安全性が高いとされています。ただし、コストがかかるという問題もありますが、日米欧は2035年までに本格的な運転開始を目指しています。

世界中で次々開発が進むなか、こと日本は原子力関連の専門機関を作り、研究開発を続けているものの、リスク面を考慮しすぎ、アメリカやヨーロッパに後塵を拝しています。古井さんは「それはもったいない」と悔やみ、「核融合技術は日本は先んじていたが、政府の拠出も少なく、ヨーロッパに取られてしまったところがある。今後は日本の強みを活かし、新しい課題解決の方法を見つけてほしい」と期待を寄せていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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