感染症防ぐ“大人の予防接種”…幼少時の注射効果は薄れるおそれ

感染症防ぐ“大人の予防接種”…幼少時の注射効果は薄れるおそれ

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年齢を重ねるごとに減る抗体。風疹は2年から12年で予防接種の効果が下がるそう。子どものころに受けたからといって油断してると、思わぬ感染症にかかるかもしれないーー。

「風疹や百日咳は子どもの病気だと思っていませんか。実は大人もかかるんです。原因は小さいころに打ったワクチンの効果が薄れることにあります」

こう話すのは、医療ガバナンス研究所の理事長で内科医の上昌広さん。小学生のころ、はんこ注射などの予防接種を受けた覚えのある人は多いだろう。でも、大人になってもう一度接種した人は少ないのではないだろうか。

「平均寿命がまだ短かった昭和の時代なら、子どものときだけでよかったかもしれませんが、長寿社会の現代では通用しません。年齢を重ねるごとに、帯状疱疹(水ぼうそう)や百日咳、破傷風の抗体は減少します。50代以降は感染症の種類によっては、予防接種を受けていない人もいて、より感染リスクは高い。だからこそ“大人の予防接種”が必要なのです」

そこで上先生に、50代以上こそワクチンを接種して予防したい感染症を教えてもらった。

■破傷風

細菌が体内に侵入して毒素をばらまくと、体がしびれたり、筋肉が硬直する破傷風。死亡率は30%で、重症化すると、背筋が極端にこわばり、背骨が折れることもある。

「米国と比べると日本の感染症は約10倍で、患者の大部分は55歳以上です。ワクチンは30年程度で効果が薄れるといわれている。また、’67年以前に生まれた人は定期接種制度がなかったため、免疫そのものを持たない人もいます」

破傷風菌は土の中にいる菌で、全国どこにでも存在する。

「菌は手や足の傷口から侵入します。ガーデニングが趣味の人は要注意。50歳以降は米国と同様に、10年ごとに予防接種を受けることをおすすめします」

■日本脳炎

感染しても発症するのはわずかだが、死亡率は20〜40%と高く、有効な治療法がない。国立感染症研究所の報告では30代後半から抗体保有率が急激に下がる。

「さらに注意したいのは、北海道出身者です。日本脳炎ウイルスは豚が持ち、蚊が媒介して人に感染しますが、その蚊が北海道には生息していないとの理由で、’15年度まで“予防接種の必要がない地域”とされ、子どもへの定期接種もありませんでした」

■肺炎球菌

「高齢者の場合、重症化すると死に至ります。とくに患者の70%以上を占める65歳以上の高齢者には、強く接種が求められています」

65歳以上は、成人用肺炎球菌ワクチンの定期接種対象者だ(公費負担、一部自費負担のケースも)。

「ところが’14年の調査で、65歳の接種率はわずか約40%です」

紹介した感染症の予防接種はすべて成人でも受けられる。しかし、肺炎球菌を除いて、費用は自己負担しなければならない。

「米国では成人も保険適用でほとんどのワクチンを接種できますが、日本はまだ、そこまで制度が充実していません。ただ、たとえばインフルエンザと3種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風)ワクチンを同時に打っても負担額は1万円程度。これで重篤な感染症を予防できると考えれば、高すぎるものではありません」

自分だけではなく、大切な家族への感染を防ぐためにも、予防接種を検討してみよう。

「女性自身」2020年2月18日号 掲載

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