0円タクシーも出現!「配車アプリ」が収集する乗車データの利用法とは?

タクシー

 駅の乗り場で行列待ち、路上で手を上げるもぜんぜん通りかからず……。

 そんなよくあるタクシー待ちの光景も、特に若い世代にとっては過去のものとなりつつあるようだ。ある民間会社の調べでは、今年に入り首都圏在住20〜40代の若い世代で、スマホのタクシーの配車アプリ利用率が3割を超え、4年前に比べて倍となったという。

 これだけ利用が進んだのも、配車アプリという「IT化」の競争が激化しているからだ。目下、市場は、日本交通の「Japan Taxi」(全国)、DeNAの「MOV」、米ウーバー・テクノロジーズの「Uber」、ソフトバンクと中国系企業の「DiDi」、ソニーが出資する「S.RIDE」の5強がひしめきあい、しのぎを削る状況にあるのだ。

「もともとは日本交通のJapan Taxiのように業界内で自然発生的に始まったサービスだったんですが、2017年を境にIT業界からの参入が相次ぎました。DeNAが神奈川県タクシー協会と組んで2018年には東京にも進出しました。米ウーバーもライドシェアから配車アプリにサービスの中身を変えて兵庫県からスタートし、ソフトバンクのDiDiは大阪から、19年に入ってソニー出資のS.RIDEが東京エリアに絞ってサービスを開始と、18年を境に競争が激化したんです」(経済ジャーナリスト)

 とはいえ、競争は始まったばかり。各社・各サービスによって利点は異なる。

「Japan Taxiの強みはなんといっても日本全国をカバーしていること。また唯一『配車予約』ができます。MOVは今のところ神奈川と東京、大阪、京都で使えます。タクシー会社を選べるところが利点でしょうか。DiDiは大阪、東京、成田空港、京都、兵庫とエリアを拡大しています。東京都内であれば、送迎料金が無料というのは魅力です」(同前)

 IT企業の参入が相次いだ理由としては、世界的に広がるライドシェアの波があったようだ。ところが、タクシー業界の反発もあり、日本でのライドシェアの規制緩和も見込めない。そこで、業界と組んで配車アプリ事業に転換したのだという。まさにUberが取った方針転換がそうだ。

 そしてその狙いはやはり、「ビッグデータ」の活用にあるようだ。

「逆に言えば、タクシーはデータの集まる『センシング(計測)カー』と見ることもできるわけです。AIを駆使して配車までの時間を最小化できますし、イベントのあるなしや天候によって人の動きがどう変わるかを図ることもできます。また、レストランの予約と送迎や通勤通学、デリバリーなど、周辺のビジネスと組み合わせた展開も可能になるでしょう」(同前)

 DiDiの場合、ソフトバンクの自動運転のSBドライブでのデータ活用や、トヨタ自動車と合弁で設立した新しい移動サービスのモネ・テクノロジーズとの協業のビジョンも窺える。Japan Taxiでも、データを活用する部署を設置して、様々な事業分野に生かそうとしているという。

「MOVでは昨年末に日清食品と組んで『0円タクシー』なるものを走らせました。日清食品の『どん兵衛』のラッピングをしたタクシーを走らせ、タクシー自体を広告とすることで乗車料をタダにするという実験です。こういった、IT企業だからこそできる新たな取り組みに期待したいですね」(同前)

 その後MOVでは、一時的に地域限定でやはり無料サービスを提供したことがあるが、それはあくまでキャンペーンとしてのもの。第1弾の0円タクシーに続く第2・第3段のプロジェクトに期待だが、今のところカミングスーンのようだ。

(猫間滋)

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