スクショも処罰の対象に… “著作権法”改正案の危険性と問題点を弁護士が指摘

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。2月20日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、弁護士ドットコムGMで弁護士の田上嘉一さんが、違法ダウンロードの範囲拡大の問題点について解説しました。

著作権法の改正案が、文化審議会著作権分科会でこのほど了承されました。この改正案には違法ダウンロードの範囲について記載されており、これまでは動画や音楽といったコンテンツが刑事罰の対象でしたが、マンガ、画像など、静止画のダウンロードにまで拡大されることになります。

しかし、知的財産法や情報法の研究者ら87人が、この改正案について「検討が不十分」と緊急声明を発表。文化庁の方針に対し、著作権法の専門家らが一斉に反対の意思を表明することはきわめて異例とのことです。

◆今回の改正案、その内容は?

田上さんは、静止画も違法ダウンロードとする今回の改正案について、「音楽や動画と同じようになるのだとしたら」と要件をまとめます。

まずは「自動公衆送信の受信」。自動公衆送信とは、インターネット上のサーバーに著作物を置き、利用者が閲覧・ダウンロードすることによって、その著作物が自動的に送信されることを指します。つまり、自動公衆送信を「受信」するということは、私たち利用者が、インターネットで著作物をダウンロードするような場合を指します。

次に「デジタル方式の複製」です。これには、右クリックなどによる保存のほか、スクリーンショットなども含まれます。

そして、著作権を侵害してアップロードされたものだという事実を「違法と知りながら」これらの行為を行った際には、違法ダウンロードということになり、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が課せられるという内容です。


しかし、そこには抜け道もあると田上さんは指摘します。

例えば、「自動公衆送信の受信」は主にインターネットを指すため、メールなどで違法コンテンツを送っても刑事罰の対象とはなりません。また、「デジタル方式の複製」についても、プリントアウトして複製する場合、プリントアウトしたものをさらに写真で撮影した場合などは対象とならないと田上さんは解説します。

そして、「違法と知りながら」という点についても、「あくまで主観で、利用者が『このサイトは違法だと思いませんでした』と言えば違法にはならない」と指摘。それであれば、「有償著作物に限定するなど、客観的な要件によって限定するべき」と主張します。

◆誰のための“範囲拡大”か

このような要件を踏まえ、田上さんはさらに、次のように問題点を指摘します。

まずは、実効性のない刑事罰を作る意味についてです。田上さんは「音楽や動画の違法ダウンロードで処罰された例はあまりない」と説明。「違法と言いながら刑事罰を受けないのでは、かえって人々の法規範が緩む」と危惧します。

また、海賊版サイトではダウンロードすることなくインターネット上で閲覧できるため、処罰の対象外となり、「違法ダウンロードの範囲拡大が、果たして海賊版サイト対策として有効なのか」との疑問も。

そして、田上さんが一番問題だと声を大にしたのは、これが「権利者の声を無視した法制化」であるということです。

田上さんは、「漫画家が、創作の参考資料として衣裳や街並みなどの画像をダウンロードするなど、私的な目的のもと利用していることもある」と例を挙げます。また、「魔法先生ネギま!」「ラブひな」などの作者である漫画家・赤松健さんも、この改正案について「イラストの保存(複製)は我々ネット市民が日常的にやっていること」とし、ここを法制化することで「国民のかなりの部分を拘束できることになり大変危険」とTwitterで指摘し、創作活動の委縮についても懸念を示しています。

それらの現状をふまえ、田上さんは「これは権利者側が望んでいない法律。誰のために法律を作ろうとしているのか」と疑問を投げかけます。そして、もし今回の改正案が通ると「誰もが対象となる可能性がある。白に近いグレーまで全部黒だと塗り潰してしまいかねない」と憂慮し、次のように述べました。

「法律というルールはあるが、著作権法はそもそもグレーなもの。だからこそ、その裏にある主旨が大事」


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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時 :毎週月〜金曜 7:00〜8:00
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:http://s.mxtv.jp/morning_cross/