倒木から気象データ1000年分! どうしてわかるのかを解説!

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。9月7日(月)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、化学講師の坂田薫さんが樹木から過去の事象がわかる“同位体”について解説しました。



◆樹木から気候データを抽出する鍵「同位体」

岐阜県瑞浪市で、大雨で倒れた樹齢約1,300年の大杉を洗浄する作業が行われました。この神明大杉を活用し、名古屋大学の研究チームが過去1,O00年間の気象の分析を始めます。

地球上で今、最も長生きする生き物は"樹木”だそうで、最年長と言われているものが樹齢約5,000年。そして、樹木の年輪には「その樹木が生きてきた環境の歴史が刻まれている」と坂田さんは言います。例えば、年輪の幅が広い年は気温が高かった年、狭い年は低かった年だとか。

しかし、年輪の幅の変動は樹木によって大きく変わり、特に日本は温暖湿潤な気候で樹木が生茂りやすいため多くの樹木が光や水を競合することになり、年輪にも大きな影響が。それだけに「今までは気候データだけを純粋に抽出することが難しかった」と坂田さん。

ただ、それも年輪の「同位体」に注目することで、どんな樹木でも共通した気象データを抽出することが可能に。同位体とは「化学的な性質は同じで重さだけが違う原子のこと」。例えば、酸素(O)にも重さの数値が16のO16と18のO18、主に2種類が存在。そして、酸素が含まれる水もO16が入ると軽い水、O18が入ると重い水となり、どちらも普段から私たちが口にしている水だと言います。

◆同位体で気候変動に負けない"強い社会”を

そもそも樹木は根や葉から水を吸収し、それを光合成に使い、成長に必要な物質を作り出していますが、今回、気象データを抽出するにあたって重要なのは重いO18。例えば、雨が少ない年は空気中が乾燥します。そのため、樹木の葉から水が蒸発しやすくなり、そこで蒸発するのは軽いO16。つまりO18が葉に残り、光合成に使われるため年輪に含まれるO18の割合が高くなります。

この同位体の割合を調べる研究は、世界に比べて日本が最も進んでおり、すでに約4,000〜5,000年分が連続したデータとして集まりつつあるとか。そして、それを使って未来の気象予想が行われ、そのなかでこれまで400年に一度大きな気候変動があったことが発覚。ちなみに、次の大きな気候変動は2100年頃と言われているそうです。

総じて、坂田さんは「過去を学び、未来に活かそう!」と提言。この研究は気象予想以上に壮大で、歴史学や考古学と合わせて研究することで、「大きな気候変動があった後、社会がいかに混乱し、人々がどう対応したのかまでわかる」と話します。そして、結果的に成功したのか、失敗したのかというところまで研究され、「最終的には環境の大きな変化が起こった時に強い社会のシステムを構築していくことを到達点に研究が進んでいる」と坂田さん。

さらに、「今の状況をどう乗り越えればいいのか、それは1,000年以上前にヒントがあるかもしれないし、今の私たちの行動は1,000年後の人たちのヒントになるかもしれない」とも話していました。

そんな坂田さんの話を聞き、拓殖大学非常勤講師の塚越健司さんは、「とても壮大でロマンのある話で、すごくワクワクした」と感心しきり。一方、キャスターの宮瀬茉祐子は、「こんなに素晴らしいファクト、データがあるのだから、しっかりと活かしてほしい」と期待していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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