国交省、脱ダム化し流域治水へ方針転換…大規模水害は大丈夫?

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。7月27日(月)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、作家の田中康夫さんが“脱ダムに転向した国交省の敗北”について述べました。



◆国交省が水害対策を方針転換

大規模水害が多発するなか、国土交通省は新たな防災・減災総合対策を公表。87のプロジェクトのなかには巨大ダムやスーパー堤防建設は見当たらず、貯水池整備や土地利用規制を押し出し、洪水被害を軽減させるための「流域治水」へと大きく方針転換しているのが特徴です。

脱ダム化する国交省に対し、「敗北というより、いい意味で良心を取り戻した」という田中さんが、今回の方針転換に関して解説していきます。

2018年7月に西日本豪雨、2019年には阿武隈川と千曲川などが越水・破堤。今年も令和2年7月豪雨など、毎年のように大きな水害がありながら、「日本の河川法では河川管理者が刑事罰に問われたことは一度もない」と言います。

この河川法について、国交省は1997年に現状では水をコントロールできないと改正したものの、「2000年代半ばから後退してしまった」と田中さん。その象徴が八ッ場ダムやスーパー堤防だと説明。

八ッ場ダムは計画から67年経ってようやく完成しましたが、それは利根川の支流の吾妻川に作られ、利根川水系全体の水量のわずか1%しか役割分担していないそう。また、67年の間には鋼矢板という鉄板を入れて堤防を補強する形が欧米などで主流になるも、国交省はこれを拒んできたとか。

最近でも7月豪雨を受け「川辺川ダム計画」復活の話がありましたが、田中さんは「川辺川は球磨川水系の支流。今回(水が)溢れた場所はいわゆる狭窄部で、僕はそこを拡張したり、遊水池や地下の導水路を作ったりすることが必要と、河川学者も言ったんだけど国交省は飲まなかった」と言います。

しかし、今回の防災・減災対策の発表の際には、「堤防やダムだけで水を制御するのは難しい」と国交省が正式なコメントを出しています。

◆新防災対策にも大きな問題が……

新たな防災・減災対策に対し、「1つ大きな問題がある」と田中さんは指摘。それは、国交省が推進する「コンパクトシティ」を目指す自治体の内の88%で住民の居住誘導区域先と浸水想定区域が重なり、34%が土砂災害警戒区域にかかっていること。

先の7月豪雨でも老人ホームが大きな被害を受けましたが、なぜそんなことになったかと言えば、都市計画法では危険な場所に病院や福祉施設、老人施設を作ってもいいとあったから。それは小渕恵三さんが変えたものの運用するのは当該自治体長。田中さんが「集票マシーン」と揶揄する農協や建設会社で、あまり機能していなかったようですが、「だから国はきちんと流域治水でやりましょうと言っている」とか。

現在、国交省では「維持修繕こそ公共事業」という流れになっていると言い、田中さんも「浚渫は1u1万円で地元の業者ができるし、鋼矢板を入れるのも大事なこと」と後押しし、「『隗より始めよ』ということをようやく国交省も言わざるを得なくなってきた」と話します。

そんな田中さんの話を聞き、MCの堀潤は「近視眼的な経済合理性を追求した結果、本来守るべきものが軽視されている。長期的ビジョンが持たれていなかった」と感想を述べると、立命館大学准教授で社会学者の富永京子さんも「明らかに水害・災害が増えている実感はある。やはり長期的なビジョンを持った政策が求められていると感じる」と話していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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