タイガー・ウッズ復活で意外なものも「復権」。全米注目のアイテムとは?

タイガー・ウッズのマスターズでガムを噛む行為に全米注目 MLBではガムは減少傾向

記事まとめ

  • タイガー・ウッズがマスターズで14年ぶりに優勝、意外なものが脚光を浴びている
  • ウッズがプレー中にガムを噛むのは珍しい行為のため、全米が『ウッズのガム』に注目
  • ウッズはガムを噛む理由について「お腹が空くことが多いから」と説明している

タイガー・ウッズ復活で意外なものも「復権」。全米注目のアイテムとは?

タイガー・ウッズ復活で意外なものも「復権」。全米注目のアイテムとは?

Photo by Andrew Redington/Getty Images

 タイガー・ウッズが伝統あるマスターズで14年ぶり、メジャー選手権では11年ぶりとなる優勝を果たし完全復活を遂げたことで、米国だけでなく世界のゴルフファンが沸いている。同国内ではマスターズが終わった後も連日のようにウッズ関連の話題がメディアを賑わし、熱狂冷めやらぬ状況だ。

 そんな中、ウッズのおかげで実に意外なものまで脚光を浴びる社会現象も起きている。

 何と、チューイングガムだ。

◆全米が「ウッズのガム」に興味津々

 今回のマスターズで、ウッズはプレー中にガムを噛んでいた。これまでのウッズには見られなかった珍しい行為であることから、米国のツイッターユーザーの間では「何でタイガーはガムを噛んでいるの?」「ガムに何か意味があるのか?」「秘密を知りたい」「僕もタイガーが噛んでいるガムが必要だ」などの声が上がり、ちょっとしたバズ現象が起こっていた。

 米メディアもウッズのガムに注目し、大会中の会見の席でウッズ本人にガムを噛んでいる理由を尋ねている。USAトゥデー紙によると、そのときのウッズの答えは次のようなものだった。

「僕がなぜガムを噛んでいるかというと(ラウンド中に)お腹が空くことが多いからです。普段から非常に食欲旺盛なのでお腹が空きます。ガムを噛むことで多少は食欲を抑えることができるというメリットがあります。ツアーを戦うときに僕がいつも直面する問題は、皆さんもご存知のように、体重が激減するということですからね」

 この答えが物足りなかったのか、米メディアがガムの効果をさまざまに検証する番組や記事も続出した。米ケーブルテレビのゴルフ・チャンネルでは、米ゴルフツアーで11度優勝経験のあるプロゴルファーのジョン・クックが「プレッシャーを軽減するためだろう。僕自身もかつて、大会中に妻から落ち着いてと言われガムを渡されて噛んだことがある」と解説。ツアーで41度の優勝を経験し米CBSテレビで解説を務めるニック・ファルドは「ペパーミントのガムを噛んでいるのではないか。ミントは集中力を高めるのに役立つ」と述べている。(参照:「Golf Channel」)

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◆独自調合のガムを愛用する選手も……

 実はガムを噛むプロゴルファーはウッズだけというわけではなく、フィル・ミケルソンは今年1月からガムを噛んでおり、ミケルソンのガムへのこだわりとその効果が3月14日付のニューヨーク・タイムズ紙で長い特集記事になっている。

 それによると、ミケルソンは「噛むという動作は脳の前頭前皮質を刺激する」と話し、科学的分析に基づいて主に認知機能を高める目的でガムを噛んでいるという。同紙はガムを噛む効果に関する過去の研究データも紹介しており、セントローレンス大学の心理学者らが2011年に行った研究によると、ガムを噛むことで人はより慎重に思考するようになり、脳が新たな情報を処理する能力を高めるという結果が出ているという。

 何のガムを噛んでいるかについてミケルソンは「まだ販売はされていない」と話しているため、成分やフレーバーを独自に調合したオリジナルのものを愛用しているとみられる。

 それだけガムを重視しているというわけだ。

◆MLBではガムは減少傾向

 ところでチューイングガムは、ゴルフだけでなく他の米スポーツ界でも古くから馴染みがある。プロバスケットボールNBAで神と崇められたマイケル・ジョーダンもプレー中にガムを噛んでいたし、野球のMLBでは試合中のベンチに必ずチューイングガムが置いてあるため、米国ではガムといえば野球のイメージが強いかもしれない。

 MLBを取材することの多い筆者は試合前の練習中、バケツ型容器に入れてベンチに置かれているガムを味見することが度々あるのだが、どこの球場もフレーバーは甘いフルーツ系でミント味はなし。ヤンキースタジアムのガムバケツにはフルーツ系が5種類ほど入っているが、やはりミントはない。球場ではかつて、選手がガムを噛んではそこら中に吐き出すため、試合前に取材でグラウンドを歩いていると必ずといっていいほど靴に噛んだ後のガムがこびり付き閉口したものだった。

 それがあるときから、MLB全体でガムを吐き出すことを禁止するようになり、今は以前ほどガムを噛む選手は多くないかもしれない。そこで日本の菓子メーカーである森永製菓が、吐き出さずに食べられるチューイング菓子ということでハイチュウをMLBにアピールして普及させ、選手のクラブハウスにハイチュウを常備している球場も増えた。いまだにどの球場でも試合中にはガムバケツが置かれているが、それは伝統の継承のような趣が強いのかもしれず、ガム自体がクローズアップされることはない。

 そう考えると、ウッズによって噛む理由や効果にこれほど注目が集まったことは、ガムにとってはエポックメーキングな出来事だったのではないだろうか。

<取材・文/水次祥子 Twitter ID:@mizutsugi >

みずつぎしょうこ●ニューヨーク大学でジャーナリズムを学び、現在もニューヨークを拠点に取材執筆活動を行う。主な著書に『格下婚のススメ』(CCCメディアハウス)、『シンデレラは40歳。〜アラフォー世代の結婚の選択〜』(扶桑社文庫)、『野茂、イチローはメジャーで何を見たか』(アドレナライズ)など。(「水次祥子official site」)

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