ふろの追い焚きが危ない!「レジオネラ菌」繁殖スポット7選

ふろの追い焚きが危ない!「レジオネラ菌」繁殖スポット7選

追い焚きでレジオネラ増殖も

ふろの追い焚きが危ない!「レジオネラ菌」繁殖スポット7選

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「レジオネラ属菌に感染すると、“レジオネラ肺炎”を引き起こす危険性があります。主な症状は、高熱、咳、呼吸困難、意識レベルの低下などで、最悪の場合、死に至るケースもある危ない感染症です」

そう語るのは、日本感染症学会専門医で、東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科の寺嶋毅教授。

2月24日、昭和天皇が宿泊されたこともある福岡県の高級老舗旅館「大丸別荘」の大浴場のお湯から、基準値の3千700倍のレジオネラ属菌が検出されていたことが発覚し、大きな波紋を呼んでいる。

レジオネラ属菌とは、自然界の河川、湖水、温泉、土壌などに生息する細菌。この細菌を吸い込むことで感染し、レジオネラ症(レジオネラ肺炎、ポンティアック熱など)を引き起こすのである。

国立感染症研究所のデータによると、この感染症の発症件数は年々増加している。また、感染者数の年齢は、40歳以上の割合が全体の95%以上。特に65歳以上の割合が全体の約65%を占めており、免疫力が低下した高齢者が感染しやすいことが指摘されている。

しかし、高齢者に限らず、喫煙者、糖尿病や肺疾患などの基礎疾患のある人も、レジオネラ肺炎に罹患するリスクは高く、注意が必要だ。

過去にも温泉等の入浴施設やスポーツジムなどで、集団感染したという事例はいくつもある。だが、レジオネラ属菌が繁殖して感染するリスクは、じつは私たちの身近な場所にも存在する。

「たとえば、自宅の浴室をはじめ、冬の時期に使用する加湿器。屋外では、豪雨後に道路や工事現場などにたまった“水たまり”といった場所でも、レジオネラ属菌を含んだ微細な水滴(エアロゾル)を吸い込んで、感染するリスクはあります」(寺嶋教授、以下同)

そこで、自宅内や自宅周辺で警戒すべき、7つの繁殖スポット&予防策を寺嶋教授にアドバイスしてもらった。

【公園の噴水】

常に水を循環させている噴水。短期的に水を抜いて洗浄していればいいが、一定期間加水だけで循環している場合、一般細菌や従属栄養細菌が増殖。その後、それらを補食するアメーバが増え、レジオネラ属菌も増殖している可能性が

【豪雨の後に長時間たまっている水】

豪雨による川の氾濫や洪水被害で、土壌にずっと泥水がたまった状態のときは注意したい。特に気温が高い夏場は、日中に水の温度が上昇し、菌が繁殖しやすい環境に。水滴(エアロゾル)が土ぼこりと共に飛散し、それを吸い込むと感染する恐れも。マスク着用が予防策に

【工事現場のビニールシートの上にたまった水】

雨の後にシート上にたまった水は土壌に浸透しないまま残る。日中、長時間たまった状態が続くと菌が増殖することも。空き地などで遊ぶ子どもたちが、水しぶきを上げたりしないよう、大人が注意喚起することが予防につながる

【エアコン】

湿ったフィルターや内部で発生した結露がたまると菌が繁殖する。さらに、排水ホースが詰まっていると菌の繁殖が加速し、吹き出し口から室内に拡散される可能性も。こまめにフィルターを掃除し、定期的にホースのチェックを!

【加湿器】

菌は60度で死滅するので、水を加熱して蒸気を発生させるタイプは感染するリスクは低い。しかし、気化式や超音波式の場合は、タンク内の水を頻繁に入れ替えないと、菌が繁殖する。毎日タンク内を洗浄し、水を取り替えること

【洗濯機(ふろの残り湯を使う場合)】

残り湯を使って翌日に洗濯する場合は要注意。浴槽内のお湯は、ぬめりなどが多く含まれた状態なので、菌が繁殖している可能性も。その残り湯を洗濯槽に注入している間に、エアロゾルを吸い込んでしまうことも。できるだけ水道水を使って洗濯すること

【ふろ(特に追い炊き式)】

体のあかがお湯に混じり、レジオネラ属菌の栄養源となる。追い焚き式の浴槽の場合、菌の発育適温(20~45度)状態が長時間続くので、ぬめりとなって菌が増殖する。エアロゾルを吸い込むことによって感染する可能性もあるので、入浴後は毎回必ずお湯を抜いて、浴槽内を洗い、毎日お湯を張り替える。定期的に追い焚き配管の洗浄も!

「特に注意していただきたいのは、追い焚き式のおふろです。前日に入れたお湯を捨てずに、翌日に追い焚きした場合、浴槽内にはぬめりが発生している可能性があります。レジオネラ属菌の発育適温は20~45度です。菌はそのぬめりの中で、微小なアメーバに寄生して増殖します。ふだんから衛生管理を行っていないと、配管内部にもぬめりが残りますから、入浴後は毎回必ずお湯を抜き、浴槽を洗浄してください」

レジオネラ肺炎のリスクを遠ざけるためにも、温泉等の入浴施設だけでなく、もっと身近な場所にも目を向けることが必要なのだ。

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