「なぜ増税?」「増税分は何に?」“今さら聞けない”経済の疑問

今さら人に聞けない経済の初歩的な質問に答えていくTOKYO MX(地上波9ch)の情報バラエティ番組「おとこを磨く経済学」(毎週木曜19:58〜20:27)。11月29日(木)放送は「消費税上がるんだって!?」をテーマに、今こそ知っておきたい消費税のあれこれを、ニューヨーク州弁護士・山口真由さんがレクチャーしました。

日本で消費税が導入されたのは1989年。竹下登内閣によって導入され、消費税率は3%でスタートしました。その後、橋本龍太郎内閣時の1997年に5%へ引き上げられ、現在の8%になったのは2014年4月のこと。そして、2018年10月、安倍晋三首相は2019年10月に消費税率を10%へ引き上げることを表明しました。

消費税には「思い入れがある」という天野ひろゆき(キャイ〜ン)。というのも、「大学生時代にコンビニでアルバイトをしていて、消費税が導入されるまさにその日の夜中にバイトに入っていた」のだとか。深夜0時を超えてから来店した客に「俺(消費税を)取られんのかよ!?」と言われたそうですが、これには、雑誌「LEON」元編集長・西園寺薫も「俺が客だったら同じことを言ってたと思う(笑)」と一言。

そこで今回は、消費税の増税について議論していきます。


◆そもそも、なぜ“消費税値上げ”?

山口:そもそも、消費税を上げなければならなかった理由は何だと思いますか?

天野:高齢化社会で、医療費などがどんどん上がっているから……。

西園寺:社会保障費だよね。

山口:そうですね。社会保障費は毎年3兆円ほどが自然増しています。あと、プライマリーバランスの黒字化もよく言われていますね。

天野:プライマリーバランス?

山口:プライマリーバランスとは、1年間で、借入金を除いた税収などの歳入と、借入金返済のための元利払いを除いた歳出の財政収支を指します。つまり、その年の税金で、その年のサービスをどうやって運用するか。家計でいうと、その年のローンで借りてきた分とローンの利払いは除いて、その年の家庭の収入をどのように振り分けるかというイメージです。

天野:食費とか、教育費とかにね。

山口:毎年、自分たちだけの収入でやっていけるとすると、少しずつであっても債務を返していけます。そうなると、長期的に見たときに日本は少しずつ回復していくのかなと思います。だから、プライマリーバランスを黒字化するという目的で消費税の増税があるんです。でも「なぜ消費税なの?」と。日本には、 大きく分けて3つの税金があります。消費税のほかの2つ、何かわかりますか?

天野:えっと、所得税

山口:正解です。

西園寺:住民税?

山口:住民税は総務省で、財務省ではないんですよ。所得税は、働く人(個人の所得)に対してかかる税金ですよね。では、企業に対してかかる税金は?

天野:企業にかける……なんだっけ?

山口:正解は、法人税です。


【おとこを磨くポイント:消費税増税の理由】

「消費税」「所得税」「法人税」と種類があるにもかかわらず、なぜ消費税を増税するのでしょうか?
今後、少子高齢化により、働く現役世代が急速に減っていく一方で、高齢者は増えていきます。社会保険料など、現役世代への負担がすでに年々高まりつつあるなかで、社会保障財源のために所得税や法人税の引き上げを行えば、いっそう現役世代への負担が集中してしまいます。特定の人に負担が集中せず、高齢者を含む国民全体で広く負担をするには、消費税がふさわしいと考えられているのです。


◆消費税の増税は、やむを得ない?

山口:2019年10月には消費税率が10%になります。どう思われますか?

天野:このままだと日本は借金だらけで、社会保障費もなくなり、年金なんかも厳しくなって……というのはなんとなくみんなもわかっているので、「消費税であればみんな均等にとられるし、しょうがないかな」と思い始めて、だんだん上げているというところなのかな、と。

山口:さきほど話したプライマリーバランスですが、日本の年間の財政収支は10.6兆円ほどの赤字があると言われています。

天野:これ、家計だったら「やべぇな!」となっていますよね。

山口:もともと、負債は800兆円を超えていたんです。これがどんどん増えていくのが現状です。そして、消費税を10%まで上げて増える税収は約5.6兆円と言われています。そう考えると、(増税は)財政収支を黒字にするにも足りないんです。

西園寺:海外に行って仕事をしたり取引をしたりすると、先進国って(消費税が)17〜18%くらいが多いんじゃないかなって。あと、ヨーロッパだと、商品によって税率が違うのがレシートに書かれてたりするじゃん。

天野:必需品とそうでないのと、みたいな(分け方)ね。

西園寺:そう。そういうのを見ていると「日本は破産しちゃうんじゃねえか?」って思うようになってきたの。

天野:一般の方も、徐々にそういう意識になってきてるんじゃないかな。

山口:「自分たちのことばかり考えて、将来の子どもたちにツケを残すのはどうなんだ」と考えている方が増えてきているということなんでしょうね。では、消費税はなぜ反対が強かったか、覚えていらっしゃいますか?

天野:単純に、「今まで消費税がなくてやってこれてたのに、いきなり何なんだ!?」ってことじゃないですか?

山口:それもありますね。あと、逆進性の話をする人がいませんか?

天野:逆進性?

山口:所得税は、所得が上がれば上がるほど税金が高くなる累進課税です。「お金持ちから税金をとって、みんなに分配しましょう」ということ。それに対して消費税はみんなへの課税です。つまり「低所得者層の方には、重い税金になるのでは?」と。

天野:人間の心理と同じことだと思うんですよね。例えば、駐車違反。全員が罰せられるなら誰も文句言わないと思うんですよ。「たまたま俺だけが見つかったんじゃないか?」みたいなことがあるから解せない! やっちゃだめだけど!

西園寺:あはは。

天野:消費税は「みんなとられてるし……」みたいな。

山口:そういう意味では、消費税は平等ですよね。消費税は、働く世代にはいい税金かもしれませんが、所得がない高齢者世帯にはイヤな税金かもしれません。ただ、消費税には脱税をしにくい平等があります。

天野:その分だけ、本当に困っている人たちへの福祉が充実されればいいんですけど。

山口:消費税の逆進性対策として、軽減税率というものがあります。さきほど西園寺さんも海外での経験談でおっしゃっていましたが、低所得者層などみんなが買わなければならない食品は安く、贅沢品には税金を重くしましょうという政策なんです。この軽減税率、いいと思いますか? 悪いと思いますか?

天野:これは、線引きが難しいと思いますね。

山口:そうですね。食品には当てはまるけれど、外食サービスは贅沢だから当てはまらないということもありますから。線引きが極めて難しいんですね。

天野:外食のほうが安く済むこともある時代に「何を言ってるんだ!」と僕なんかは思いますけど。

山口:消費税を2%増税すると5兆円くらいの税収が入り、軽減税率により1兆円少なくなると言われています。これを何に使うかというと、社会保障費です。また、幼児教育・保育の無償化ですね。

天野:今は「子どもを産みたい!」と思っても二の足を踏んじゃう時代ですから、それは大事ですね。

西園寺:先進国のなかで一番子どもを産みにくい・育てにくいのって、僕は日本だと思うね。


【おとこを磨くポイント:増税分の使い道】

2017年度の税収は、総額およそ58.8兆円。そのうち、17.5兆円が消費税です。消費税は、目的が決まっている目的税ではなく、普通税という分類です。そのため、いろいろなことに使うことができますが、消費税が10%に上がった際の増税分の多くは、社会保障関係費に使われることが決まっています。これは、医療、福祉、介護、年金、生活保護など、私たちの生活と健康を守るために使われる費用のことです。


西園寺:今やらずにまた先延ばしにすると、国際的な信用度にも影響するでしょう?

天野:国民も「今やらなきゃまずい」と思っている方が過半数なら、やったほうがいいですよね。

山口:消費税は、すごく(国民の)抵抗が強い税制でしたけれども、最近は「しょうがないのかな」と思う方もいるかもしれませんね。きちんと景気対策をして、逆進性の問題にも対処したうえで、ある程度は……ということなのかもしれません。

天野:(消費税が導入されて)3%になったときほどの衝撃はないんじゃないかな。導入時はコンビニで主婦の方に「子どもに50円のアイスが買えないじゃないのよ!」って言われたなぁ(笑)。

次回、12月20日(木)の放送では「株取引」をテーマにお届けします。公認会計士の森井じゅんさんをゲストに迎え、株取引において知っておきたい仕組みやルールについて、「マザーズ」「株価指数」「NISA」など気になる用語にふれながら学びます。お楽しみに。

<番組概要>
番組名:おとこを磨く経済学
放送日時:毎週木曜19:58〜20:27
出演:天野ひろゆき(キャイ〜ン)、西園寺薫
番組Webサイト: https://s.mxtv.jp/variety/otoko_keizai/
番組Twitter:@otoko_keizai