存在しない記者が暗躍、検証困難なディープフェイク最前線

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。8月12日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、「BuzzFeed Japan」元編集長でジャーナリストの古田大輔さんが“ディープフェイク”について述べました。



◆今や世界中に蔓延るディープフェイク

イギリスのバーミンガム大学の学生とされたオリバー・テイラーは、フリーランスのライターとして新聞に寄稿したり、署名入り論説記事などを書いていましたが、架空の人物だったことが発覚。彼の記事を載せた2つの新聞社は身元を調べましたが確認できず、その後フェイク画像の専門家が最先端の法医学プログラムを用いて分析した結果、彼のプロフィール写真は偽造、ディープフェイクだと判明したということです。

「ディープフェイク」とは「人工知能(AI)を利用して合成・偽造された画像・動画」のことで音声も捏造でき、「一般的なファクトチェック技術では検証が難しい」と古田さん。今では「偽物の画像や動画を使い、対立陣営が嘘を撒き散らし合って、お互いに対する憎悪を掻き立てることもできる」と言います。

例えば、コロナ禍に安倍首相夫妻がマスクもせずにのんびり家具の取り付けをしている動画が批判とともに広がりましたが、これは1年前に撮られたものだったとか。一方で、安倍政権に対してマスクもせずにデモをしている動画も批判を集めましたが、これも去年のもの。これらは動画をしっかりと確認すれば1年前に撮られたものだったことが分かり、検証する方法があるものの、これがディープフェイクだとそういった検証自体もかなり難しいと言います。

◆情報をシェアする前に考えよう

そんなディープフェイクに惑わされないために、「みなさんに知っておいてほしいキャンペーンがある」と古田さんが喧伝していたのが、現在国連が実施している「Pause(ちょっと待って)」キャンペーン。これは、自分で検証することは難しいものの、とりあえず情報をシェアする前に考え、疑ってみることが重要という啓蒙活動。

古田さんが理事を務める「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)」でもこれに協力し、「プロの人たちで検証するし、戦う。でも、ユーザーはまず自分たちを守る、(拡散する前に)ちょっと待って、広げるのはやめようというキャンペーンをやっている」と補足。

そして、国連のソーシャルメディア・メッセージ「よかれと思ってシェアした情報が、害を及ぼすこともあります。シェアする前に考えよう」というメッセージとともに「みなさんも(自身を)守る姿勢がとても大事」と強調していました。

信州大学特任准教授の山口真由さんは、誰が真実を判断するかが難しくなっている時代において、アメリカなどで見られる多くの人が混じれば混じるほど真実に近づくという発想には疑問を持っていると語ります。それだけに古田さんの意見に対し、「今はむしろ、よく考えて発信する前に控えることも1つの判断。FIJのような団体がいろいろ出てきて真実を明かしていく、そういう世界になることが1つの希望かなと思った」と率直な感想を述べます。

一方、MCの堀潤はこれを浸透させるためには「フェイクの大元を正していく必要があるのでは」と提言すると、古田さんも同意し、そこで重要なことを2つ挙げます。1つは「教育」。もう1つは「メディア」と言い、「情報を発信する立場の人たちがこういったことに対して自分たちも気をつけ、(みんなにも)気をつけましょうというメッセージを強く発信することが大事」と話していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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