8割が“容認”も…日本に死刑制度は必要?

ロンドンブーツ1号2号・田村淳が司会をつとめ政治・経済から社会問題、生活ネタまで幅広い話題を取り扱うTOKYO MX(地上波9ch)の情報バラエティ番組「田村淳の訊きたい放題!」(毎週土曜17:00〜)。3月16日(土)の放送では、刑法学者で京都大学教授の高山佳奈子さん、憲法学者で首都大学東京教授の木村草太さんを迎え、死刑制度について話し合いました。

◆「廃止すべき」は1割未満

昨年7月、オウム真理教の元幹部ら13人の死刑が執行されました。一部からは「凶悪犯罪の全容解明ができなくなった」との声も上がりました。しかし、内閣府が発表した死刑制度に対する意識調査では「死刑はやむを得ない」とする回答が8割を超え「廃止すべき」は、1割未満にとどまっています。


番組が放送中に行った「死刑制度についてどう考えますか?」というアンケートでも

@ 必要4512pt 
A 終身刑導入なら不要1583pt 
B 不要398pt


という結果に。

死刑制度を残す理由には「遺族感情がおさまらない」「廃止すると凶悪犯罪が増える」などがあります。対して「廃止すべき」とする理由には「冤罪の場合に取返しがつかない」「国家であっても人を殺すことは許されない」などがあります。

木村さんは死刑制度を残す最大の理由が「遺族感情」になっていることに触れ、「感情を理由に死刑を正当化すると、感情で人を殺していいことになる。それでは犯罪者と同じになってしまう。世界の死刑廃止の潮流は、死刑が社会を守るために役に立っているかという観点から考え直されているからではないか」との考えを述べました。


ただ、内閣府の調査では、今後の状況次第では、日本人の意識に変化が生じる可能性があることもわかっています。「将来的に死刑制度を廃止すべきか」については「廃止しない」が6割、「状況が変われば廃止してもよい」が4割。「終身刑」が導入された場合には「廃止しない」が5割、「廃止したほうがよい」が4割と変化しています。

田村が「将来的に日本も死刑廃止になる可能性があるか」と質問すると、高山さんは「あると思う」と返答。比較的若い世代は、将来的な死刑廃止を容認する傾向があるといい「世論の死刑支持の割合も時代によって変化していて、1970年代の支持は5割程度しかなかった。この先も大きく変わる可能性はある」と見通しを語りました。


◆世界では死刑制度廃止が大多数

アムネスティ・インターナショナルの調査(2017年)では、事実上の廃止を含めて死刑を行っていない国・地域は142カ国に上り、死刑を行っている56カ国を大きく上回ります。1978年には死刑廃止国は60カ国でしたが、1989年の国連による『死刑廃止条約』採択などを経て、40年間で2倍以上に増えています。日本も1993年から3度にわたり、国連から死刑廃止に向けた勧告を受けています。

高山さんは世界的な動きについて「死刑制度を維持していても、ほとんど執行していない国もある。死刑を行わなくても、犯罪は増えないと考える国が増えていると考えられる」と説きます。


◆犯罪抑止効果は「裏付けなし」

死刑の犯罪抑止効果について、アムネスティ・インターナショナルは「死刑が終身刑よりも大きな抑止力を持つことを科学的に裏付ける研究はない」という調査結果を発表。しかし、高山さんは法務省の調査を例に「大阪教育大学附属池田小学校の事件が典型的だが、死刑になりたくて無差別殺傷をした犯罪者が11%いるという」と指摘。死刑制度の存在が、凶悪犯罪を起こす動機の1つになっている可能性もあるとしました。


死刑制度に対する議論は今も、世界各国であります。2015年に130人が死亡するテロ事件が起きたフランスのように、死刑を廃止している国でも、社会状況によって「死刑復活論」が浮上します。


木村さんは死刑制度の是非とは別に、被害者のケアをどうするかを考えることが重要だと説きます。「日本で死刑が支持される要因のひとつは、被害者へのケアが不十分であることだと思う」と述べ、犯罪被害者支援の仕組みを作ることができれば遺族感情が変わってくることもあり得るとしました。

また、意識調査を行う際にも、死刑についての賛否だけではなく、被害者のために何が必要かなど、視野を広く持ったアンケートの実施を提案。「それを元にして、経済的なケアや裁判の開示など、被害者が求めることに社会が応えられているという状況が広がれば、死刑制度についての世論も変わってくる」との考えを示しました。

◆多様な情報を知り考えることが大事

田村は「死刑以外で被害者が感情を落ち着かせるには、どうすればよいだろうか」と問いかけます。高山さんは「亡くなった方の命を無駄にしないことが大事。殺人犯の異常な心理を解明して、同じような事件が起きないようにすることで初めて被害者や遺族を救えるのではないか」と意見を述べました。

「もし自分が被害者遺族になったら、どうするかわからない。ただ、そこは難しいところだが、死刑の是非の議論は続けなければいけない」と田村。木村さんは「まずは国際的な状況など、死刑についてのさまざまな情報を知った上で、改めて考えることが大事ではないか」と今後へ向けた課題を挙げました。

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<番組概要>
番組名:田村淳の訊きたい放題!
放送日時:毎週土曜 17:00〜17:55
メイン出演者:田村淳、古瀬絵理、鈴木奈々
番組Webサイト:http://s.mxtv.jp/variety/kikitai/