名前も含めてわかりにくい?岸田政権の看板政策「デジタル田園都市国家構想」とは

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月〜金曜7:00〜)。「モニフラZ議会」では、Z世代の論客が“デジタル田園都市国家構想”について議論しました。



◆そもそもネーミングに疑問…「デジタル田園都市国家構想」

パスポートのオンライン申請を可能にする「改正旅券法」が成立。また、オンライン国会が検討されるなど「デジタル化」が進められていますが、一方では海外から遅れているとの声も。そんななか、岸田首相はデジタル化を進めるための施策「Digi田甲子園」を発表。これは優れた自治体の取り組みを発信し、地方のデジタル化を浸透させたい考えで、今年の夏と年末に開催する予定です。

このDigi田甲子園を含め、岸田政権が看板政策として掲げているのが「デジタル田園都市国家構想」です。これはデジタル技術を活用し、地方を活性化すべく進められているもので、デジタル技術で地域課題を解決、都市と地方の格差を解消、全ての人がメリットを享受できるようにするもの。しかし、現状ではデジタル化の専門部署がある地域は限られ、都道府県では9割に近いものの、市区町村では25.2%となっています。

株式会社ゲムトレ代表の小幡和輝さんはデジタル化の恩恵について、例えば教育面に関して言えば、学びたくても学べない環境にある子どもがオンラインで学べるようになればと期待を寄せるものの、それ以前に都道府県に専門部署がないところがあることに触れ、「市町村は難しいかもしれないが、都道府県レベルでなぜ100%ではないのか」と憤りを露わに。

そして、「デジタル田園都市国家構想」のネーミングについて「具体的に何をやるのかわかりにくい。言葉を新しく作るときに、どうしたら広がるのかをもう少し考えてほしい」と不満を述べます。

株式会社POTETO Media代表取締役の古井康介さんも、ネーミングには首を傾げつつも、「デジタルを使うことで、より地方に住みやすくなる。そうした転換が行われていくこと自体は応援したい」と期待を寄せます。

食文化研究家で株式会社食の会 代表取締役の長内あや愛さんからは、「そうなっていくべきだと思うんですけど、それが伝わらない名前だと(意味がない)……」という声が。そもそも"田園都市国家構想”という言葉は、昭和の大平正芳内閣時代の言葉とあって「我々世代にはピンとこない」と苦い顔をしていました。

◆Z世代の主張「デジタル化は若者に任せろ!」

街頭でデジタル化について聞いてみると「東京はキャッシュレスが進んでいるが地方ではまだ遅れている」(23歳 女性)、「地方に住みやすいよう環境整備してほしい」(29歳 男性)、「(デジタル化は)高齢者には難しい」(54歳 女性)、「年齢・知識の格差がある」(83歳 男性)などさまざまな声がありました。

こうした意見を聞き、小幡さんは「(デジタル化の意味・メリットなどが)正しく伝わっていないのではないか」と首を傾げます。そして、それを普及するためにも専門部署の必要性を主張。

また、古井さんからは「今やっている中途半端なデジタルが悪い」という厳しい意見が。「デジタルにはもっといいところがたくさんある。例えば、10万円の給付もマイナンバーカードに銀行口座が紐づいていればすぐにできた」とメリットを語りつつ、「新しいものをやるときにネガティブなものに抑えられてしまうのがもったいない」と悲嘆します。

幼少時から東京と福島でニ拠点生活していたという長内さんは、「区役所に行くのも車で1時間かかるようなところで、(申請が)ネットでできたらどれだけ楽か」と福島での暮らしを振り返りつつ、「そういった日々の生活のなかで、不便だったところがデジタル化によってちょっと便利になることをもっと押し出してもらえると、わかりやすいんじゃないか」とも。

小幡さんは「デジタル化にはいろいろな可能性がある」と言い、「(デジタル化は)若者にまかせろ!」と主張。現在さまざまな家庭にサービスを提供している小幡さんは親世代のネットリテラシーの低さを痛感しているそうで、「僕らに任せてくれればいい感じにする。僕らに力がほしい」と懇願します。

◆デジタル化には"便利になる覚悟”が必要

すでにデジタル化を進めている地域もあり、そのひとつが山形県長井市。そこでは3月に「伊佐沢スマートストア」がオープン。これは無人店舗でレジもなし。決済はスマートフォンで行い、デジタル化を進めることで無人店舗を実現。労働力不足解消に繋がると同時に、利用データを分析し、商品の仕入れの効率化も可能になるということです。

古井さんは、こうした取り組みを高く評価。例えば、施錠の問題などにより地方自治体で維持が困難とされている公民館や体育館もデジタルを駆使することで活用が容易になるなど「地方にあるものを残していくためにこそ、デジタルは使える」と言います。

そして、長内さんも「デジタルをわかりやすく伝えたり、いかにみんなが使いやすくするのかに長けた方々がいる。餅は餅屋で、民間と行政が一体となって進んでいくしかない。行政だけでやろうとしても、難しいことだと思う」と指摘。

なお、山形県長井市ではスマートストアの他にも「GPSによる子どもの見守り」や「河川の水位監視」などもデジタルで行っています。これは、国の「デジタル専門人材派遣制度」を使いNTT東日本の社員を招き「デジタル推進室」を発足しているからで、全国の先行モデルとして期待されています。

専門家は「デジタル化の課題は『体制』『人材』『持続性』。技術だけでなく精度の整備も必要」としています。

最後に、Z議会からの総括として古井さんは「便利になる覚悟 よくなれば分かる! と思う」と提言。「いい社会、より良い政治、サービスを手に入れていこうという覚悟をすることで(世の中は)進んでいくと思う」とまとめていました。

※この番組の記事一覧を見る

<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

関連記事(外部サイト)