ゲームは課金ではなく稼ぐ時代に。ブロックチェーンとゲームの融合は新たな経済圏の創出になるか

ゲームは課金ではなく稼ぐ時代に。ブロックチェーンとゲームの融合は新たな経済圏の創出になるか

SeventyFour / PIXTA(ピクスタ)

 男子小学生が将来つきたい職業の最新調査で、「YouTuberなどのネット配信者」が、ついに1位となりました。数年前から、ネット配信により収入を得て生計を立てる人が出現していましたが、今度は、ゲームで遊んでお金を獲得できるPlayMining(プレイマイニング)というプラットフォームが現れたのです。

◆カードオークションを収入に

 今回は、このプラットフォームを運営するDigital Entertainment Asset Pte.Ltd(以下、DEA社)の共同代表であり、以前はグローバルコンサルティングファームの日本法人代表を務めた椎名茂氏に、本連載「分解スキル反復演習が人生を変える」でお馴染みの山口博氏が迫ります。

山口博氏(以下、山口):「ゲームで遊んで課金されるのではなく、その逆で、ユーザーがゲームで遊んでお金を獲得できるとは、私は耳を疑いました。DEA社が運営するPlayMiningとは、どのような仕組みなのでしょうか」

椎名茂氏(以下、椎名):「山口さん、思い出してみてください。子供の頃、夢中になってモンスターを倒してお金やより強い装備を手に入れたあの日々を。電源を切ってしまったら手の中には何も残っていないあの寂しさを。そして誰しも一度はこう思ったことがあるはずです。『もしもゲームで豊かになった分、現実でも豊かになったらなあ……』と」

山口:「そんなことが、もし実現できれば、すばらしいですよね」

椎名:「そんな 『もしも』 を現実にしていきます。今までのゲームは、お金を払って楽しさを買うためのものでした。しかし、ブロックチェーンを基盤とした、デジタルアートやデジタルエンターテイメントコンテンツの総合プラットフォームを提供することで、その常識を根底から覆します。ゲームは『楽しさをお金で買うもの』ではなく、『楽しんで稼ぐもの』に変わるのです。それが実現できるのが我々のプラットフォームです」

山口:「具体的には、どのようなイメージになるのでしょうか」

椎名:「非常に簡単にプラットフォーム『PlayMining』を説明すると、以下のようになります。

 PlayMining経済圏では、ユーザーは、まずゲームで遊ぶことでコインを稼いでいきます。稼いだコインを使ってオークションでほしいデジタルカードを購入します。購入したカードはゲーム内でさらに強いカードとして使えるようになります。

 またオークションで購入したカードは、カードの希少性に応じて相場が作られ、価格が変動します。安いときに購入し、高いときに販売することで差額益が生まれることになります。さらに溜まったコインはOKEx等のDEAPcoinが上場している暗号資産取引所で他の通貨と換金することが可能です。まさにゲームが『楽しんで稼ぐもの』になる瞬間です」

山口:「なるほど、カードのオークションによって収入を得る仕組みなのですね。ゲームユーザーは、課金だけされることに疲弊していると思います。一気にユーザーが拡大するのではないでしょうか」

椎名:「この『楽しんで稼ぐ』プラットフォームとして、PlayMining経済圏を構築し、まず最初にデジタルアートオークションを開設しました。このサイトで、ユーザーはデジタルアートを購入できるようになり、自分が保有するアートをオークションにかけることが可能になりました。この経済圏で使われる通貨がDEAPcoinです。すでにこのDEAPcoinは4月8日に世界最大手の暗号資産取引所の一つであるOKExに上場しています。

 そして5月末にPlayMiningにおけるゲームの第一弾としてJobTribes(ジョブトライブス)がリリースされます。ゲームの第二弾は夏頃に、PlayMiningマンガサイトは秋頃にリリースする予定です。ゲームで遊んで、マンガを読んでユーザーはDEAPcoinを集めることができ、そのコインは暗号資産取引所にて換金できます」

山口:「まさに市場の創出ですね。市場規模については、どのような見通しをお持ちですか」

椎名:「DEAPcoinは、OKExを皮切りに、4月末に韓国系で最大級の暗号資産取引所『Bithumb Global』に、また5月20日に世界最大級の取引高を誇る米系暗号資産取引所 『BITTREX GLOBAL』に上場しています。これによりDEAPcoinがますます世界中の人に使われるようになってきています。

 実際にゲームで遊ぶこと、またマンガを読むことでコインが入手でき、かつ集めたコインはオークションで使える、というのは今までとは参加するモチベーションが全く違ってくるはずなので、ユーザー数は確実にそして劇的に増えていくと思います。3年後にはユーザー数1億人の達成を目指しています」

山口:「巨大な経済圏が創出されるということですね、世の中を劇的に変革させるのではないかとワクワクします」

◆ゲームが教育や就業にも影響

椎名:「ゲームで遊んで稼げるとなると、今までと真逆の世界が生まれることになります。今まではゲームで遊ぶ時間、つまり自分が自由に使える時間、いわゆる可処分時間を消費していたのが、これがある意味稼ぐ時間になるので、自由に使える可処分時間はかえって増えることになります。今まで親から『もうゲームはやめなさい!』と言われていた子供が『もっとゲームをして稼ぎなさい!』と言われるようになるかもしれません」

山口:「真逆の状態になるわけですね」

椎名:「さらに教育ゲームを作っていけば、稼ぐという違うモチベーションファクターが働くため、教育ゲームをすること、つまり勉強することが苦ではなくなるかもしれません。教育ゲームでどんどんスキルを上げ、実際に高収入の仕事に就職する、という日が来るかもしれません」

山口:「私はモチベーションファクターを牽引志向と調和志向に2つにわけて捉えています。日本のビジネスパーソンは、51.4%と48.6%と両志向にだいたい半々に分けれます。特に牽引志向の人のモチベーションを高めそうですね」

椎名:「PlayMining経済圏が確立することで、間違いなく今までとは違う世界が生まれてくると思います。YouTuberのようにPlayMiningで稼ぐ人たちをPlayMinerと呼んでいるのですが、このPlayMinerがどんどん増えていくことを願っています」

山口:「生き方そのもの変革が起きますね。エンターテイメント業界をはじめ、関連業界へのインパクトも、もちろん大きいと思います」

椎名:「プラットフォームは他社にも開放しています。PlayMiningにゲームやマンガを載せることで一緒にDEAPcoinを動かし、ともに成長していけるモデルと考えています。すでにいくつかの企業と具体的な提携交渉に入っており、他社のゲームでも遊べるようになります。いろいろなゲームやコンテンツが追加することで、ユーザーも増え、PlayMining経済圏も拡大していきます。一緒にWin-Winの関係が築き上げられるものと信じています」

山口:「昨年、DEA社は、『日本の給料&職業図鑑』(宝島社)の出版権やゲーム化を獲得されていますね。『職業図鑑』は、日本で40万部を売り上げた人気書籍です」

椎名:「『日本の給料&職業図鑑』は、仕事をカッコいいキャラクターに表現し、わかりやすく解説した書籍です。今回はとくにこのキャラクターが受けたのではないかと考えており、最新版ではキャラクターの追加と、さらにこのキャラクターデザインを著名な漫画家の先生にもお願いしています。このキャラクターたちがゲームの中で対戦していく、アイドルが相撲レスラーをやっつける、といったことが起こります」

山口:「おもしろいですね」

椎名:「コンテンツの第二弾として、『ワールドフラッグス世界196か国完全データ図鑑』(宝島社)もあります。JobTribesは職業を擬人化したキャラクターが集まっていますが、ワールドフラッグスは国旗を擬人化しています。しかも全員侍風のキャラクターです。

 昨年の夏頃、1500万フォロワーを持つサイトに紹介されたことをきっかけに、世界中で話題になりました。こちらは、まだまだキャラクター数が少ないので、随時キャラクターの追加を行っているところです。また近々ゲーム化することも予定しています」

◆グローバル市場を狙う心がまえ

山口:「DEA社が世界を変える担い手の役割を果たしているのですね。読者が、革新的な発想を持ち続け、グローバルな進歩に貢献していくために、必要なことは何でしょうか」

椎名:「一番重要なのは、『世界を変えよう!』という熱量なんだと思います。革新的は発想なんてそうそう思いつくものではないです。常に『どうしたら変えていけるんだろう?』と考え続ける強い意志、そしてその思いを熱量を持って相手に伝えることが重要なんだと思います。我々のプラットフォームも簡単に作り上げたわけではなく、二転三転、いやいや百転くらいはひっくり返しながらここまで来ています」

山口:「熱量を高めるために、自分のモチベーションファクターを知ることは重要だと思います」

椎名:「そして最初から世界を狙う。日本で立ち上げてから世界となると、どうしても思考回路がドメスティックになってしまいます。世界を狙うなら、最初から世界を相手にしたビジネスプランで攻めていくことが重要かと思います。

 あとは仲間ですね。一緒に戦える仲間がいること、これは強い意志を持ち続けるための必須条件かもしれません。やはり一人で全部をやり続けることは出来ない、仲間と一緒ならば苦労は半分、楽しみは2倍です。

 私も人生いろいろな経験してきた方だと思いますが、とっても大変ですが、今が一番充実して楽しい時間です。もっともスタートアップですから日々いろいろな事件が勃発します。それをひとつひとつ乗り越えていく。本当に毎日痺れるような緊張感を味わっていますが、とにかく前へと突き進む、これが醍醐味なんだと思います」

◆大小の局面で同時に繰り出す

<対談を終えて>

 椎名さんはAI専門家しても知られるが、研究者時代、スタンフォード大学に在学中でのちにYahoo!を創設するデビット・ファイロと、机を並べていたこともあるという。最初から世界を狙うという発想は、そこから生まれているように私には思える。小さなことでも気になることはその場で自ら検索する椎名さんは、グローバルな大局と、細事を自らアクションすることを厭わない小局を、同時に繰り出せる実践者なのだ。(モチベーションファクター株式会社・山口博)

椎名茂●プライスウォーターハウスクーパース代表取締役社長、KPMGコンサルティング代表取締役副社長を歴任後、Digital Entertainment Asset Pte.LtdのCo-CEO。慶應義塾大学理工学部訪問教授, 日本障害者スキー連盟会長

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第191回】

<取材・文/山口博>

【山口博】

(やまぐち・ひろし)

モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある

関連記事(外部サイト)