税制を見れば国の考えがわかる…2021年度の税制改正のポイントは?

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。1月19日(火)放送の「オピニオンCROSS neo」では、税理士の中島加誉子さんが“2021年度の税制改正のポイント”について解説しました。



◆コロナ関連の措置も…2021年度税制改正大綱

政府は2021年度の税制改正大綱を閣議決定しました。今回の税制改正大綱には新型コロナウイルスで打撃を受けた企業や個人の負担を和らげるため、全ての土地を対象に固定資産税の税額が2021年度に限って増えないようにする措置などが盛り込まれています。

税制改正に関しては、通常、前年12月に大まかな案が示された「大綱」が作られ、それをもとに検討を重ね、3月に国会を通し、4月に施行というスケジュールになっています。今後政府は、国会で予算や税収などについて決めていくため、「ぜひそこも注目してほしい」と中島さん。

このコロナ禍にあって支出が溢れるなか、MCの堀潤は「収入はどうするのか」と危惧。実際、2020年度の税収は当初62〜63兆円と推測されていたものの、最終的には57兆円程度。その一方で、2021年の税制改正大綱では昨年度よりも税収が上がることになっており、中島さんは「コロナ収束という楽観的な面が出ているのが不思議」と首を傾げます。

中島さんによると、税制改正大綱は130ページ程度あり、昨年のものからの変更点も多岐に渡ります。そこで中島さんがテーマ別でその中身の注目点を紹介。

まず挙げたのは「節税スキームを封じる改正」。これは毎年のように改正されているそうで、「制度を作っても本来の趣旨とは違う形で節税することが蔓延している」と中島さん。そのなかで今回は「教育資金贈与」を取り上げます。これは子どもや孫への贈与は1,500万まで贈与税がかからないというもので、「節税のために、自分の財産を減らすために子や孫に(財産を)ばら撒くということで、すごく使われた」と言います。そのため、この制度の見直しをしています。

そして、地味に盛り込まれているのが「勤続5年以下の退職金」。例えば、ヘッドハンティングされ、そこで3〜4年働くとなった場合、その間の給料を下げ、その分退職金を多く貰うことが多いと言います。なぜなら、退職金は社会保険がかからない上に税金も得だから。そのため最終的には手取りがものすごく多くなるわけで、そういったことを封じ込めるための施策も取り入れられています。

また、菅政権の主軸となる「炭素とデジタルとコロナ」に関連する企業、さらには雇用や給与をアップした企業には税金を優遇することを今回はより拡充しているとか。中島さんは、「税制は、こういう風に社会を変えていきたいということで、それを後押しし、企業も協力してくれるのであれば税金を安くしますよということ」といい、税制とはなんたるかを解説。

コロナ関連の改正では前述の固定資産税の措置、そして住宅ローン減税も延長に。その上、これまで床面積50平米以上が対象だったものが40平米まで広がっており、中島さんは「所得も少なく、小さな家を買う人にも適用されるようにした」と評価します。

そのほか、現代社会に合わせた改正のなかで中島さんが驚いていたのは、申告書の押印を不要にしたこと。その他にも紙ではなく電子帳簿で保存することやスマホで納税できるようにするなど、「どんどんデジタル化を進めている」と政府の思惑を明かします。ちなみに、電子申告すると税金が若干得になるような制度もあるとか。

ただ、積み残しもあり、例えば今は住宅ローンの金利が1%以下ですが、残高の1%がバックされるという制度があり、なかには儲かってしまう人がいるため、これは来年改正する方向で進めているようです。また、現状では退職金は1社に20年以上勤めると得になりますが、中島さんは「1社に長く勤めることで税金をおまけしてあげるというのを国がやる必要があるのか」と疑問を呈し、「社会が変わったのでここも改正してほしい」と訴えます。

こういった積み残しもあるものの、税制改正について中島さんは「どんな中身があるのか、そこから国が考えていること、今後、国がどうデザインしていきたいのかが見えるので、ぜひ注目してもらいたい」と話していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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