父親からの借金でイベント拡大。それでも凱旋MCBATTLEが成功できたワケ<ダメリーマン成り上がり道 #29>

父親からの借金でイベント拡大。それでも凱旋MCBATTLEが成功できたワケ<ダメリーマン成り上がり道 #29>

MC正社員(左)と怨念JAP(右)

 YouTubeの動画配信にも力を入れてきた凱旋MCBATTLE。23歳にして人気MCバトルイベントを主催者するのは、怨念JAPだ。彼をサポートする家族の存在とは? そして、ヤンチャだった彼が敏腕オーガナイザーになるまでの経緯とは? 当連載でお馴染みのMC正社員が本音を引き出す。

◆イベント拡大の影にあった父親の存在

??10代後半からイベントに関わっていくにあたって、家族の反応はどうでしたか?

怨念JAP(以下、怨念):「最初はめちゃくちゃ反対されて、『早く就職しろ』みたいな感じでしたね。『早くどこかの社員になれ』みたいな。ただ、このあいだのZEPPとかも家族を長野から呼んで、イベントを見るようになってからは、さすがに何も言われなくなりましたけどね」

MC正社員(以下、正社員):「お父さんからお金借りたんでしょ?」

怨念:「そう。最初は渋谷のclub bar Familyでやっていて、初めてVUENOSでやったときに100万円借りましたね。親父がやりたいことをやれという感じだったので、『そこまでやりたいことなら』と。『これだけバイトして頑張ってやってるけど、それでもでっかいイベントになると、ちょっと足りないんだけど、このタイミングでやりたいんだよね』って言ったときに、『じゃあ100万円だったらいいよ』と。イベントを始めて、人は常に入ってるけど、常に赤字だったので、1年半ぐらいは週6で13時間ずつバイトしながらやっていました。その100万円はもう返しましたよ」

正社員:「そういうところが怨念はスゴいよね」

怨念:「昼の12時から夜中の1時までバイトして、休憩時間とかに連絡を返したりして。それでも赤字だし、一人暮らしでお金もかかるし。結構、貧乏でしたね。親父も『ヒップホップのイベントやりたいから』って、よく貸したなとは思いますけど」

正社員:「俺も自分の子どもだったら貸すけどね。100万円あれば。子どもと他人は別よ」

怨念:「次の日に振り込んでくれましたからね」

◆バイト仲間からも慕われる存在に

正社員:「この記事を読んでも、若い子は真似しないほうがいいですよ。俺が思うに、オーガナイザーはそういうやつがめちゃくちゃ多いんで。要は借金しまくって。ただ、怨念と違って友達に借りたりとか。で、デカいカネ作ってイベントやっていくんだけど、結局返せなくてバックレたり」

??必ず成功する保証はないですもんね。

正社員:「怨念はバイトとかしたうえですからね。この業界は俺もそうなんですけど、主催者でも人間としてダメなやつは多いと思いますよ(笑)。俺とかも前にいた会社はめちゃくちゃ迷惑かけて最終的にいきなり辞めてるし。怨念とかはバイトして、最終的に送別会とかまでしてもらって、『これからも頑張れよ!』とか言われて辞めてるんですよ。基本的な人のレベルが高い。徳がある(笑)」

??本人が努力していて、引っ張る力があれば、周りもついて行きたくなりますよね。

正社員:「俺が見ている限りだと、人としてめちゃくちゃ成長してますよ。一番最初に会ったときの怨念と今の怨念は全然違う。だから、真似しようと思うやつがいるかもしれないけど、無理だからって言いたいですね。この前も怨念に『ユーチューバーのヒカキンさんって人の悪口とか絶対言わないらしいよ。晒されてもいい会話しかしないから、必然的にいい人になるんだって』って話したんですよ。いい人になって悪口も言わなければ、人としてのレベルも上がってくと思うんです。ただ、その話をした10分後ぐらいに、俺はもう悪口を言ってるんですよ(笑)でも、怨念はその話をしてから、ホントに人の悪口を言わないす」

怨念:「言わないですね」

正社員:「ちょっと怖いなみたいな」

怨念:「お酒入ってベロンベロンに酔っ払っていても言わないですね」

正社員:「僕は悪いこと言いすぎて喧嘩になるから、酒やめてますからね(笑)。 普通の人は怨念みたいなところに行けないと思う。人間として高い。俺と一緒にイベントの手伝いに入った戦極第13章でも、そうでした。普通の18歳だったら『俺もイベントやろう』とか、そこまで意識が向かないと思うんですよね。『タダで入れてよかったー』みたいな」

◆イベントが黒字になる転換点

??当初は赤字続きとのことですが、黒字転換したのはいつ頃ですか?

怨念:「去年やったShibuya O-EASTからですかね。『イベントって、黒字で何十万とかまとまったお金が入るんだ』って思いましたね。チケットの金額と集客のバランスですよね」

正社員:「400〜500人の人を集めるには、結構出演者を用意しなきゃいけないんですよ。そのたびにギャラもかかるし。ただ、1000人とかになれば、それが儲かるようにはなると思いますけど。この記事を読んでも、絶対真似しないほうがいい!」

怨念:「あと、みんなが思っている以上にオーガナイザーって仕事は体によくないですからね。精神状況も含めて」

??まだ23歳ですが、イベントを主催するにあたって年齢で損したことはありますか?

怨念:「逆に若いからこそ、得したことのほうが多いと思いますよ。初対面とか、目上の人と話すときも、若いからこそ気持ちを正直に伝えられるというか。例えば、40代の人がイベントを始めて、普段のギャラが5万円とかの人に『すいません、お金がないので1万円で出てください!』って言ったら、『は?』ってなるかもしれないですよね」

??「舐めてるのか!?」ってなりますよね。

怨念:「でも、20代のコがどうしても出てほしいって気持ちと、ギャラはこれしか出せませんっていうのを正直に伝えたら、気持ちが伝わった人はそれで出てくれるので。お金だけでなく、いろんな面で助かったことのほうが多いです」

◆ヤンチャだった過去を捨てられた理由

??イベントを作り上げていくうえで、大事にしてるのは先ほどおっしゃったような悪口を言わないなど、気持ちの面が大きいですか?

怨念:「一番大事なのは一般常識を持つことじゃないですかね」

正社員:「怨念も最初ラッパーとしてMCバトルに出ていた頃は、常識なかったですからね。ヤンチャだし、いきなり坊主頭にしてきたりするし。MC MIRIちゃんに中指立ててラップしたり、じょうとバトルして、掴み合いになったり。一度、僕が一人でGADOROのワンマンに行ったら、知らない女の人に声かけられて『私、怨念JAPくんにヤリ捨てされたんですよね……』って言われたこともありますよ(笑)。これは絶対書いてほしいな(笑) そのときめっちゃ女癖悪かったもんね?」

怨念:「19歳ぐらいまでに、普通の人の人生の3倍分ぐらい遊びましたね」

正社員:「でも、優しいし、ルックスもいいし、それで若かったら女癖が悪くて当たり前だよ。最近はそれすらも直してるから。あんまりいじるところがなくなってきた(笑)」

怨念:「好き勝手やりまくって適当だったから、スイッチを切り替えるタイミングがハッキリしてましたね。ズルズル引きずらないというか」

正社員:「自分で気づいてないけど、それはヒップホップが成長させてると思うんですよね。イベントをやってくなかで、VUENOSで年に3回やって……。それってスゴく大変なんですよ。下手したらO-EAST3連発より難しいかもしれない。そういうことをやってくうち、自分が少しでも隙があっちゃダメだと気づいたと思うんですよ。それを気づかせてくれたのがヒップホップだから、スゴいですよね」

<構成/HBO編集部>

【MC正社員】

戦極MCBATTLE主催。自らもラッパーとしてバトルに参戦していたが、運営を中心に活動するようになり、現在のフリースタイルブームの土台を築く

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