ウクライナ侵攻の余波が日本でも…銀座「ロシア食品専門店」のいま

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月〜金曜7:00〜)。「フラトピ!」のコーナーでは、“ロシア食品専門店の今”をキャスターの田中陽南が取材しました。



◆悪質な嫌がらせが相次ぐ、日本のロシアンショップ

ロシアがウクライナを侵攻し、依然としてウクライナ情勢は厳しい状況が続いています。そんななか、日本で暮らすロシア人やロシアに関連した施設への誹謗中傷やヘイト行為などが問題に。そこで今回、田中は中央区・銀座にあるロシアからの輸入品を取り扱うロシアンショップ「赤の広場」へ。

経営者のミヤベ・ヴィクトリアさんに話を伺うと、ウクライナ侵攻後、さまざまな影響があったと言います。そのひとつが看板破壊。ロシアが侵攻を開始した直後の2月28日、お店の看板が破壊され、そのことが全国的に報じられました。

店内には色とりどりのロシア民芸品「マトリョーシカ」や日本人にも好きな人が多いという「ロシアンティー」。さらにはロシアに関する多くの商品が並んでいますが、その品揃えもウクライナ侵攻後に変化が。例えば、クリームチーズがチョコレートでコーティングされたロシアの定番菓子にして一番人気の「シローク」は現在、入荷することが困難に。

その理由は、ロシアでの原価高騰、そして日本国内の輸入税率の上昇。ヴィクトリアさんは「今後もし仕入れたら、倍の値段になってしまうのでお客さんに申し訳ない。逆にしばらく休みにしたい」と残念そうに語ります。

その他にも店内には"最終入荷”の文字が散見しており、商品の輸入にあたってはもうひとつの大きな弊害が。それは送金・入金の問題で、現在ロシアに銀行振込を行った場合、ロシアにお金が届かない可能性やお金が戻らない可能性もあるとか。

そうした状況下とあって、ロシア以外の国からの仕入れを開始するなど、試行錯誤しながら大事なお店を守っているヴィクトリアさん。ただ、看板破壊以外にも悪質な嫌がらせはあると話します。

例えば、非通知番号からの電話で「出ていけ!」と罵られるなど、さまざまな悪口があったとか。また、脅迫まがいのメールもあり、なかには「大きなカバンを持って、ノコギリを持って、全員スタッフを切る(殺す)」といった恐ろしい内容のものもあり、ヴィクトリアさんは「精神的に不安」と複雑な胸の内を明かします。

ロシア関連のお店というだけで、悪質な嫌がらせを受けているというヴィクトリアさんですが、実は自身はウクライナ人。故郷では、命の危機にさらされている家族がおり、現在はマリウポリに住んでいるお姉さんが来日するのを心待ちにしているそう。「マリウポリは住むことができなくて。水道もないし、電気もないし、非常に大変なことになっていて。お姉さんと息子と、息子の奥さんと孫、4人を今月末、日本に連れてくる予定」とヴィクトリアさん。

ロシアとウクライナがひとつの地域だった旧ソ連時代に、現在のウクライナ・ザポリージャで三姉妹の末っ子として生まれたヴィクトリアさん。一番上の姉はロシアのシベリア、二番目の姉は先日まで看護師としてマリウポリで暮らしていたそうで、「私の家族はウクライナとロシア、私は(ロシアとウクライナを)別れることはできない」と語り、今後については「早く平和になるように祈っているだけ」と話していました。

その平和への祈りは、銀座の小さなお店から、世界へと向けられています。

◆ヘイトをなくすために…Z世代からの提案

ヴィクトリアさんのような状況は、過去には、第二次世界大戦時に海外で暮らす日本人も経験しましたが、現在は日本人がヘイトに加担する側となってしまっています。

そうした状況に株式会社POTETO Media代表取締役の古井康介さんは「"坊主憎けりゃ袈裟まで憎い”という、歴史を見てもこうしたことはあるが、僕はすごく違うと思う」と表明。「この人が何かしたわけではないし、ロシアの商品そのものが悪いわけではない。戦争を主導している為政者が悪い」と話し、「そこを分離して考える。大きな主語で捉え過ぎているのを、やめることが大事」と主張。

なお、日々不安に苛まれるヴィクトリアさんですが、嬉しいニュースもあったそう。それは、看板が破壊されたことを知った日本のお客さんから新しいものが3枚も寄付されたこと。ヴィクトリアさんは、つらいことがあった一方で「日本の温かさにも触れた」と田中に打ち明けていたとか。

それを聞いた株式会社Unicode CEOの赤城命帥さんは、「国のことを個人として批判するのはとても痛ましいと思うが、こうして日本の優しさの文化に触れながらお店を続けられるというのはすごく良いこと」と感想を口にします。

では、私たちはどうすればいいのか。インスタメディア「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さんは、「関心を持って見続けること、日本が戦争の一部にならないこと」と言い、文化に対しても戦争に関係なく、好きなものは好きと接することができる社会を望みます。

古井さんは「主語を切り分けて考えること」を挙げ、ひとつ嫌なことがあってもそれを拡大して全てを嫌とするのではなく、別々で考えていくべきと指摘。そして、赤城さんはSNSなどで多くの人が内容を把握せずに拡散し、批判を助長している風潮を案じつつ、「政治に対して、もう少し私たち自身も知見を深めないといけない」と訴えていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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