NGT山口真帆さん卒業…「芸能人の権利」現役弁護士が解説

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。5月20日(月)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、レイ法律事務所 代表弁護士の佐藤大和さんが“芸能人の権利”について解説しました。

新潟を拠点に活動するアイドルグループ・NGT48のメンバーで、暴行被害を受けた山口真帆さんら3人の卒業公演が、5月18日(土)に行われました。山口さんは「出会ってくれてありがとう。幸せな3年半でした」とファンに向けて最後のあいさつ。今後の具体的な進路については触れませんでした。

◆芸能事務所に問題あり「8割超」

佐藤さんは、自身が共同代表理事を務める「芸能人の権利を守る 日本エンターテイナーライツ協会(ERA)」が実施した「全国ブラックアイドル活動調査」のアンケート結果を紹介。それによると、所属している芸能事務所との契約書作成の有無についての問いでは、「あり」が68%、「なし」が32%だったそうです。

芸能事務所と契約する際、契約書を交わさず口頭契約を結び、契約内容がわからないという人が多い実情を明かします。次に「所属事務所の運営や待遇に問題があるか」との質問では「あると思う」が67%「どちらかと言うとあると思う」が20%となり、実に8割以上が「問題あり」と捉えているという結果に。さらに「事務所から不当な扱いを受けたことがあるか」との質問に対しても「ある」との回答が82%を占めています。

これらの調査結果を受け、佐藤さんは「多くの方が事務所とのコミュニケーションが取れていないと感じた」と言います。

つい先日、小さなライブハウスでアイドルのライブを観てきたという佐藤さん。その会場で、ファンとアイドル、そして運営が一体となっている姿を目の当たりにし「こういう活動って後ろの運営の方々ががんばって支えているんだなと実感した。だからこそ、コミュニケーション不足はもったいない」と印象を語ります。


◆労働者か個人事業主か

芸能人が労働者なのか個人事業主なのか曖昧になっているケースが多く、事務所側にも理解できていない人が多いと言います。そして、そのいずれかによって「適用される法律が全く異なる」と強調します。

芸能人は契約書ではほぼ個人事業主扱いで、事務所と対等な立場となっていることが多いそうですが「多くのアイドルの実態を見ると、指揮や命令に従わなければならない、拘束があるなど、その多くは労働者と言える」と説明。そして、労働者とみなされた場合、最低賃金や労働時間など労働法が適用されることとなり、違反しているか否かが争点となるケースもあるそうです。

ご当地アイドルや地下アイドルが起こした多くの裁判では、労働者性が認められているケースが非常に多いそうですが、「ただ、裁判にならないと労働者性がなかなか認められないというハードルがある」と補足しました。

芸能人は、プライバシーや名誉が侵害されやすく、契約で多くの権利と自由が奪われているケースが多い実情があるからこそ、佐藤さんは「芸能人が個人事業主と労働者のどちらにせよ、非常に不安定な立場であるため立法で守っていくことが必要」と主張します。さらには「芸能活動をしている方々は、法律や契約書等を勉強することも必要」とも。

トラブルを防ぐための契約書なのに「トラブルになってから、初めて契約書を見る人が多い」と指摘し「法教育にもつながるところなんですが、法律や契約書の重要性を少しずつ学んで、意識していくことから始めてほしい。そうすることで、法律のトラブルは防げると思う」と提言していました。

起業家で実業家の椎木里佳さんは、「アイドルの方たちは運営側を信じ過ぎている」と指摘。なかでもご当地アイドルや地下アイドルは、運営側と密接な関係であるがゆえに「契約書のことやお金のことを言うと、“がめつい”と思われるかなと忖度してしまい、聞けずにいる人もいると思う。(運営側を)信じ過ぎず、ちょっと攻めてみることも必要かもしれない」と見解を示していました。


番組では、視聴者に「仕事をする上で法律や契約書の勉強をしたことはありますか?」というテーマで、生投票を実施しました。結果は以下の通りです。

◆仕事をする上で法律や契約書の勉強をしたことはありますか?
ある……1,158票
ない……1,230票


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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:http://s.mxtv.jp/morning_cross/