初診料、お薬手帳…負担増に備える「医療費を節約するワザ」

初診料、お薬手帳…負担増に備える「医療費を節約するワザ」

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高齢化が進む日本で、将来的に避けることのできない医療費負担増の流れ。病院へのかかり方、薬のもらい方のちょっとした心がけで、いまからコストカットを習慣にしよう。

「医療費は、ちょっとした心がけや習慣で節約できます。病院の選び方、薬局の利用法など、基本的な知識をもっていれば、ムダな出費が抑えられるのです」

こう語るのは、医療費に詳しいファイナンシャルプランナーの小沢美奈子さん。

8月31日、厚生労働省が発表した’20年度の医療費総額は42.2兆円。医療費が日本の財政を圧迫する状況が続いている。

国はこの危機的状況から、75歳以上で収入などの条件を満たす人の医療費自己負担を、来年度中に1割から2割に引き上げることを決めた。だが、その効果は限定的ともいわれており、このままのペースで行けば、現役世代の保険料のさらなる引き上げは避けられないとも……。

近い将来を見据え、今のうちから医療費を減らすワザを身につけておくことが、必要不可欠な時代なのだ。そこで小沢さんに、医療費で損をしないための賢い節約ワザを教えてもらいました。まずは、病院編からスタート!

【ワザ1】かかりつけ医をつくる

「医療費の面で、病院選びはとても重要。まずは初診料の負担を軽減するために、かかりつけ医を見つけておくことをおすすめします」(小沢さん・以下同)

現在、医療機関を受診する際の初診料は、2,880円(3割負担の場合、860円)。再診料は730円(同220円)かかる。

「たとえば、最初に診てもらったお医者さんの診断が納得いかないということで別の病院で診てもらうと、また新たに初診料がかかります。ふだんからかかりつけの病院や診療所を1つ決めておけば、初診料のムダを軽減できます」

■かかりつけ医に紹介状を書いてもらう

【ワザ2】“いきなり大病院”は避ける

大きな病院のほうが安心だからなどという理由から、初診から大病院を受診すると、これが医療費の大幅な増加を招く。

「診療所などからの紹介状なしで、ベッド数200床以上の病院を受診する場合、初診料とは別に『選定療養費』という特別料金がかかります。初診では5,000円以上(歯科は3,000円以上)、再診では2,500円以上(歯科は1,500円以上)、それぞれの病院が定めた金額を支払わなければいけません」

ちなみに、この特別料金は健康保険適用外であるため、全額自己負担に。だが、この特別料金がかからないで済む方法がある。

「かかりつけ医に紹介状を書いてもらうのです。詳しい検査や高度な医療が必要なときは、かかりつけ医が大病院や専門医を紹介してくれます。紹介状を書いてもらうには、『診療情報提供料』と呼ばれる料金が2,500円(3割負担の場合、750円)かかりますが、この紹介状があれば大病院を受診する際に上乗せされる特別料金はかからないため、かなりの節約となります」

【ワザ3】緊急時以外の時間外受診はやめる

「診療時間外に医療機関を受診すると、原則として通常の診療費用に加え、時間外加算が適用となり医療費が割り増しされます。時間外加算は『時間外』『休日』『深夜』の3種類。初診、再診によって加算額は異なります」

たとえば、「時間外」(平日6時〜8時、18時〜22時。土曜日6時〜8時、12時〜22時)では、初診が850円(3割負担の場合、260円)。再診が650円(同200円)。「休日」(日曜、祝日、年末年始)は、初診が2,500円(3割負担の場合、750円)、再診が1,900円(同570円)。

「深夜」(22時〜6時)は、初診が4,800円(3割負担の場合、1,440円)、再診が4,200円(同1,260円)も加算される。

「緊急時でなければ、できる限り診療時間内に受診しましょう」

【ワザ4】「限度額適用認定証」を事前申請

健康保険で医療費が3割負担になっても、手術や入院ともなると自己負担額は高額となる。このようなとき、経済的に大きな助けとなるのが「高額療養費制度」だ。

「この制度は1カ月に支払う自己負担額の上限を設け、一定の金額(自己負担限度額)を超えると、その超えた分が後から払い戻されるというもの。1カ月の限度額は年齢や所得によって異なります」

たとえば、69歳以下で年収約370万〜約770万円の人の限度額は、「8万100円+(医療費−26万7,000円)×1%」。仮に1カ月の医療費が100万円だった場合の自己負担限度額は、8万7,430円。3割負担で30万円かかることを考えると、かなりの節約となる。

ただし、一時的とはいえ、高額な費用を立て替えるのは負担が大きい。そこで、自己負担限度額を超える分を支払い時に立て替えなくても済む方法がある。それが「限度額適用認定証」だ。

「まとまった医療費を用意できない場合などを想定し、あらかじめ入手しておくと助かるのが、『限度額適用認定証』です。これはその人の所得水準を証明するもので、医療費の支払い時に健康保険証とともに病院の窓口へ提示すれば、窓口での支払いが高額療養費制度の自己負担限度額までで済みます」

この認定証は、加入している公的医療保険(国民健康保険など)に申請すれば発行してもらえる。

次はお薬の節約術を紹介!

■「お薬手帳」持参で1回あたり約40円お得!

【ワザ5】「お薬手帳」は必ず持参する

「薬局で薬を調剤してもらう際には、『薬剤服用歴管理指導料』がかかるのですが、お薬手帳を持参するとこの料金が安くなります。原則、3カ月以内に同じ薬局に再度処方せんを持参した場合、お薬手帳ありだと430円、なしだと570円かかるので、3割負担の場合、約40円安くなります」

【ワザ6】“薬の一包化”をやめる

「一包化」とは、薬の種類や数を間違えないために、複数の薬を1回分ずつまとめて袋に分けて入れるサービスのこと。

「1〜42日分までは7日分ごとに340円(3割負担の場合、100円)ずつ加算され、43日分以上は一律2,400円(同720円)となります。薬の飲み忘れや飲み誤りを防ぐための便利なサービスですが、自分で薬の種類や数を管理できる人は、一包化を断ることで薬代を安く抑えることができます」

【ワザ7】複数の処方せんは1つの薬局に集約

’20年度の調剤報酬改定で、同一患者から異なる医療機関の処方せんを1つの薬局が複数受け付けた場合、2枚目以降の調剤基本料を減額するという規定が新設された。

「たとえば、A病院とB病院の処方せんを1つの薬局に持っていった場合、これまでは調剤基本料(160〜420円)×2の算定でしたが、改定によって2枚目のB病院の調剤基本料は20%オフとなり、3割負担で10〜30円安くなります」

一つひとつはわずかでも、長期的に見ると大きな金額に。さらなる医療費負担増が訪れたときに慌てないよう、いまから実践しよう。

(注)3割負担の場合の金額は1の位を四捨五入して算出。

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