GoToトラベルよりも今すべきは「内需喚起」

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。7月29日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、矢野経済研究所 社長の水越孝さんが“GoToトラベルの問題点”について述べました。



◆キャンペーン的には大失敗!?

賛否の声が上がっているGoToトラベルについて、「いくつか問題がある」と言う水越さん。1つは「キャンペーンの効果」で、「みんなが一斉に動いたときに最大効果が得られるわけで、そういう意味では大失敗」と厳しい意見が。

2つ目は「公平性」。税金を使いながらも基準が曖昧のまま東京を除外したことに関しては「論外」と一刀両断。今回は旅行代理店を介在させた場合が最もメリットが得られる仕組みとなっており、「中小の旅館を支援するなら、手数料を抜かれない直接予約を支援するべき」と指摘。

例えば、長野県は今年のゴールデンウィークの来県者が昨年に比べ98%減と厳しい状況ですが、水越さんは「地方は観光が全てではない」と言います。というのも、長野県の宿泊・飲食・サービス業の県内生産における比率は3.7%。最も大きいのは製造業で約3割。ただ、今は大手企業も生産調整などで相当シビアだそうです。

そこで次に「産業・業界支援の在り方」を挙げ、水越さんは「緊急措置として持続化給付金のようなものはやるべき」とする一方で、「民間企業の資金繰り支援は、(政府の金融機関を通じて融資などを与える)政策金融で対応すべき」と主張します。

しかし、「今回はクラウドファンディングのような形でお金を集めることがあった。注意すべきは、将来の予約券を売ってお金を集めるのは売り上げではない、前受け金であり企業にとっては債務」と言明。なかには、1万5,000円の宿泊費を1万2,000円としている旅館もあり「これは結果的に利息制限法を上回る年利25%で借り入れたのと同じこと。運転資金をこれで回していくと資金が厳しくなることがあり得るので注意する必要がある」と警鐘を鳴らします。

◆総予算1兆7,000億円、水越さんなら?

とはいえ政策金融も返済の必要があります。そこで水越さんは、「返済できるように内需を喚起していくのが産業政策のありよう」と提言。ただ、ここ数年、全国の宿泊・飲食サービス業は伸び、宿泊数は観光産業全体で109%。国内総生産は115%で営業余剰(営業利益)は128%となっているものの、1人あたりの雇用者報酬は99%と労働分配率は低下。「これは企業が内部留保をため込んでいた構図。総量としての雇用者報酬額は上がっているが、1人あたりは下がっている。そうなると内需の喚起はできない」と釘を刺します。

また、内需を外需で補うという考え方もありますが、割合が格段に多いのは内需だけに、「やはり産業政策として内需を増やしていくことが正しい。これができたときに借り入れも返済し続けることができる」と言います。

MCの堀潤は、もはや産業として成り立たない業態があるだけに内需の前段階でお金をどこから持ってくるのか気になるようで、水越さんは「財政投入の仕方もいろいろあるが、そのための政策金融」と言いつつも、「消費する側にお金がなければ消費できない。そこを外部だけに依存してしまうと自分でコントロールできない危機に突然見舞われることもある」と案じます。

そして、水越さんとしてはGoToキャンペーンの総予算1兆7,000億円を約5,800万の全世帯に一律3万円配り、「リフレッシュクーポンとして、旅行でも演劇でもコンサートでも使ってもらったほうが効率が上がると思う」と話していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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