【博物館 明治村・前編】100万uに重文11件… 文明開化の“証言者”たち

フレッシュな旅人たちが、日本の美術館の魅力・価値を発見していくTOKYO MX(地上波9ch)の美術探索ドキュメンタリー「フランス人がときめいた日本の美術館」(毎週木曜20:00〜)。5月2日(木)の放送では、女優・野村麻純さんが「博物館 明治村」を訪れました。

日本の美術館の魅力をまとめた書籍「フランス人がときめいた日本の美術館」。著者で、フランス人の美術史家ソフィー・リチャードさんのメッセージをヒントに、明治村の建築や文化財を通して、文明開化にふれる旅を紹介します。

◆Sophie’s Point(1)
「野外博物館が私は大好き。建築を体験し、時代を発見する、素晴らしい方法です」


愛知県犬山市、入鹿池のほとりにある「博物館 明治村」。約100万uの敷地は1〜5丁目に分けられ、重要文化財11件をふくむ全67件の歴史的建造物を観ることができます。

ここに集う建築にはレンガ、鉄、ガラスといった素材が多く使われています。それは、明治という新しい時代の象徴であり、長い鎖国を解いて、日本が世界に門を開いた証でもあるのです。

「100年以上前の貴重な建築がたくさんあるってすごいですよね。私も時代を発見したいです」と期待を込める野村さん。今回は、学芸スタッフの坂井奈保子さん、学芸員の井上宗一郎さんに案内してもらいました。

◆Sophie’s Point(2)
「肉屋からプライベートハウスまで。その幅広さにワクワクする」


1丁目にあるのは、明治20年ごろ神戸に建てられた「大井牛肉店」です。木造ですが、表面には漆喰を塗り、石のような質感に見せています。

文明開化の名のもとに、日本人の食文化もがらりと変わった当時。タブーだった牛肉は時代の最先端となり、牛肉店が登場しました。


2丁目に行くと、レンガ建築が並ぶ「レンガ通り」があります。そのなかでもひときわ目を引くのは、3階建ての「東松家住宅」。明治34年ごろ、名古屋に建てられました。


江戸時代、油問屋を営んでいた東松家。当時、平屋だった建物は、増改築を経て3階建てへと姿を変えました。

「立派な商家さんであっても、江戸時代は建物を高くしてはいけませんでした。そのため、この高さになったのは、明治時代に入り2回増改築をしたためです。しかし、大正時代に入ると今度は木造高層住宅が禁止されてしまいます。そのため、このような建物は50年ほどの間しか造られませんでした」

建物のなかへ入ると、通り土間のうえは、3階までの吹き抜けになっています。高窓から明かりを入れているので、奥行きが深いにもかかわらず室内は明るいのが特徴です。


1階は江戸時代、2階以上は明治時代。伝統から近代へ、時代の変化は暮らしのなかにも感じとることができます。

「1階の床の間は狭く造られています。当時は“士農工商”の考えがあり、商家は身分が低いので、遠慮していたんですね。しかし2階の床の間は1畳分あり、広く造られています。明治時代には身分制度が廃止され、誰でも名字を持ち、職業・結婚も自由になったためです」

東松家住宅の2階には、茶室も設けられています。廊下を露地に、床板を踏み石に見立てるなど、本格的な茶室を再現。屋内に造ったのは、「お庭だと目立ってしまうので、あまり派手さを出さないため」なんだとか。

待合の扉には、粋な仕掛けも見つけました。

「お客様が扉を締めると、墨蹟窓に半月が浮かびます。これは、お客様が全員そろった合図です。また、障子を閉めると、格子の影が千鳥模様になるんですよ」


神戸の肉屋から、名古屋の商家まで。明治村にはさまざまな建築が建ち並び、その歴史を今に伝えています。

後編は5.11(土)06:50公開予定です。

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<番組概要>
番組名:フランス人がときめいた日本の美術館
放送日時:毎週木曜 20:00〜20:56(「エムキャス」でも同時配信)
語り:椎名桔平
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/japanese_museums/