刑務所でHIV検査を放置 受刑者に陽性を伝えずエイズ発症

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。6月25日(木)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、弁護士の三輪記子さんが“受刑者の人権”について述べました。



◆刑務所側のミスで受刑者の検査が先延ばしに

横浜刑務所の受刑者がHIVの血液検査で陽性だったにも関わらず、結果を知らされないまま放置されていたことが明らかになりました。神奈川県弁護士会は、人権侵害にあたるとして刑務所に対し警告。受刑者はその後発症し、現在治療中です。

ことの経緯は、当該受刑者が2012年12月にはHIV検査を希望したものの、なかなか受けることができず、翌年2013年4月にようやく採血を実施。八王子医療刑務所から横浜刑務所のその結果が「陽性」であることが通知されました。

その後、第二次検査が必要となり、検体をジュラルミンケースで送付するよう言われましたが、八王子医療刑務所にはケースがなく、検体を冷凍保存した旨を横浜刑務所に報告。しかし、八王子医療刑務所の担当者が、ジュラルミンケースの購入に必要な書類作成を失念し放置。

受刑者からは絶えず検査に関して質問があったそうですが、そのまま第二次検査が行われることなく越年。そして、2014年4月にようやく改めて採血するも、その検査結果が伝えられたのは2ヵ月後の6月。しかも、その間に受刑者はエイズに発症し、病院に通わなくてはならない状況になったことが明らかになったということです。

◆受刑者も「人権がゼロになるわけではない」

今回の一件に関し、まず考えられる現実的な要因は「検体送付用のジュラルミンケースの購入ができなかったこと」と三輪さんは言います。一方で、刑務所の担当者の言い分では、年間に購入可能な備品は決まっており、「その年度はそれ以上買えない」といった話があったそう。つまり、今回の背景にあるのは「刑務所医療の予算不足や医療スタッフの不足」と指摘します。

さらに、「医療スタッフの不足」の裏には「刑務所勤務ということで人気がない。そこで働きたい人が少ないという問題が考えられる」と三輪さん。

また、「受刑者に対する偏見も現場にあるのではないかと考えられる」という見解も。というのも、過去に名古屋の刑務所では受刑者がホースで放水され死亡した事件がありました。それだけに三輪さんは、「私たちが知らないだけで、刑務所内で受刑者の人権侵害が多数行われているということは常に言われている」と言います。

では、これらを改善するためにはどうすればいいのか。三輪さんは「人的資源の充足」とそのための「予算の確保」を主張。「こういったところにお金が十分に配分されていない。刑務所の問題だけでなく、司法全体に対して投入されるお金が少ない」と訴えます。

その他に「刑務所間の横の連絡不足」も示唆しつつ、三輪さんが最も言いたいこととして声を大にしていたのが「受刑者は罪を犯して、償う人ではあるけれど、人権がゼロになるわけじゃない」ということ。「一部の人権が侵害されることは、手続き上、仕方ないとしても全ての人権が失われることはあってはならない。受刑者であっても社会一般が受けられる治療や検査は受けられて当然」と明言していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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