“生きづらさ”は介護の現場でも…現状と今後の課題とは

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。6月24日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、介護福祉士の上条百里奈さんが、多様性が求められる職場の現状と改善点について述べました。



◆「制服を選べる"自由”を」

東京都江戸川区のとある高校生は、中学時代、性自認は男性でしたが戸籍上は女性だったため、学校では男子生徒用制服の着用を許されず、女子生徒用のスカートを着用することを3年間強いられました。その高校生は、「後輩たちが同じ思いをしないでいいように」と、同区で制服を「選択制」にするため、オンライン署名を開始。署名はすでに1万筆以上集まっており、近く江戸川区長に直接手渡される予定です。

こうしたセンシティブな問題に声を上げられるようになった背景について、上条さんは「マツコ・デラックスさんやはるな愛さんらがテレビなどで活躍していて、さまざまな性の形があることをちゃんと表しているのも、発言のしやすさに繋がっているのかなと思う」と推測。しかしながら、「これだけLGBTや多様性などが言われているのに、学校教育の現場はなかなか動いてくれないんだなという印象で、複雑な思い」と話します。

◆生きづらさを抱える職業

こうした現状に苛まれているのは教育現場だけではなく、「介護の現場でも生きづらさを感じている方がたくさんいる」と上条さん。"介護を受けること=恥ずかしいこと”という概念に縛られるあまり、「例えば、車いす生活になった瞬間、鬱になったり、"恥ずかしくて、もう外出できない”と思ったりする高齢者は少なくない」と現状に触れます。

そして、先出の中学校の話を引き合いに「先生は(その生徒の悩みに対し)"服装なんて大した話じゃない”と結構軽く受け止めていた。でもSOSとか悩み事って本人にしかその大きさはわからないので、(相手が傷つくようなことなどを)無意識的に言ってしまうことが多い」と指摘。

そして、「介護の現場にいるといろいろな多様性を知ることができる」と声を大にする上条さん。その一例として、「ごはんを急に食べなくなったおばあちゃんがいたんですけど、食べなくなった原因は、病気や具合が悪くなったとかではなく、食器が変わったからだった」と打ち明けます。

その話を聞いた明治大学大学院 教授の野田稔さんは、演劇「木の皿」を思い出したそう。その作品では、年老いたおじいさんがよくお皿を落として割ってしまうため、木のお皿に変えられてしまい、プライドを傷つけられてしまうシーンがあるそうで「人のプライドや誇りは大切。その痛みは本人にしかわからないから、我々がどこまでそこに寄り添って想像してあげられるか。その勝負だと思う」と訴えます。

上条さんは、「日常生活を普通に過ごしていると、そういう人たちになかなか出会えない。介護の現場ではいろいろな多様性が共存しているので、学校教育の先生方にも福祉体験として介護の現場に来てもらったら、学びやヒントになるのではないか」と主張。

とはいえ、先生たちはただでさえ忙しく、多くの業務を抱えているだけに「合理的配慮を求める学生がいたとき、その学校だけで解決できる問題ではないと思う。担任の先生だけで完結されるのではなく、いろいろな学校との連携とか、いろいろな業界との情報交換などが大事になってくるのでは」と提言し、「多様性をどれだけ受け入れられるかによって、私たちが老後、要介護状態になったときに、自分の老いていく体に対してどう受け入れられるか、受け入れられやすくなるかどうかが変わってくると思う」と話していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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