沖縄復帰50周年を堀潤が取材…若い世代へと問いかける沖縄の今、そして未来

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月〜金曜7:00〜)。5月18日(水)放送の「フラトピ!」のコーナーでは、返還50周年を迎えた沖縄をキャスターの堀潤が現地取材しました。



◆返還50年を迎えた今も平和への志は半ば…

5月15日、沖縄が日本に復帰して50年を迎えました。当日は、沖縄コンベンションセンターにて「沖縄復帰50周年記念式典」が開催され、岸田首相や玉城知事などが出席。

堀が会場に赴くと、入ってすぐの場所にはアメリカ・バイデン大統領からのメッセージがあり、戦後の日米間の同盟関係を強調する内容の手紙が掲示。

一方、会場周辺では米軍基地の撤退や式典中止の声を上げる人たちの姿が。そこで堀は、返還後に生まれ、抗議活動に参加する「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」の新垣仁美さんに話を聞いてみると「50年という節目で注目されているが、お祝いという状況ではないと思う」と率直な思いを吐露。

さらには、「米軍基地ひとつとっても爆音に悩まされ、有事になれば、今ウクライナで起こっている戦争も他人事ではない。過去に沖縄で実際にあったことで、ひとたび戦争が起これば関係のない住民が巻き込まれる。それを繰り返していいのか」と悲痛な胸の内を訴えます。

記念式典では岸田首相が、沖縄が歩んだ歴史に思いを馳せ、県民の努力に敬意を示しつつ、基地の負担軽減に向け全力で取り組むと表明。しかし、基地移設問題に揺れる"辺野古”について触れることはありませんでした。

また、県民を代表し、若い世代が平和と権利を取り戻すべく活動した先達への感謝、より良い沖縄を未来に繋いでいくことを宣言。その後、玉城知事はスピーチで50年前の返還時を回顧。政権や米軍幹部が参加するなか、当時、県と政府が共有した「沖縄を平和の島とする」という目標が志半ばだと明言します。

この踏み込んだ言葉の背景には何があるのか。堀は式典の直前に玉城知事への単独インタビューに成功。そこで玉城知事はロシアのウクライナ侵攻を例に「順調であると思っても平和が一瞬にして崩壊してしまうことがある」と発言。そして、「もう一度、復帰当時の願いに国民のみなさんが思いを寄せていただき、本当に沖縄県民が願っていた復帰の思いの奥底にあるものは何だったのか、今日の式典を通して共有する」と思いの丈を述べていました。

◆核や毒ガスがあった…返還前の沖縄の真実

堀は、返還当時に沖縄でカメラマンをしていた池宮城晃さんにも取材を敢行。当時の様子を聞いてみると「復帰前は大きい雲が頭の上にあるみたいな状態だった」と話します。というのも、当時は米軍の政権下にあり、圧迫感があったから。

そして、今はどうかと言えば「戦時下ではないから、みんな基地・飛行機を観光地のように見ているが、有事が起きたときの基地は恐ろしいものですよ」との言葉が。

さらに、核の模擬爆弾や沖縄に4ヵ所あったと言われる核基地の写真を見せつつ、「沖縄に核があったことをみんなにわかってほしい。核兵器もあれば、毒ガスも貯蔵していた。使うつもりはないわけではなかったと思う」と衝撃の事実を明かします。

当時の佐藤栄作首相は返還交渉で「核抜き・本土並み」を掲げるも、実際には有事に沖縄への核兵器の持ち込みを認める"密約”が交わされていたと言われています。

この密約について日本側は認めていませんが、アメリカでは情報公開済み。そのため、堀は「今この瞬間も再び(核兵器が)持ち込まれていたとしても当時交わした条約通りだとアメリカは言うかもしれない」と危惧。

加えて、戦争になれば米軍基地が攻撃の対象となる可能性は大いにあります。池宮城さんも「有事になれば、今のウクライナを見ているように猛攻撃になる。沖縄戦も同じような戦争だった」と懸念し、「それを避けるためには、やはり外交の力」と軍備ではなく外交の力の必要性を促します。

◆これからの若い世代へ…沖縄からのメッセージ

沖縄には今なお多くの米軍基地施設が残っています。50年前と比べ、本土の米軍専用施設は半分以上が返還されたものの沖縄だけが取り残され、現在、在日米軍施設の約7割が沖縄県内に集中。

そうした状況も踏まえ、堀は"世界一危険な基地”と言われる「普天間飛行場」へ。道路を挟んですぐに住宅街がある光景を前に「ここは日本国の国土、沖縄の県土、自分たちの場所でありながら、自分たちの権利を行使できない。この圧倒的に不平等な関係を是正できるのか」と考えを巡らせます。

基地周辺に住む方々に話を聞いてみると「今まで戦争が身近だと思ったことがなかったが、いろいろな国の戦争が始まると基地を抱えるリスクはある。緊張感を初めて感じた」(36歳 男性)、「怖い。身近に基地があると、いつか戦争があると考えてしまう。自分たちにはどうにもできないので、どうにかしてほしいという気持ちしかない」(29歳 女性)という声が。世界情勢が不安定ななか、誰もが危機感を募らせていることが伺えます。

総じて、未来を担う若い世代は今後の沖縄のために何を考え、行動していくべきか問うと、池宮城さんは「沖縄とはなんだ、どうなったんだと思うときがあると思うので、そこで(私の写真が)参考になれば。簡単に返還され、今のようになったんじゃないことがわかる参考になれば」と切望します。

一方で、新垣さんは「軍事強化の現状を見ていると、再び沖縄戦が繰り返されるだけ。現状・過去を正しく学ぶべき」と主張します。

そして、玉城知事は「平和こそ未来。平和なき社会や時代に光はない」と話します。「その光を作るのも平和だからこそ。その意味を我々は深く噛み締め、若い方々もその思いを一緒にしていただければ必ず間違いのない希望が実現できる、その未来をつくっていけると思う」と期待し、「若いみなさんの力を信じたいし、支えたい。マジュントゥムドゥムニ チバティカナヤー(一緒に頑張っていきましょう)」とメッセージを送っていました。

◆必要なのは沖縄の方々へのリスペクト、そして…

今回の沖縄取材のなか、普天間周辺では「基地に関して簡単に賛否は問えない」、「共存して暮らしが成り立っている」という声もあったといいます。ただ、ウクライナの現状を直視すると生活の中に戦争の脅威があることを実感し、改めて当事者であると危機意識を再確認した方も大勢いたとか。

他にも、声を上げるも何か大きく変わることはなく、半ば諦めてしまっている方も。そして、返還50年というこの機会をただ祝うのではなく、これまで何があったのかを知り、どんな未来を作るのか考える起点にしてほしいと話す方もたくさんいたと堀は振り返ります。

また、返還前の「核抜き・本土並み」も沖縄の人々からしてみれば「基地のない沖縄を返してほしい」が本望。そして、国は今もそこに向けて努力していると言うが「そのわりには(沖縄に)負担を押し付けていないか」と堀は問いかけます。さらに、SNSなどでは「外交交渉だから密約があって当たり前」、「地政学上基地は必要。仕方がない」という声も散見しますが、堀は「その態度が間違っている」と指摘。

なぜなら、沖縄は戦時中、本土を守る最前線となり、大きな犠牲を生み、だからこそ本土が守られた部分があるのは事実。そして、戦後も基地負担を沖縄が担ったからこそ中央都市の経済成長があった。改めて、堀は沖縄の方々への感謝を示し、一緒になって考えていくべきと力説。「私たちは一方的な関係ではなく、日本国という文化を共有できる、同じ価値を持って対等にフェアに話す、リスペクトの精神を持って接してほしい。それがないことは残念」と惜しみます。

堀の熱い言葉に、政治プラットフォーム「PoliPoli」代表の伊藤和真さんも「リスペクトを持ち合うことは本当にその通り」と共感。伊藤さん自身、沖縄の方と話すなかで本州に対しての複雑な思いなど、何もわかっていなかったことを反省したことがあるそうで「同じ日本国民なので一緒に考えていこうという姿勢を持つべき。僕自身、そういう姿勢を持ち続けたい」と決意を新たに。

他方、microverse株式会社 CEOの渋谷啓太さんは、「今のウクライナ侵攻を見ていると、地政学的に沖縄から基地がなくなると他国から攻められたときに大変になることは理解できるが、わかる一方でそこで何をしていくか。今、答えを持っているわけではないが考えていきたい。これはロジックだけでは考えられない難しい問題」と沖縄の今を慮ります。

そして、インスタメディア「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さんは、日本の高度経済成長に取り残されてしまった沖縄では、今も貧困や性暴力の問題など多くの課題を抱えていると懸念。「外交や武力だけの話だけでなく、全体的な不均衡がさまざまな面であると思う」と指摘し、「50年という節目だけで見るのではなく、ずっと見ていかなくてはいけない。そして、基本的に政治の世界でも本土側の目線で話をされているが、その目線を移すことが必要」と訴えます。

最後に堀は、自民党政権における沖縄への対応の歴史を顧み、小渕恵三さんや橋本龍太郎さんをはじめ、沖縄に格別な思いを寄せ、ともに生きる未来を模索した政治家も数多くいただけに、岸田首相の今後に期待していました。

※この番組の記事一覧を見る

<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

関連記事(外部サイト)