日本の敵基地攻撃能力、専守防衛を掲げる日本の防衛政策は?

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。9月16日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、弁護士ドットコムGMで弁護士の田上嘉一さんが日本の“専守防衛”について述べました。



◆ミサイルの進化とともに盾の時代から矛の時代へ

政府は地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備撤回を受け、敵基地攻撃能力の保有を含む安全保障政策の見直し検討を本格化させ、9月中に一定の結論を得る方針です。相手国内の兵器を攻撃する能力を備えれば抑止力の向上に繋がりますが、逆に周辺国に脅威を与え、緊張を高めかねないため、専守防衛を堅持してきた日本の安保政策を大きく転換させる懸念も高まっています。

安倍前首相は退任前、ミサイル配備や敵基地攻撃能力などを検討する談話を発表。これに対し、田上さんは「退任直前にあんな談話をするのは異例、それだけ思いがあるんでしょう」と印象を語ります。

そもそも、戦争を防ぐために力を持つ「抑止力」という考え方がありますが、「ミサイル防衛については、歴史の変遷とともに考え方が変わってきている」と田上さん。かつては「懲罰的抑止」が主流で、これは「強烈な報復力を示すことで攻撃を断念させること」。「冷戦期は相互確証破壊ということで、お互いやりあったら滅びてしまうから撃つに撃てない状況で安全を保ちましょうという時代だった」と解説します。

しかし、2000年以降はアメリカと日本を中心に「弾道ミサイル防衛」が広まります。これは「物理的に阻止する能力を示して、敵に目標達成の可能性が低下すると思わせる、要は撃ってもムダという"拒否的抑止”の考え方」ですが、「ここへきてフェイズが変わってきている」と言います。

現在は「敵基地攻撃」が主流で、「要は盾の時代から矛の時代に変わる」と説明。なぜなら、ミサイルが変わってきているからで「非常に早い極超音速滑空弾でミサイル防衛を突破したり、巡航ミサイルでレーダーにひっかからずに突破することができる。つまり、何をしても防ぎきれない」と田上さん。

◆変わる専守防衛の概念、しかし政府の姿勢は変わらず

敵基地攻撃能力は「先制攻撃」と混同されがちですが、「これは概念として全く違う」と指摘。敵基地攻撃能力とは「場所的な概念」で、ミサイルなどの発射地点を攻撃すること。また、あくまで武力攻撃の発生が必要で、憲法上、国際法上にも自衛権として認められています。

一方、先制攻撃は相手が撃つ前に攻撃することで「時系列の概念」。これは国際法上違法ですが、アメリカはその概念をいろいろと変えており、「かなり曖昧になってきている」と田上さん。

日本は平和憲法のもと「専守防衛」を掲げています。それは「攻撃を受けたときに初めて防衛力を公使する最小限の防衛。受動的な防衛戦略の姿勢」であり、法律上の概念ではなく政策・ポリシーの話だと主張します。先の安倍前首相の談話でも「専守防衛は変わらない」と言っていましたが、田上さんは「1950年代の専守防衛の概念と今の概念は、兵器の質が全く変わってきているので、中身は全然変わっている」と指摘。

それでも今なお専守防衛という言葉が生き残っているのは、「それを防衛大綱などから外すとおそらく批判がくるから」と言い、そんな状況で「本当にちゃんとした議論なのか」と疑問を呈します。敵基地攻撃能力の保有などに関しても、その理由を話し、理解を得るのが本来の手法であり、「専守防衛はやります、でも攻撃兵器も持ちますでは、どこかで破綻するはず」と懸念していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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