政府が感染症対策の司令塔、日本版CDCを新設…そこに求められるものとは?

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月〜金曜7:00〜)。「フラトピ!」のコーナーでは、政府が新設する“感染症対策の司令塔”について深掘りしました。



◆政府が新たに「内閣感染症危機管理庁」、「日本版CDC」を創設

6月17日、政府はコロナ感染症に関して司令塔機能や医療提供体制の強化策を発表。そこで注目すべきは「内閣感染症危機管理庁」の創設です。

現在は、内閣官房で行動制限などを進める「対策推進室」、厚労省には医療提供体制などを担う「対策推進本部」がありますが、この2つを一元化した総理直轄の感染症危機管理庁を作り、司令塔機能の強化、さらには感染症対策の企画立案・調整を担っていくということです。

さらに、アメリカの疾病対策予防センター(CDC)をモデルとした日本版CDCも創設されます。これは国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを厚労省のもと統合し、前者が行っていた疫学調査から後者が行っていた臨床研究まで専門家組織を一元化するものです。

こうした動きに、キャスターの堀潤からは「これらが科学検証に基づいたものをいち早く提供できるのか」、「情報公開が苦手な日本でコンセンサスが得られるのか」、「独立した機関として政府にどれだけ釘が刺せるのか」、「日本の官僚機構内でCDCを創設して本当に大丈夫なのか」など、さまざまな疑問が。

また、政府は病床・人材の確保も行うとしています。まずは自治体と病院の協定を法的に強化する方針に感染症法を改正することで、各知事がこの協定を守るよう指示できるようになり、これまでの「勧告」よりも強力なものになります。しかし、従わない場合の罰則等は、記載しないということです。

食文化研究家で株式会社食の会 代表取締役の長内あや愛さんは、一連の取り組みに対し「大きな一歩」と期待しつつも「不安もある」と悩ましげな様子。

NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんは「指揮命令系統を統一しなければいけないというのはその通り」と今回の指針に納得。

というのも、日本政府はこれまで各病院に対してお願い・要請しかできず、法的な権限がなかったため、病床確保のスピード感に欠けていました。また、自治体で臨時医療施設を設置する際など政府が介入することができず、全てが自治体・病院任せ。さらには保健所中心主義で平時の発想のまま保健所だけが逼迫するという状況だったことに触れ、「日本の優れた地域医療の仕組みと有事の考え方をうまく組み合わせるためには、中央にそういう仕組みができることが必要」と大空さん。

ただ、新たな仕組みを短期間で構築するのは困難で、なおかつこれまでも専門家が研究を重ねてきたものの、エビデンスに基づかない政策が多数生まれてきたことも事実。そのため、大空さんは「例えば、死亡者数で言えば日本はアメリカよりも優れているのに、アメリカのCDCをモデルにするのがいいのか。果たしてアメリカのCDCがしっかり機能していたのか、いろいろな意見があると思う」との指摘が。

生理への理解を広げる団体「#みんなの生理」共同代表の谷口歩実さんも大空さん同様「箱だけあってもしょうがない。その箱の中にいる人が大事」とし、「デジタル庁も箱だけ作り、中の人が疲弊してしまったというニュースがあったが、感染症危機管理庁に入る人たちがどういった業務をどう行っていくのか、企画立案・調整というところがフワッとしている」と案じます。

◆専門家の役割とは? そして最終的に判断を下すべきは政治

今回、司令塔新設の背景には、コロナ対応を検証する有識者会議が取りまとめた報告書があると言われており、そこには体制構築に時間がかかり医療が逼迫したことや、情報収集や分析のためにデジタル化の推進が必要であること。さらには、専門家と政府で方針が食い違ったことが挙げられています。

これはわずか1ヵ月でまとめたもので、検証されなかったことも多々。例えば、経済活動や行動制限の効果について、アベノマスクの配布、感染が拡大するなかでのGo To トラベル事業などには触れられていません。

大空さんは検証が足りなかったこと以上に、件の有識者会議に対し「さまざまな意見を持った非常に幅広い人選が行われ、特に行動制限に関して否定的な意見を持つ方も結構入っていたので、そういう意味では進捗があり、非常に良かったと思う」と高く評価。

ただ、課題と残されている「行動制限や経済活動の妥当性」に関する検証は「これからやっていかなくてはいけない」と注視。そして、「組織を作るのはいいが、質の部分、特に人の部分をどうするのか」とその人材確保を憂慮しつつ、「専門家はあくまで政府に意見を出す立場であり、最終的な判断は政治。その政治の意思決定の質が非常に低かったことが、今回の問題の本質」と力説します。

飲食店を経営し、時短営業などの煽りを受けた長内さんは、効果検証が進むことを期待するも感染症に終わりがないなかで行うことの重要性、新たな機関のモデルとなるCDCの成功と失敗、その両面をしっかりと鑑み、政府が今後の対策に反映していくことを切望。

また、谷口さんは「意見をどこに訴えればいいのか明らかになってきたのはありがたい」と言い、まだ検証されていない部分に関し「検証してもらえるよう、私たち市民が新しく創設される庁にしっかり言っていきたい」と抱負を述べます。

ここで大空さんからは「省庁も増やしすぎるのもどうなのか」との意見が。過去に「平成の大合併」と言われるほどに省庁の数を減らしたものの、昨今はデジタル庁にこども家庭庁と立て続けに新設している現状に触れ、「スクラップ&ビルドを繰り返さないといけないとはいえ、そもそも作りすぎない、必要ではないものを作っている現状は、どうかと思う」と疑問視。

堀によると、効果検証について、各現場からはコロナ禍の渦中にエビデンスとして効果に値するデータが収集できていたかといえば、手書きやメモなども多く、極めてグレーという声も多いそうで「その辺りが日本の欠点・弱点」と憂い、日本の政治構造的に責任者が曖昧であることも問題ではないかと指摘します。

とはいえ、新たな仕組みが立ち上がるため、最後に大空さんに期待することを聞いてみると、改めて都道府県任せ・自治体任せになっていた厚労省の課題を挙げつつ、それが内閣官房主導へと移るにあたって、それまでの反省を踏まえ、「専門家もエビデンスをしっかりと集め、最終的に判断を下す政治に適切な材料をあげていく、それが本来、CDCが果たすべき役割」と話していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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