安倍晋三「教科書に載りたい」症候群(4)トランプは「安倍ファースト」

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 さらに、安倍総理にとって思わぬ追い風になったのが、2月27、28日にベトナムで開催された第2回目の米朝首脳会談だった。

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(35)は主要拠点にある核施設の廃棄と引き換えに経済制裁の解除を求めたが、アメリカのドナルド・トランプ大統領(72)は、全ての核兵器や施設の廃棄を制裁解除の条件に要求。結局、合意文書を発表できないまま事実上の決裂で幕を閉じた。

「最初は友好ムードに見えましたが、しだいに雲行きが怪しくなりました。北朝鮮は11件の経済制裁のうち5件の解除を主張し、それだけ制裁が厳しいことを認めたことになります。国内ではクーデター説が出るほど金正恩政権に反発があり、なんとか交渉をまとめたかった。それでも核を手放せないジレンマによって溝を埋めることができませんでした」(五味氏)

 雪解けムードから一転しての交渉決裂に、米国頼みの安倍総理も大いに落胆。米朝会談直前の2月20日の電話会談で、トランプ大統領に拉致問題の進展を託していたが、まったくのゼロ回答だった。

「日本政府はうまくいけば北朝鮮が同じテーブルに着くと見ていて、拉致問題を解決するため、お金を払う準備もしていたと聞きました。会談が始まった時、安倍総理は上機嫌だったのですが、会談の雰囲気が怪しくなると、口数が減ったそうです」(政治部デスク)

 だが、交渉決裂後に会談の内容が伝わってくると、安倍総理は一転してご満悦の様子だったという。

「トランプ大統領は初日の会談の冒頭に拉致問題を提起したんです。核より先に切り出され、面食らったのは正恩委員長。さらに夕食会でもトランプ大統領は拉致問題を取り上げました」(自民党関係者)

 トランプ大統領による「拉致問題ファースト」の姿勢はすぐに安倍総理にも伝えられ、様子が一変したのだ。

 だが、ここでも横ヤリを入れたのは「反日国家」韓国だった。民主平和党の代表がSNSで、「会談決裂の原因は日本の妨害工作にあった」という主張を展開し、それを中央日報が取り上げ、安倍総理批判に乗り出した。

「韓国の文在寅大統領(66)も米朝首脳会談前にトランプ大統領と電話会談をしていました。その時に『経済協力事業で必要なら韓国が負担する』と主張していましたが、首脳会談で韓国の話はほとんど出なかったそうです。自国の主張をトランプ大統領に言わせた安倍総理に対する嫉妬の表れだと思います」(五味氏)

 アメリカの庇護の下、ますます安倍総理の高笑いが聞こえてきそうだが、政権のアキレス腱になりそうなのが、夏の参院選挙だ。小林氏は言う。

「私だけに限らず各メディアや自民党の分析では、自民党の苦戦が予想されています。モリカケ問題や勤労統計の不正問題を乗り越えても、責任逃れを続ける姿勢を国民は見ている。政権選択選挙ではないので、長期政権で緩んでいる安倍政権にお灸を据える票が流れることも考えられ、逆風が吹いています。それを察知した自民党の二階俊博幹事長(80)は、この時期にしては珍しく、引き締めようと必死で東北行脚を始めました。参院選で負ければ安倍政権の求心力は一気に落ち、大口を叩いていられなくなるでしょう」

 選挙という逆風だけが唯一のアキレス腱と言われる安倍政権。ブレーキの壊れた暴走車が止まるのは意外と近いのかもしれない。

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