「ネットの中傷」防止に法改正は必要?

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。6月5日(金)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、スローニュース代表取締役の瀬尾傑さんが“ネットの中傷防止”について述べました。



◆法改正で書き込み元の特定がスムーズに

総務省の有識者会議は、SNSで名誉毀損にあたる書き込みがあった場合、事業者は被害者側に対し、書き込んだ人物の電話番号を開示する方針を固めました。早ければ年内にも法改正を行うとしています。

きっかけの1つとなったのは「テラスハウス」の木村花さんの事件ですが、「それはとても象徴的」と瀬尾さんは言います。その理由は2つ。1つは「制作・テレビ側の責任」。同番組はリアリティショーとして、台本がない形で素人の方が出演していますが、テレビだけに過激になりかねません。そして、それがSNSで話題になったとき「出演者を守る仕組みが必要だった」と指摘。

もう1つは「SNSで誹謗中傷が集中する問題点」。これが今回の発端となっているわけですが、瀬尾さんは「規制に関しては慎重な立場」と自身の考えを明かします。なぜなら現状では法律的に名誉毀損には罰があり、「現行の法律で対応できるから、その範囲でやることが重要」と言います。

しかし、現行法では不十分な部分もあるといいます。例えば、まず被害者はSNSやブログなどの運営者に対して情報開示請求を行い、裁判を経て得られるのはIPアドレスなどだけで発信者はわかりません。次にプロバイダを訴え、初めて電話番号などが明かされ個人を特定でき、ようやく名誉毀損で訴えることが可能になります。

つまり、訴えるまでにかなりの時間がかかるため、そこで問題になるのが「被害が拡散してしまうこと」と「通信記録のログが消えてしまうこと」。特に後者は重要で、プロバイダの保存期間は3ヵ月〜1年程度のため、裁判前に消えてしまうこともあるそう。そこでこのたび電話番号が開示されることになりました。

◆法改正の前に「できることはある」

今回の法改正について、瀬尾さんは「これで解決かと言えばそうではない」と指摘。問題点は2つあり、1つは電話番号を登録しない人が出てきたり、電話番号登録不用のSNSなどが出てきたら悪質な人がそこに流れてしまう点。「本当に問題なのは、一部の悪い人たち。確信犯を防ぐことができない」と懸念します。

もう1つは、多くのSNSの会社は海外に本社があること。日本の裁判所で訴えることはできるものの日本の法人では対応できず、海外の本社を訴えると諸々の手続きや時間、費用がすごくかかると言います。その結果ログを紛失しかねず、「日本でサービスを展開している会社は、日本で対応するようにしてほしい」と瀬尾さんは訴えます。そして、「(企業側は)自主的に責任を持って対応する体制を作ってほしいし、できないなら法律でなんとかする。ただ、その前にできることはある。まずはそれをやるべき」と主張。

弁護士の横山智実さんは、「今の裁判所を経由したやり方でも間に合っていると思う」と率直な意見を述べ、「足りないのは、SNSを使う側のモラルの問題」と指摘。何気ない一言でもそれが集まると大きな威力を持つだけに、「それを自覚するような教育をしたほうがいい」と話していました。

番組では、視聴者に「"ネットの中傷”防止に法改正は必要だと思いますか?」というテーマで生投票を実施。結果は以下の通りです。

◆"ネットの中傷”防止に法改正は必要だと思いますか?
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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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