悪徳商法、AV出演強要…成人年齢引き下げとともに浮上するさまざまな問題点

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月〜金曜7:00〜)。4月4日(月)放送の「フラトピ!」のコーナーでは、“4月から変わる制度”について深掘りしました。



◆この4月から、さまざまな制度が変更に

4月から変わる主な制度としては、まずは民法で成人年齢が18歳に引き下げに。それに伴い、教育の分野では高校家庭科の授業で「金融教育」が開始。そして、医療面では不妊治療の保険適用が拡大されます。

また、働き方についてはパワハラなどを防止する「パワハラ防止法」が中小企業も対象になり、福祉では年金受給開始年齢が60歳から75歳に。環境面では、プラスチックごみ削減が制度化されることになりました。

生理への理解を広げる団体「#みんなの生理」共同代表の谷口歩実さんは、このなかで不妊治療の保険適用拡大に着目し「SRHRの中での不妊治療」を問いかけます。

保険適用拡大は喜ばしいことではあるものの、現状では産むことばかりがフォーカスされ、中絶の権利などの議論が深まっていないことを危惧。なお、「SRHR」とは性と生殖に関する健康と権利のことで「産む権利と産まない権利、両方セットで考える必要があると思うので、その文脈の中に不妊治療を」と切望します。

◆成人年齢引き下げにはらむ危険性とは?

一方、キャスターの田中陽南が注目したのは「成人年齢の引き下げ」。今回、これと同時にクレジットカードやローン、携帯電話の契約などが親の同意なく自由にできるようになりますが、18歳・19歳の当事者に取材してみると、期待と不安の声が。

実際の契約トラブルの心配を具体的に見ると、法律上、「未成年者取消権」という親の同意がない契約が取り消し可能な権利がありますが、今後18歳・19歳はその対象外になります。そのため、悪徳商法の標的になるリスクなどが格段に増加。

そこで金融庁は、18歳・19歳への消費者金融などによる貸し付けの監視を強化。貸金業者は、月に一度18歳・19歳への貸し付け金額と件数を報告し、若年者への貸し付けは、金額を問わず収入を示す書類を確認するよう促しています。

また、NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんが案じていたのは、アダルトビデオ(AV)への出演強要問題。これは、今まさに政府でも俎上に上がっており、緊急対策を取りまとめました。その内容は、SNSを活用し若者に周知すること。そして、出演強要の手口を公開し、注意喚起を行うこと。さらには、ワンストップ支援センターなど支援の強化です。

大空さんはこうした取り組みを評価するも、対策を講じるのが「遅すぎる」と糾弾。というのも、この件に関して関係府省連絡会議が開かれたのが、3月31日。成人年齢の引き下げは以前から決まっていたにも関わらず、こうも遅い対応に嘆きつつ「この国はアダルトビデオなどの性産業を腫れ物扱いしてきた」とその背景を示唆し、「女性だけでなく男性も含め、性産業に従事する人たちの家庭背景・実態を全く調査してこなかった。それが一番の問題」と指摘します。

さらに、AV出演強要問題の被害者は一般的に女子高生を連想しがちですが、大空さんによると、ゲイ向けのビデオに出演したことに苦しんでいる男性もいるとか。しかも、女性の場合は相談窓口があるものの、男性にはないという問題も。

大空さんは「政府・与野党ともにAV出演強要問題をやっていると言うが、こぼれ落ちている人がいる」と言い、「そもそも我々はそういった業界にセーフティネットとしての役割を押し付けている側面があることも事実。腫れ物ではなく正面から議論しなくてはいけない」と力説します。

そんな大空さんの語を継ぎ、谷口さんも「AVも消費者金融もセーフティネットとして機能してしまっている部分がある」と嘆き、「これを機に自己責任ではなく、社会でどうしたら18歳・19歳の人がAVに出なくても済むのか。もしくは、出たいと思ったら安全に出ることができるのか。そして、お金を借りなくても過ごせるような社会を作っていくような議論になれば」と期待します。

大空さんによると、「お金がない」と検索すると、生活保護制度よりも先に消費者金融が検索上位に並ぶことに触れ、「消費者金融もビジネスなので一概に全てを否定するわけではない」と前置きしつつ、「今、この国は公的な制度を使うことに"スティグマ”、すなわち恥ずかしさや敗北という概念が強固にある。これをいかに打ち破り、公的制度を使うように持っていけるか。これは仕組み次第でできることがたくさんあると思う」とより良い社会への変化を望みます。

◆成人年齢引き下げは誰得なのか?

他方、株式会社POTETO Media代表取締役の古井康介さんは、18歳成人に関して「誰得なのか」と疑問を呈します。

古井さん自身、18歳で上京した際、大学でまず「怪しいサークルに入るな」、「マルチの勧誘に気をつけろ」と注意喚起されたと言います。つまり、それぐらい危険だということですが、それでも当時は「未成年者取消権」が行使可能だったため「セーフティネットがある状態でスタートさせてもらっていた」と振り返ります。

しかし、今は18歳・19歳は「未成年者取消権」が対象外となったことに、古井さんは「(新成人は)重いものをいつの間にか背負わされてしまうところにギャップがある」と案じます。その上で「国の制度を使えば闇金などを使う必要がなくなることもあるので、僕らもそういったことをちゃんと発信していかなければと改めて思った」と語ります。

成人年齢の引き下げは誰が得をするのかという疑問に対し、大空さんからはその恩恵を受ける人に関して言及。例えば、児童相談所の保護・社会的養護は基本的に18歳までが原則で、それ以降は自立する必要がありますが、これまでは家を借りることも携帯を契約することもできませんでした。「そうした人たちにとっては、メリットは間違いなくあると思う」と大空さん。

そして、選挙権を18歳に下げたのであれば、成人年齢も引き下げないと整合性がつかないことは理解するも「とはいえ飲酒・喫煙がダメなど中途半端な権利であることは間違いない。どっちつかず、バランスの悪い議論になってしまったことは非常に残念」と惜しみます。

最後にキャスターの堀潤は、高校での金融教育開始に対し「僕は、小学生、中学生ぐらいの頃からお金の話をするべき」と私見を述べ、さらにAV出演強要の問題に関しても、現在はインターネットメディア環境が新成人の想像を超えるほどに発達し、その入口も多いため「当事者世代とともに大人も一緒に学び、考え、対策を打つことが必要なのではないか」と訴えていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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