出向は成長のチャンス!? ANAに見る「新たな職務保障と雇用の流動化」

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。11月2日(月)放送では、健康社会学者で気象予報士の河合薫さんがANAに見る新たな職務保障と雇用の流動化について述べました。



◆困窮するANAが将来のために実施した2つの良策

ANAホールディングスは、新型コロナウイルスによる旅客需要の激減で、2021年3月期の連結業績が過去最大の赤字となる見通しを発表。片野坂社長は航空事業の規模は縮小するものの「社員の雇用は守る」と説明。整備などの外注業務を内製化するほか、グループ外企業へ従業員を出向させる形で一時的に人員減の考えを示しています。

片野坂社長の考えを語る上で、かつてANAに在籍していた河合さんはANA初代社長・美土路昌一さんの言葉"現在困窮 将来有望”を紹介。これは文字通り「今苦しくてもとにかく耐え、それを乗り切ることが将来に繋がる」ということ。

ANAに限らず、コロナ禍で多くの会社が変化を求められるなか、「その会社がそこに至るまで先人がどういう会社を作ってきたのか立ち戻った上で変革していかないと必ず潰れてしまう」と明言。

ANAは、コスト削減のためにさまざまな策を講じており、河合さんはそのなかから「ぜひ他企業でもやってもらいたい」と2つの策を挙げます。

1つは「キャリアアップ活動に使う無給の休業制度を最大2年」。もう1つは「一部社員を他社に出向」。他社への出向と聞くと、多くの人がネガティブに捉えがちですが「私からすると、こんなにいいことはない。これぞ日本らしい職務保障で雇用の流動化になる」と称賛する河合さん。これは以前からトヨタや第一生命などでも行われており、社員にとっては「本当に良い経験になる」と強調します。

◆出向の大きなメリットとは?

健康社会学的に、そもそも"私(自分)”というものは、私と私を取り囲む半径3mの環境によって作られるそうで、環境の影響はとても大きいと河合さん。また、"自己=私が何を思うか”と考えたときに、よく言われる「私(自分)がある人」は、自己がしっかりしている人のことを指します。

そして、今回のような出向の際、「出向されちゃう」「CAなのになぜこんなことをしなくてはいけないのか」などの考えになってしまうと「周りから流されるだけの(自己の弱い)人になってしまう」と危惧する河合さん。

一方、「自分ができることを120%やる」、「謙虚な気持ちで学ぶ」、「絶対に成長する」という強い自己を持って臨むと、周りから吸収でき、自分も周りに影響を与える存在、さらには出向先・出向元、双方から求められる人材になれると言います。だからこそ、「こういったことができる会社、こういったことに耐えられる個人になっていくことが新しい成長に繋がる。まさに"現在困窮 将来有望”になる」と主張します。

ここで堀から周りに流されない、自己を保つ手段について質問が。すると河合さんは、過去に700人以上にインタビューした結果、「(出向しても)誰もが自分が置かれた環境で成長してきている」と言い、提案したのは「自分の履歴書を書くこと」。強い自己を持つためには、「まずは自分を理解すること。自分を知ることが最大の武器になる」と声を大にします。

IT批評家でリゾートワーカーの尾原和啓さんは、"自立とは誰にも依存しないことではなく依存先を増やすこと”という言葉を引き合いに、「複数から評価されることで初めて本来の自分に気付ける」と河合さんの話に賛同。

キャスターの宮瀬茉祐子は終身雇用や専門職に対するメリットが薄まるなか、「複数のスキルを身につけるためには、逆にこのような機会がないとできない」と話すと、河合さんは「しかもそれを会社がサポートしてくれるなんて最高!」と付け加えていました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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