「AIには超えられない“共感力”を…」国語から文学が消えることの問題点

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。11月25日(月)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、ジャーナリストの長友佐波子さんが、変わる国語教育と文学の重要性について見解を述べました。



◆現役高校生が大学入学共通テストに異議

2020年度から始まる大学入学共通テストについて、都内の高校生らが中止を求める約4万2,000人分の署名を文部科学省に提出しました。彼らは民間に採点を任せる国語と数学の記述式問題についても「問題がある」と主張。代表の男子生徒は「多くの当事者がおかしいとずっと言っているのに、誰の声を聞いて、どういう判断で実施しようとしているのか疑問を感じる」と話しています。

長友さんは開口一番「共通テストは当事者が置き去りになっている」と指摘。今回の件でもテストの受験者は約50万人いると言われるなか、約4万人が反対の意思を示しているだけに「もう一度考え直してほしい」と言います。

前述の通り、共通テストの国語の問題点として記述式のことがよく叫ばれていますが、長友さんはもう1つ、新たに始まる「実用的な文章=実用文」についても疑問を呈します。

長友さんは、2018年にプレテストで出された実用文の問題を提示。そこには著作権法に関する実用文の問題があり、「そもそも法律なんて悪文。法律用語を現実に即して書き換えようと話が出ている一方で、こんなものが読めるようになってなんの意味があるのか」と主張。

◆文学から学ぶのは、AIには超えられない部分

そして、実用文が共通テストに採用されることで「高校の国語のカリキュラムが変わってしまう」と言います。これまでは高校1年生で必修の国語総合、そして現代文B、古典Bとありましたが、国語総合がフィクション以外の実用文中心の現代の国語と言語文化に分かれるそう。そして、高校2、3年になると論理国語、文学国語、古典探求、国語表現の4つ選択科目となり、論理国語もまたフィクション以外の実用文だと言います。

そこで受験生及び先生は何を考えるかというと、「テストには古典も出るので古典探求は学ばざるを得ず、もう1つ選択するとなると文学国語か論理国語の2択になり、おそらく論理国語を選ぶだろう」と長友さんは推測。しかも、論理言語は論理を読み解けばテクニックで解けてしまうため、進学校の子たちにとっては簡単なんだとか。

国語でフィクション以外の実用文しか扱わないとなると、もはや文学を学ぶ機会はなくなります。長友さんは次にその際の問題点を示唆。

1つは、「そもそも悪文を勉強してどうするんだという話」。長友さんは「どうせなら美しい、正しい日本語を勉強するべき」と言います。2つ目は、「文学を通じてでないと学べないことがある」ということ。日本文学を学ばないと「日本の過去の価値観や歴史を学ばなくなってしまう」とも。

そして、最も重要なこととして挙げたのが「感情教育」。「共感力や想像力は、たぶん文学でしか学ばない」と指摘し、「行間を読むという作業は、文学以外の教科では相手の気持ちになれないから学べない」と長友さん。さらに、「共感力や想像力こそが、“AI(=人工知能)”が絶対に超えられない部分だと言われている。AI時代になったらおそらく感情のことを勉強することが重要にも関わらず、文学を勉強しないことでそれに触れない子が出てきてしまう」と危惧します。

現在、このことに関して声を挙げている人はごく一部だそうで、親や生徒さえ気付いてないことが多いと長友さん。さらには、「共感力や想像力は、子どものころから養わないと、大人になって学ぶことが難しい」とも。それだけに、「ちゃんとした文学を読ませることを必修にしたほうがいい」と主張していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜7:59 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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