2019年に日本を席巻した「タピオカ」。タイではブームを超えて定着!?

2019年に日本を席巻した「タピオカ」。タイではブームを超えて定着!?

チーズティーをバーナーで炙り仕上げてくれる

◆2019年の日本は「タピオカ」が席巻

 2019年もいよいよ終わりに近づいているが、振り返ってみると今年もまたいろいろとあった。その中で、タイにも影響があった日本のブームのひとつにタピオカティーが挙げられる。もう日本ではこのブームもメディアではあまり騒がれなくなってきているようだが、タピオカティーの今回のブームは実はタピオカ第3次ブームだとされる。

 言われてみれば、ナタデココなどと共にココナッツミルクに浸された小粒のタピオカのスイーツが流行ったが、それが1次とされ、第2次は1990年代後半の、現在と同じタピオカティーのブームだ。

 時代的にこの第3次ブームは爆発的な人気と一緒に問題点も議論された。糖分による健康被害や、SNSなどに画像を投稿するために買うだけ買い、飲まずに捨てるなどの問題がメディアに取り上げられた。タイ在住の筆者は日本で若い子たちが道端に捨てる様子を直接見ることはなかったものの、妙なノスタルジーを感じた。最近、その気持ちがなんだったのかに思い当たった。それは筆者が小学校低学年のころに起こったビックリマンのブームだ。シールほしさに買うものの、菓子は捨ててしまう男子児童がたくさんいた。筆者はその様子を間近に見ていたので、歴史は繰り返すものだと思ったものだ。

◆タイでも増えつつあるタピオカスタンド

 さて、タイにおいても2018年から全土的にタピオカティーのスタンドが増えに増えている。とはいえ、筆者が初めて来た1998年、ちょうど第2次ブームが日本で起こっていたころには台湾からタピオカティーの店が進出していた。それ以降も、タピオカパールのアイスティーは定番化していて、すでに珍しいものではなかった。

 そもそもタイは昔ながらの伝統的な菓子にタピオカは欠かせないものだ。タイ料理などに使われる片栗粉もタイではキャッサバというイモを原料にしたもの、つまりタピオカパールの原料と同じものである。タイでは当たり前の食材であり、化粧品などの原料にもなる。タイ商務省によれば、2019年は世界最多の輸出量になるのだとか。日本の税関によれば、2000年代に入ってから2017年までの15年以上、タイ産のタピオカ原料が日本の輸入シェア第1位だったそうだ(2018年は台湾産が第1位に)。それくらい、タイではタピオカが当たり前のものだ。

 これが、近年のSNSに「映える」画像を載せたい心理と、生活様式の変化が重なったことでタイでもコーヒースタンドやカフェの増加に繋がり、同時に日本や韓国、発祥の台湾でタピオカティーが再ブレイクしたことを受け、タイでも改めて店が増えたと見られる。

◆タイでは「すでに定着した」感じ

 タイもネットによる情報量の増大からライフスタイルが多様化し、それに伴ってコーヒーやお茶を飲む人が増えた。タイ国内ではコーヒー豆や茶葉の生産は昔からあるが、ベトナムやカンボジア、ラオスのフランスによる統治があった国と違い、一般的な国民にそれらを嗜む習慣がなかった。それがライフスタイルと共に徐々に変化したと見られる。

 ただ、タイでは買って撮影だけして捨てる人はほとんどいない。すでに定番化している飲みものなので、今さらと思っている人も少なくないのだろう。とはいえ、タピオカティーのスタンドが増えているのも事実だ。その様子をよく見てみると、タイではタピオカティーにプラスαになっているようでもある。ブームが必ずしも日本からだけとは限らないためか、やはり台湾で始まったチーズティーがタピオカティー再来と同時にタイに上陸し、タピオカとチーズティーが一緒になっている店もある。

◆「暑い」タイでは体力回復にも最適

 チーズティーは、お茶の上にチーズで作ったクリームを載せているものだ。店によってはバーナーで炙るなどする。ネットで見ると、日本に専門店が初めて登場したのが2018年らしい。しかし、筆者が確認している限りではタイとベトナムは2017年にはチーズティーの専門店が台湾から上陸している。チーズティーに関しては若干、東南アジアが日本よりも早かったからか、すでに郊外でもスタンドを見かけるようになっている。さすがにチーズとお茶が合うとは思えなかったが、これが案外コクがあって飲めるものだった。

 タイを始め東南アジアは1年中気温が高いので、何年住んでいようが日中の酷暑は身体にきついものがある。そういったときにタピオカティーやチーズティーの甘さは体力回復に向く。タイでもタピオカティーの糖分などによる飲み過ぎの健康被害に警告が出ている。しかし、一過性ではなく、完全に定着しているところを見ると、チーズティーはまだわからないが、少なくともタピオカティーはタイにぴったりの飲みもので、今後もビジネスとして成り立っていきそうな雰囲気だ。

<取材・文・写真/高田胤臣>

【高田胤臣】

(Twitter ID:@NatureNENEAM)

たかだたねおみ●タイ在住のライター。最新刊に『亜細亜熱帯怪談』(高田胤臣著・丸山ゴンザレス監修・晶文社)がある。他に『バンコクアソビ』(イースト・プレス)など

関連記事(外部サイト)