依然として続く“保育士不足”…その背景と悲痛な窮状

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月〜金曜7:00〜)。「フラトピ!」のコーナーでは、“保育士の働き方改革”について解説しました。



◆依然として続く保育士不足、その背景は?

今回、「保育士の働き方改革」について解説するのは、東京・埼玉・神奈川で12の保育園を運営する幼児教育の専門家でNewsPicksのプロピッカー・菊地翔豊さん。

まずは昨今言われて久しい保育士不足の現状から。現在、保育士の有効求人倍率は2.92倍で、これは保育士1人に対し、保育所3ヵ所が奪い合っている状況です。

ただ、保育士自体は増加傾向にあるそうですが「保育所がこの6年間で数千ヵ所増えたため、人材不足が続いている」と菊地さん。開所したくても保育士が不足していて開所できないケースや、保育士不足で閉所に追い込まれるケースも少なくないそうです。

「東京新聞」経済部記者の大島晃平さんは、保育士不足の背景のひとつに「保育士の多くが女性であること」を挙げ、菊地さんに男性保育士の現状、さらには保護者からの印象などを質問します。

菊地さんが運営する法人では、現在男性保育士が20人ほど働いており、業界全体でも増加傾向にあるとか。そして、幼児クラスでは、男性保育士のほうが子どもたちは思い切り遊べるため喜ばれ、運営側としても嬉しいものの、一方で乳児クラスになると女性保育士を希望する保護者がいることも実態としてあると菊地さん。

◆"潜在保育士”の復職には労働環境の改善が必要

また、保育士不足の要因には"潜在保育士”の問題も。潜在保育士とは、保育士資格を持ちながら保育所等で働いていない人のことで、その数は約98万人。現役の保育士(約63万人)よりも圧倒的に多く、政府としても潜在保育士の現場復帰を願うものの、そこに立ちはだかるのが「保育士の労働環境問題」と指摘します。

そもそも、平均年齢38.1歳、勤続年数が9年ほど働いた保育士の平均月収は25万6,500円。全職種の平均月収は33万4,800円(平均年齢43.4歳、勤続年数12.3年)なので、他の職種と比べるとまだまだ低いのが現状です。

近年、政府は公定価格を3%程度、月額9,000円引き上げましたが、「9,000円というのがひとり歩きしている。実際は9,000円に届かない」と菊地さん。というのも、3%程度=9,000円というのは平均給与から導き出された金額で、実際には9,000円に満たないことが多いとか。

また、たとえ9,000円上がったとしても、他の職種との平均給与とはまだまだ隔たりがあるため「もう少し処遇の改善が進まないと、潜在保育士などの復職もないと思う」と悲痛な窮状を訴えます。

◆デジタル化が保育士の労働改善の一助に

さらに、給与の問題に加え保育士を苦しめているのが多忙さ。登降園管理やシフト・指導計画の作成など業務負担が大きく、なかには自宅に持ち帰って作業をしている保育士もいて、疲弊している現状を提示。

そんななか、保育士の負担を軽減すべく「ICT(情報通信技術)を活用した保育の改革が進んでいる」と菊地さん。保護者にとっては子どもの様子が窺える大事なツールが連絡帳で、今まで紙でやりとりされてきましたが、今やそれもデジタルに。

また、子どもの登降管理もタイムカードからカードキーへと代わり、保育士はもちろん経営側も非常に助かっているそうで、菊地さんは「既存のものや自分たちで独自で開発しながらデジタル化を進め、より質の高い保育を目指している」と語ります。

ここで法律事務所ZeLoの弁護士・由井恒輝さんからは「(保育士は)資格職というところで限界があるような気がする。補助者のような形で資格を持っていない方を登用することはできないのか?」との質問が。

これに菊地さんは「今、国としては子育て支援員という制度を進めている」と返答。例えば、園の掃除など、保育以外の業務を補助の人員が行うなど、保育士の負担を軽減しようという動きは進んでいるそうです。

また、菊地さんは保育士のケア、育成に対しても言及。「保育士も、ただ子どもを預かるのではなく、プロ意識を持ち、いかに子どもの成長・発達に寄与できているかを感じることが保育士のやりがいに繋がる。そうしたことも研修を含め教育している」と話していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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