「外で縛られ、どう過ごしてたのか…」多頭飼育崩壊現場から救出された猫のいま

猫好きな人はもちろん、そうじゃない人も、ぶっちゃけ近所のノラ猫に困ってる人も、みんなが幸せになれる、素晴らしい猫助けプロジェクトが来年2022年にスタートします。その仕掛け人、ネコリパブリック・河瀬麻花さんに詳細をお聞きしました。河瀬さんが救った猫ちゃんエピソードも! 

猫を助け、猫の手を借りて人も幸せになるプロジェクト


河瀬さんが多頭不適切飼育現場から救出した猫、ぶんちん。

「飼い主のいない猫の殺処分、多頭飼育崩壊、動物虐待などの問題は、もとを辿れば、人の問題であることがほとんどで、孤立、孤独、貧困、高齢化、近隣トラブルなどの社会問題を解決しなければ、根本解決はできません」と話すのは、現在6か所の保護猫カフェと、2か所の保護猫シェルターを運営する「ネコリパブリック」(以下、ネコリパ)代表の河瀬麻花さん。

これまでさまざまな保護猫活動を行ってきたが民間の力では限界があると感じ、この度、岐阜県飛騨市とタッグを組み、「猫の力で地域の社会問題を解決し、猫も救い、殺処分ゼロを目指す」事業を行うという。猫だけじゃない、人も幸せになる。これまでにない壮大な「SAVE THE CAT HIDAプロジェクト」への思いをお聞きしました。

ーー河瀬さんは数えきれないほどの猫を保護されてきました。なかでも印象深い出会いを教えてください。

ぶんちんという名前の猫がいます。とある会社の多頭不適切飼育現場からレスキューしました。そこは、猫の飼育の知識が足らず、猫たちを外で犬のように紐で縛って犬小屋のようなものを作って飼育していたんですね。総勢30匹弱の猫たちが、不衛生で過酷な環境のなか、長い年月飼われていました。

ぶんちんは、大雪が降る前に保護し、東京にあるネコリパのシェルターへ移しました。りんご猫(エイズウイルスキャリア)でした。とにかく人の膝の上にずーっとのっていたい、かなりの甘えん坊。外で縛られて暮らしていた頃は、いったいどんな想いで過ごしてきたんだろう…と不憫に思いました。

その頃、高齢の女性でひとり暮らしの方から応募がありました。保証人もしっかりされた方でしたので、ぶんちんとお見合いをし、無事に引き取ってもらうことに。ずっとおうちにいる方なので、ぶんちんは思う存分甘えることができます。

譲渡後は、毎日、おばあさんのお膝の上で過ごしているそうです。おばあさんも、ぶんちんが可愛くて仕方がない様子で、ぶんちんが生きがいとなり、逆に私たちに感謝をしてくださり、同じような保護猫を今後も救ってほしいと寄付をたくさんいただきました。

ぶんちんは、お膝の上が大好き。

人が猫を不幸にするのであれば、不幸になった猫を責任をもって幸せにする義務が人にはあると思うのと同時に、このケースのように、猫との生活は高齢者の方にとって、生きがいとなり、認知症などの予防にもなり、生きがい事業、予防医療にもつながると考えています。猫を救うことで、人にもプラスの力が働く。今回の事業で、人と猫が幸せに暮らせる社会づくりを目指したいと思っています。

ーー猫と高齢者をつなげることが社会問題の解決策になり得るということですね。また、譲渡したその先のことも見据えているそうですが。

例えば、先述したようなご高齢の方が飼育をする場合、猫よりも先に亡くなられるということはどうしても起こると思います。今回の事業は、そういったことも踏まえて、ネコリパが所有権を持ったままで、預かりをしていただき、私たちはその預かっている猫を見守りながら、高齢者の生活サポートもして、費用をいただくというビジネスモデルを作ろうと思っています。

ーーでは、その残された猫の行先はどうなるのでしょうか。

万が一のことが起きた場合は、シェルターやホスピスで猫を受け入れます。シェルターとは、保護直後の検疫の場であり、また保健所に持ち込まれた猫たちや飼い猫で飼育放棄された子たちを受け入れる場所でもあります。ホスピスは、治療をしても治らない子たちの緩和ケアを行う施設ですね。

残された猫は、いったんどちらかで保護しますが、基本的には、シェルター、ホスピスの生活が猫にとって幸せだとは考えておらず、家族として迎えてもらえる可能性がある子は、再び譲渡や預かりに出していきます。また、新たな取り組みで、猫に残せる保険なども活用していく予定です。

ーーTNR活動(飼い主のいない猫を捕獲し、避妊や去勢手術を行い、もとの場所に戻す、または譲渡会に出す)は、不幸な猫を増やさない、ということにつながりますが、もとの場所に戻された猫による糞尿やアレルギーなどで困っている方々もたくさんいます。でも、この事業では飼い主が見つかるまで、河瀬さんたちが猫たちを見守るということを徹底されるんですね。 そうですね。まず、猫の保護活動、多頭飼育崩壊、動物虐待などの問題の事前把握のために行う国勢調査ならぬ「猫勢調査」を行ったうえで、受け皿を作り、蛇口をしめ、出口の機会を設ける。そしてこれらを継続する。この4つの活動が重要だと考えています。受け皿とは、猫のシェルターやホスピスなどの保護施設。蛇口は、不妊や去勢手術でこれ以上不幸な猫を増やさないこと。出口は、譲渡の場や機会を指します。

ネコリパが行っている譲渡会の様子。

これらを同時に行うことが不幸な猫を減らし、人と猫が幸せに暮らせる社会を実現させる唯一の方法だと思っています。そして継続させるために、ビジネスとして収益をあげるモデルを作ることが目標です。

ーー他にはない点では、そのプロジェクト資金を集める方法もユニークだとか。

はい、ふるさと納税でスタートアップの資金を集めているんです(2021年12月31まで)。こちらで集まったお金を予算とし、来年2022年4月以降に飛騨市より、ネコリパに補助金が支給され、その補助金をもとにプロジェクトをスタートさせる形です。現在あるネコリパの保護猫シェルターとは別に、飛騨市に空き家等を活用した保護猫シェルター、ホスピスを今後設立する予定です。

ソーシャルビジネスとして、猫の問題と社会問題を同時に解決するという画期的な取り組みが成功すれば、この形を日本全国へ広げることができると思っています。

ーーふるさと納税なら、正直なところ、返礼品も期待してしまいます。

もちろん期待してください(笑)。飛騨市の魅力が伝わるようなラーメン堪能セットやチーズやヨーグルトの詰め合わせ、飛騨牛なども用意しています。また、返礼品なしの寄付のみ(1000円〜)も受け付けています。

ーーでは、最後にメッセージをお願いします。

たくさんの猫たちをレスキューし、家族へつなげる活動を通して、譲渡不的確な猫などいないな…と心から感じています。どんなに人慣れしていない凶暴な猫でも、ある日突然、人を信頼し、甘えん坊な子に変わる姿を何度も見てきました。また、足がない、片目がない、下半身不随などハンデを背負った猫たちでも、その猫たちとのふれあいの場を作ることで、必ずその子たちを迎えたいという方が現れます。

どんな猫も等しく幸せになる権利はある。その幸せを作り出せるのは、本当に意義あることだと感じています。加えて、猫を通してさまざまな社会問題を解決できればと思っています。ぜひ、ふるさと納税で応援をお願い致します!

河瀬麻花さん保護猫カフェの運営をメインに、保護猫イベントや譲渡会を開催するなど猫の命を救う事業を全国で展開中の「ネコリパブリック」代表取締役。岐阜県飛騨市が新たに制定した「飛騨市ふるさと納税活用ソーシャルビジネス支援事業」を活用した、日本一の新しい猫助け事業「SAVE THE CAT HIDAプロジェクト」を2022年4月に立ち上げ予定。そのための資金をふるさと納税で受付中。

文・伊藤順子

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