購入弁当が「おいしくない」 東京・町田市で給食実施なるか?

育ちざかりの中学生の給食を巡って、東京・町田市で議論になっています。

中学校で“全員が給食を取る”制度を実施していない東京都内の自治体は、町田市や立川市など6つの市です。これらの自治体では、弁当を自宅などから持参するか、弁当を購入するかを選べる仕組みになっていますが、町田市は購入する弁当の利用率が14%程度で、他の5つの市に比べると利用率が最も低くなっています。そうした中、「弁当から『全員給食』に切り替えるかどうか」を決める町田市議会の本会議が開かれました。市議会が出した結論は──?

 給食のない東京・町田市の中学校で、自宅から弁当を持参しない生徒が購入する弁当については「おいしくない」「冷たい」など、生徒から不満の声も上がっています。町田市民からは「子どもが2人いるので、体調が悪い時、自分で弁当を作るのは大変だった」「義務教育なのだから、小学校と同じように給食制度にするべき」といった声や「デリバリー給食(弁当タイプ)の利用はない」「食べている子がいなかったので分からない」などといった声が聞かれました。

 町田市の中学校で弁当を持参しない生徒は、市が業者に外注する弁当である「デリバリー給食」を購入することができます。しかし、「デリバリー給食」の利用率は14%程度にとどまっています(2017年度)。利用をやめた生徒と利用していない生徒のアンケートでは、「冷たい・冷たそう」(50.7%)、「おいしくない・おいしくなさそう」(45.9%)といった声が上がっていることが背景にあります。

 この町田市の給食制度に対し、子どもを育てながら働いている母親たちが、全員で同じ給食を食べる制度に変えてほしいと求める署名を2万3000人分集め、市議会に請願しました。中学校給食の実現をめざす会の清水亜希子さんは「小学校給食と同じような給食を中学校でもやってほしいという請願。全く同じでなくていいから、小学校の時のような、温かくておいしい給食をみんなで食べられるようにしたい」と、願いを語っていました。

 この「弁当をやめて、市内の小学校と同じように『全員給食』にしてほしい」という請願は、市議会で議論されてきました。そして、市議会最終日を迎えた12月21日になっても、議会では賛成派と反対派による激しい主張が行われました。共産党の殿村健一市議は「学校給食法に照らして、町田市の学校給食の現状を見ると、全員給食への転換は急務だ」と、給食実施に賛成の立場を示しました。その一方で、自民党の熊沢礼里市議は「全員でなく、選択できるという、『選択したい』という人の気持ちを否定している」、保守の会の大西宣也市議は「普通、自分の子どもには最善の物を食べさせる。自分の家できちんとした食事を作って食べさせれば、この世の中で栄養不足などあり得ない」、諸派の新井克尚市議は「弁当を持たせたいと思っているのに、給食以外の選択肢を用意しない、一つの考えを押し付けるやり方はやめるべき」などと反対しました。

 また、諸派の矢口真由市議は「理想と行政の現実を、すり合わせして近づけていく必要がある」と述べました。反対する議員の中にも「重要なのは、これで議論を終わらせず、今後、中学校給食の在り方・食の在り方について、現実的な議論をすることが責任ある態度だ」(まちだ市民クラブの森本誠也市議)と、給食の課題を考える場を設けるべきといった声も出ました。

 そして採決の結果、今回の請願は否決されました。市の担当者は「まず施設を造るだけで107億円ほどかかる。ニーズにも合っているし、余計な財政をそこに投入することもないと考えている」(町田市教育委員会保健給食課・有田宏治課長)と話し、現実的な問題として財政面でのハードルがあるとしています。町田市は現在の仕組みのまま、試食会などを開き、購入する弁当の質を高めていく考えです。

 一方で、請願が否決された母親らのグループは今後も活動を続けて、市議会や市の職員の理解を得ていきたい考えです。