中高年ひきこもり63万人、彼らに必要なのは“就労経験”ではなく…

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。11月15日(金)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、慶応大学特任准教授でプロデューサーの若新雄純さんが“ひきこもりに必要な経験”について見解を述べました。



◆中高年のひきこもりが全体の半数以上に

内閣府の調査によると、全国のひきこもり者数は推計115万人。そのうち40〜64歳の中高年のひきこもりは63.1万人で、全体の半数以上に達していることがわかりました。中高年のひきこもり当事者との向き合い方は、就労経験や意欲などの違いによって変わり、今後行政がどう支えていくか模索が続いています。

ひきこもりも高齢化が進むなか、「(中高年のひきこもりを報じた記事では)いかに彼らにもう一度就労経験を持ってもらうか、そこにフォーカスを当てていた」と若新さん。しかし、NEET株式会社での活動などを通して当事者と関わっているうちに、いろいろなことがわかってきたそうで「彼らはパソコンをはじめ、さまざまなものを使いこなしているし、仕事のスキルという意味では作業する能力は持っている」と言います。

そこでテーマになってくるのが“喜怒哀楽”だとコメント。若新さんは「ずっとニコニコの人なんていないし、喜怒哀楽を通して人間らしい生活ができるのだと思う」と主張します。

◆必要なのは就労経験よりも人間経験

若新さんが、ひきこもりの方と付き合ってきたなかで特に関心を抱いたのは、人間は集団になると対立やケンカが起きるものの、怒っている人をなぐさめる人や哀しんでいる人を励ます人が出てくること。そして、「対立がある分、実は新しいチームや結託、派閥のようなものが生まれる。この団結がすごく幸せらしい」と話します。

実際、自殺志望者が若新さんの取り組みに関わり、ケンカをする相手ができたり、一緒に怒ったりする仲間ができ、自殺を思いとどまったそう。そんな事例から、若新さんは「これは特殊なことではなく、人間が生きていくことの本質の1つではないか」と感じたと言います。

そして、「人間が集まることで、対立やすれ違いなどが生じるなかで大事なのは“怒りと哀しみのコントロール”」と強調。「怒りや哀しみの感情を持つことは悪くないし、当たり前のこと。怒りの感情が湧いたとき、(相手に)ぶつけるのか、ぶつけないのか、自分のなかで消化するとか、哀しみの感情もふさぎ込むのではなく人に相談したり、自暴自棄になったりせずどう向き合っていくのか。僕らはこれを友達、同僚、家族との関わりを通してうまくやってきている」と言います。

しかし、その一方で長い間ひきこもっていると、感情のコントロールが上手にできなくなってしまう人がいると指摘。そして、そうした人たちこそ、若新さんは「社会と繋がっていくためには、就労経験よりも“喜怒哀楽”をコントロールしていく人間経験がいる」と声を大にします。

とはいえ、それは一朝一夕でできるものでなく、MCの堀潤は「人間経験を得るための支援策として何をするのか」と疑問を投げかけます。すると、若新さんは「遊べばいい」とキッパリ。「まずは仕事からじゃなく、グループを作って勝負ごとをするとか、旅行に行くとか、そういうところからやっていかないと本当の意味ではひきこもり支援には繋がらない」と言い、「予算が付けづらい分野だけど、こういった人間関係的支援が必要な時代になってくる」と思いの丈を語ります。

最後にキャスターの宮瀬茉祐子は、「ちゃんと場所に出て、体感して、共感するような形を作ったほうが、(人の輪の)なかに入っていきやすい」と意見を述べると、若新さんは「仰る通り」と大きく頷き、「感情のコントロールは座学では絶対に無理」と断言していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜7:59 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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