いじめはあるのが当たり前…現場はどう対応すべき?

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。1月28日(火)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、弁護士の横山智実さんが“いじめの現状”について見解を述べました。



◆2018年のいじめ総件数は543,933件

東京都府中市の小学校でいじめを受けたのに放置され、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したとして20代の女性が市に損害賠償を求めた訴訟の判決が1月22日、東京高裁で行われました。東京高裁は一審の判決を取り消し、学校側の過失とPTSDの因果関係を認め、市に約756万円の賠償を命じました。

横山さんは、まず文部科学省によるいじめの認知(発生)件数の推移表(2018年度)を紹介。それによると、同年の小中高・特別支援学校のいじめ認知件数は543,933件。例年に比べ数が膨れ上がっていますが、それは「2013年に制定されたいじめの定義が浸透し、どういうものがいじめなのかが広まったから」と解説。「学校現場における児童の状況は変わっていない」と言います。

続いては「いじめの態様」について。最も大きな割合を占めるのは「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」で62.7%。次が「軽くぶつけられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする」の21.4%ですが、横山さんが注目したのは「パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる」で、これは3%しかありません。

一方、内閣府が2019年に発表した青少年のインターネット利用環境に関する調査データでは、小学生のインターネット利用率は85.6%。中学生は95.1%で高校生は99%。「そんな状況なのに、(先ほどの)3%という数字。実際はかなりの数字になっていると思う」と指摘します。

◆いじめはあるのが当たり前……

横山さんによると、いじめが発生した場合、一時的には加害者とその保護者が責任を取らなければならないそうですが、今回紹介した判例のように学校側がいじめの事実を認識しながら放置していたとか、助長していた場合は学校に責任が問われるとか。

しかし、学校側は「いじめと思っていなかった」と釈明することが多々ありますが、その理由を「いじめの定義が広がってしまったから」と横山さん。本来、いじめを早期発見、対処すべく定義を広げたにも関わらず、拡大解釈されているのが現状のようです。

それだけに、被害者だけでなく加害者にも話を聞き、向き合うこと。さらには「加害者の保護者への助言なども学校側からしてほしい」と横山さんは訴えます。そして、「いじめを否定するのではなく、あるのが当たり前。学校側がどう向き合うかが大事になってくる」と締めくくりました。

MCの堀潤から先生がいじめをより素直に対応するための改善点について問われると、横山さんは熟考しつつ「労働環境整備」と返答。現在は人手が足りず、「部活動も見ないといけない、自分の時間も持てないとなったときに子どものことを一歩踏み込んで考えるのは難しいと思う」と案じていました。

明治大学大学院教授の野田稔さんは、「いじめるのは"恥ずかしい”という文化にしないといけない」と主張。「会社内でもいじめがあり、嘘をつく、会社の物を盗むとか悪いことをする人がいる。今までは悪いことをする人は『悪いヤツだから』と言われていたけど、ある研究によるとそうではなくて、個人要因は16%しかない。84%は環境要因」だと言います。

過度なプレッシャーや理不尽な扱い・不公平といった環境要因の影響で「普通の人がおかしくなってしまう」と野田さん。いじめも加害者が悪いと前置きした上で、「そういう気分にしてしまう社会や学校(の環境要因)、そこに手をつけないと。今の日本は誰もがいじめっ子になってしまうような状態になっているということを、大人がもっと真剣に考えないといけない」と述べていました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜7:59 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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