絶賛から炎上へ…「ひろしまタイムライン」を通じて学ぶべきこと

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。9月3日(木)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、令和メディア研究所主宰で白鴎大学特任教授の下村健一さんが“ひろしまタイムラインの問題点”について述べました。



◆ひろしまタイムラインは、なぜ炎上したのか?

「もし75年前にSNSがあったら」という設定で、実在の被爆者が残した日記や手記などをもとに若者らがTwitterで投稿を続ける企画「ひろしまタイムライン」で一部不適切な表現があったことに対し、NHK広島放送局が「配慮が不十分だった」などとお詫びする文章を公式Webサイトに掲載しました。

以前、このコーナーで下村さんが絶賛した「ひろしまタイムライン」。今回問題になったのは中学生のシュン君のツイートで、これは高校生のチームが担当し、最終的にはNHK広島放送局や大人が監修していました。

炎上したのは、「【1945年8月20日】朝鮮人だ!! 大阪駅で戦勝国となった朝鮮人の群衆が、列車に乗り込んでくる!」に端を発する一連のツイート。これは当時の差別感情を今に伝えたい思いとともに「加害感情が無自覚に子どもたちまで持っていた。その恐ろしさを伝えたいから取り上げた」と下村さんは内情を解説し、「それ自体は非常にいいことだと思う」と言います。

しかし、「当時の差別感情を今に持ち込むな」という異論もあり、「被害感情が加害感情に変わってしまうことがある。今に飛び火するのではないかということで対立している」と状況を説明。

◆深い学びのチャンス! 真実を伝え今に繋げるべき

Twitterは訴求力やリアリティがある反面、下村さんは「無理さもある」と言います。そして、近松門左衛門の「芸とは虚実皮膜の間にあるもの」という言葉を引き合いに、「『ひろしまタイムライン』は芸、あくまで創作物であり、だからこそ邪魔にならない補足の仕方の確立が必須」と主張。現在はNHK広島放送局もそこに取り組んでいるそうです。

前回SNSで伝える難しさとして、当事者たちの「今、見る人と繋ぐために私たちが挟まっている」という悩みを紹介しましたが、彼らはリアリティの再現と同時に「当時はこうだったという、何かを加えないといけなかった」と示唆。

一方で、NHK広島放送局の謝罪文に関し「社会防衛ではなく組織防衛になっている」と指摘します。「どう受け取られるかという問題ではない」と言い、謝罪文を「差別を助長していると受け取られないよう努めます」から「差別を助長する結果に繋がらないよう努めます」へ、「今からでも表現を変えてほしい」と提言します。

さらには、「引き算ではなく、足し算で対応してほしい」とも。「これは当時の空気ではあるけれど、当時もこれは民族差別であることは変わりないということを伝えてほしい」、「朝鮮人はそもそもなぜ日本にいたのか」を知らない人のために解説を加えることを望み、「当時だけではない、その感情は今も一部にあると伝え、今に繋げてほしい」と訴えます。

そして、高校生チームへのケアも要請しつつ、「禍転じて深い学びにするチャンス」と下村さん。SNSで過去を再現する手法も非常に有効だけに、NHK広島放送局は今回の件で学んだことを「ぜひ社会に共有してほしい」と望んでいました。

「Forbes JAPAN」Web編集長の谷本有香さんは、下村さんの話を真摯に受け止め、「発信者がどんな意図を持って表現しているのか、つぶさに現していかないと伝わらない。そこが表現できていなかったことに尽きるのではないか」と話していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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