台湾の美人囲碁棋士、黒嘉嘉独占インタビュー。「いずれは映画にも出てみたい」

台湾の美人囲碁棋士、黒嘉嘉独占インタビュー。「いずれは映画にも出てみたい」

オーストラリア人の父と、台湾人の母を持つ黒嘉嘉はその美貌を生かしモデル活動も行う。第1回穹窿山兵聖杯世界女子囲碁選手権準優勝、女子囲棋最強戦3連覇などの実績を持つ

 2月22日に行われた囲碁の国際女流棋戦「SENKO CUP ワールド碁女流最強戦2019」で筆者は、対局後、黒嘉嘉の独占インタビューに臨んだ。間が空いてしまったが、その場で果敢にもインタビューを申し込んだのは筆者だけ。その時の様子をお伝えする。

 余談だが、Wikipediaなどを見るとHei Jiajiaという彼女の名前にジャアジャアというルビが振ってあるが、筆者の耳には「チァチァ」のほうが近いように聞こえる。

◆仲邑菫初段の美点は「9歳にして感情の揺れがない」こと

 まず筆者が聞いたのは、当然と言えば当然だが、読者の興味を考えて「仲邑菫初段についての印象」だった。

「まず何よりも、彼女は本当に可愛らしいですよね。対局中は、ずっと冷静さを保ち続けていました。通常、あの年齢の子供が碁を打つと、上手くいかなくなった時にフラストレーションを発してしまう場合が多いのですが、彼女は最初から最後まで冷静さを保ち続けていました。それは間違いなく彼女の特筆すべき美点だと思います」

 筆者はさらに「対局中、敗勢になったスミレの打ち手にいら立ちは出たか」聞いた。

「それは全くありませんでした。打ち手にも感情の揺れはありませんでしたね」

 ジミーのスマホで表示されていたAIの戦況分析によると、ある時点で黒嘉嘉の勝つ可能性がほぼ100%になった。一体どこで形勢が決定づけられたのだろう?

◆インターネット対局が育てた黒嘉嘉が語るAIの可能性

「今回の対局は極端に持ち時間が短かったこともあり、私自身中盤でいくつかミスを犯してしまいました。具体的に何手目とは言えないのですが、このミスからしばらくして彼女のほうがあまりよくない手を打ったことが決め手となり、形勢が決まったのだと思います」

 あらためて黒嘉嘉が強調したのは「対仲邑菫戦における持ち時間の短さ」だった。

「今回の大会では持ち時間2時間のあとは一手60秒でしたが、彼女との対局では持ち時間10分でその後一手30秒でしたから、私自身もいくつかミスを犯していましたね」

 黒嘉嘉は少女時代に三年間米国で暮らしていた。当然碁の技術書もほとんどなく、対戦相手もほとんどいなかったはずだ。この期間にどうやって強くなったのか。

「あの頃の唯一の強くなる方法はインターネット対局でした。一日三・四局は打っていました。中国・韓国・日本などあらゆる国々の人と対戦していました。初めて渡米したのが11歳でしたが、一・二年のうちに急速に強くなったのは確かです。あとはあらゆるプロ棋士の棋譜を研究したりとか、そんな感じですね。まだ当時はAIがありませんでしたから、自分でどの一手がおかしかったのか推測するしかありませんでした。でも今はAIがどの手がおかしかったか、すぐに教えてくれて対局の相手もしてくれますからね」

◆ヨガと水泳を欠かさず行う

 最近は、ネットの対局で強くなった棋士は確かに何人かいる。将棋で言えば、石田直裕五段は地元の北海道・名寄にいる間は師匠の所司和晴七段とネット対局していた。同じく師匠とのネット対局で強くなったのが井山裕太五冠である。ただ、この場合はどちらも師匠と対局していたわけで、「誰とでも」対局していた黒嘉嘉とは明らかに異なる。

 筆者が井山裕太にインタビューした時、彼は「運動の重要性」を強調していた。安定した強い碁を打つためには日々のエクササイズが不可欠なのだという。この話をすると、「イヤマ?」と黒嘉嘉は不思議そうな顔をする。「書いてもらえますか?」というので筆者が手帳に「井山裕太」と書くとやっと納得の様子を見せる。彼女は井山裕太の名前を中国語読みで覚えているようだ。

「Jiajiaは定期的にどんな運動をしていますか?」と聞くと、

「スポーツという意味ですか? それなら私はほぼ毎日台北のプールで水泳をしています。小学校三年から六年まで四年間水泳教室に通っていましたからね。あとはヨガですね。ほぼ毎日一人で20分くらいやってます。走るのは苦手ですね。小学校の頃からなぜか走るとお腹が痛くなるんですよ。ですからウォーキングまでです」だという。

◆芸能事務所にも所属。いずれは映画にも出てみたい

 黒嘉嘉は芸能事務所に所属している。どういった理由からなのだろうか。

 「私自身、色々な新しいことに挑戦してみたいのです。事務所に入ることにより、歌や演技のレッスンも受けていますし、メイクアップのレッスンも受けています。そういった今までにやったことがないことに挑戦し、自分自身の幅を広げられると思っています」

 つまり、黒嘉嘉は今後映画出演などにも興味があるということだ。台湾史上おそらく最大のヒット作といえば「海角七号」だろう。

「ああ、見ました見ました!でも十年くらい前ではないですかね。あまり内容は覚えていませんね。私、どちらかというと台湾映画はほとんど見ません。ハリウッドの映画が多いですね。好きな作品を一つ選ぶとすれば…“ミニミニ大作戦”(原題:Italian Job)でしょうね。コメディ作品をよく見て、たまにアクション映画も見ますけど、血が流れるのはイヤですね。あと、殴り合いもあまり好きではありません。血が出ないアクションなら大歓迎ですけど」

◆台湾出身の囲碁棋士はほとんどが中国系の外省人である

 ここで筆者は、黒嘉嘉の母方の祖父がどこから来たか聞いてみた。

「私が聞いているのは、中国の湖南省出身ということですね。おそらく、戦後に台湾へやってきたのではないでしょうか。でも母は生まれも育ちも台湾で、私自身はオーストラリアで生まれたのですが、四歳の時に台湾へ移り住んだということです」

 母方の祖父について聞いたのには理由がある。台湾出身のプロ囲碁棋士、つまり林海峰も張栩もそうだが、ほとんどが中国系の外省人なのだ。筆者の経験上、日本でも大活躍した台湾の偉大な野球選手はほぼ全員が原住民出身であり、囲碁棋士は中国系の外省人である。

「四歳で台湾に移ってから、私は台北の小学校に通いました。姉が一人いますが、私たちが英語に加えて中国語も話せるようにというのが両親の願いだったようです。ただ、父は未だに一切中国語を話せません。長年私たち家族が努力して教えようとしたのですが、ダメでしたね。長年エンジニアとして働いていたのですが、会社の同僚が全員英語を話せるということで、中国語を話せるようになることはありませんでした。昨年定年退職しましたね」

◆可能な限り、長く続けていきたい

 今後、黒嘉嘉はプロ棋士としていつ頃までやっていきたいと考えているのだろう。

「それはもう、可能な限り長く続けていきたいです。しかし、もっと下の年齢で強い棋士が出てきていますし、競争は激しくなるばかりで最近は若いうちに引退する人も結構いますよね。しかし私としては少しでも長く続けていきたいというのが希望です」

 次回は、AI時代における囲碁の在り方と仲邑菫の将来についてさらに黒嘉嘉に聞くこととしたい。

【タカ大丸】

 ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『ジョコビッチの生まれ変わる食事』は15万部を突破し、現在新装版が発売。最新の訳書に「ナダル・ノート すべては訓練次第」(東邦出版)。10月に初の単著『貧困脱出マニュアル』(飛鳥新社)を上梓。 雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。

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