中国海警法は国際法秩序への挑戦…尖閣問題にさらなる危機

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。1月27日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」では、弁護士ドットコムGMで弁護士の田上嘉一さんが“中国海警法”について述べました。



◆中国が海警法を可決…外国船への武器使用が可能に

中国全人代の常務委員会は、中国海警局に外国船舶に対する武器使用を含む権限の拡大を認める「海警法」を可決。これにより西太平洋で偶発的な軍事衝突のリスクが高まる恐れがあります。

田上さんは開口一番「重大な危機」と警戒感を露わにします。そもそも昨年6月に人民武装警察法が改正され、日本で言う海上保安庁となる中国海警局が人民武装警察の傘下、軍隊を組織する中央軍事委員会の組織下に入りました。これが何を意味するかと言えば「海警局が海軍とほぼ一体化したということ」と田上さん。その上で今回新たに海警法が制定されました。

この海警法の問題点は大きく3つ。まずは海警局が軍隊であり、警察でもある、軍隊と一体化した組織になったということが明文化されたこと。2つ目が法執行権で、海警局の権限の範囲が内水、領海、接続水域など国際法・国連海洋法条約にある定義に加え、中国が管轄するその他の海域も全て対象内に。これについて田上さんは「これが何を意味しているのか定かではないが、非常に曖昧でいわゆる南沙諸島領域や尖閣諸島も入るのではないかと考えられている」と不安視します。

◆海警法がもたらす危機…日本は対抗手段がない!?

そして、田上さんが最も注視しているのが3つの「武器使用規定」。今回の「海警法」は外国公船に対しても武器使用を含むあらゆる措置で排除できると規定されており、これは国際法の「管轄権免除」に反する考え方だと言います。

というのも、世界にある全ての国は平等で「国家主権以上の権力は地球上に存在しない」と田上さん。つまり、国の権力で違法操業船や海賊船を取り締まることはできるものの、他国の公船、軍艦、巡視船などを取り締まったり、逮捕したり、法執行できないと国際法で決められており、それが「管轄権免除」ということ。

国際法上は日本の海上保安庁の船を中国の海警局が強制措置をとることはできないわけですが、海警法ではこれを完全に無視。しかも、「これがいわゆる警察的な法執行権限なのか、軍隊としての行動なのかも曖昧」と田上さんは不安を募らせます。

具体的な危険性としては、現状日中ともに尖閣諸島の領有権を主張しているだけに、そこで日本の巡視船が攻撃される可能性が。しかも、それに対し「日本は対抗手段を持っていない。これは憲法の話ではなく、国際法上、対抗する手段が極めて弱い」と話し、田上さんはさらなる問題点を提示。そして、もしも攻撃された場合、「日本は自衛権を行使するのか」、はたまた「アメリカは参戦してくれるのか」などさまざまな対策を想定しつつ、「いわゆる対中包囲網がより激化していく」と推察します。

田上さんとしては、「アメリカをうまく活用していかないと日本単独では(中国には)到底太刀打ちできない」と言い、国際世論を味方に付ける重要性、争いごとを起こさないようにするための方法を模索しつつ、「弱みを見せたらやられてしまう可能性もある。海警法によって危機がエスカレーションしている」と危惧していました。

化学講師の坂田薫さんは、アメリカの後押しや世論を味方に付けることも重要だとしつつも、「まずは日本政府が毅然とした態度を示さないと、後がついてこない」と自身の見解を示していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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