麻生太郎「火だるま失言録」を緊急召集する(1)二度にわたる「ナチス発言」

麻生太郎

 朝は希望を持って目覚め、昼は懸命に働き、夜は感謝とともに眠る─。こんな「麻生節」で喝采を浴びたコワモテ大臣。だが彼の失言によって心傷つき、眠れぬ夜を過ごした国民はゴマンといるはずだ。20日からの通常国会で「IR汚職」への追及が始まる中、けしからん「火だるま失言録」を緊急召集した。

「2000年の長きにわたって一つの言葉、一つの民族、一つの王朝が続いているなんていう国はここしかない」

 麻生太郎副総理兼財務相(79)が、地元福岡県内でこう述べたのは1月13日。この発言がメディアで取り上げられるや、各所から批判の声が相次いだ。地元記者が解説する。

「政府は、昨年5月にアイヌ民族を先住民族と明記する『アイヌ民族支援法』を施行したばかり。そこで示された『日本が単一民族国家ではない』という政策方針と麻生氏の発言に矛盾が生じているのです」

 批判をかわすためか、翌14日の閣議後の記者会見で麻生氏は「誤解が生じているなら、おわびの上、訂正する」と謝罪。早急な火消しに走ったが、関係各所の憤怒の炎はなかなか鎮火しない。

「アイヌ関係者や野党からは『論外だ』と麻生氏に反発する声が上がっています。同じ党内でありながら、石破茂元幹事長も『我が国の方針とは異なる』と批判のコメントを出しており、党の内外からヒンシュクを買う形になっている」(地元記者)

 アイヌ民族を軽視した軽率すぎる発言で猛バッシングにさらされた麻生氏。だが、この舌禍事件には予兆があった。

 福岡県直方市の成人式に来賓として出席した麻生氏は、新成人に向けてのあいさつで、

「皆さん方、もし今後、万引きでパクられたら名前が出る。それが20歳。少年院じゃ済まねえぞ」

 と、おなじみの「麻生節」を披露。本来、成人式の祝辞といえば、将来の夢を膨らませる希望に満ちたエールを贈るものだが‥‥。

「来賓あいさつをした直方市は、過去に炭鉱だった土地柄のせいか気性の荒い人が多いと言われる地域。麻生氏もそれを意識して、べらんめぇ口調で話すうちに、つい乱暴な言葉を選んでしまったのでしょう」(地元記者)

 そんな成人式のあいさつを麻生氏らしいと支持しつつも、国政報告会での発言には細心の言葉選びが必要だと釘をさすのは、政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏だ。

「問題になった国政報告会での発言については、成人式のあいさつとはまったく次元の違う話。彼は副総理という安倍内閣でナンバー2の立場にいます。選挙区での報告会なので、多少気が大きくなっていたのかもしれませんが、立場をわきまえた発言を心がけないといけません。今回のケースは、意図的に誰かをおとしめるようなものではなく、昔から続くアイヌの問題が頭からそっくりと抜け落ちていたために生じたのではないでしょうか」

 実は、遡ること05年にも麻生氏は同様の趣旨の発言をして北海道ウタリ協会(現・北海道アイヌ協会)から抗議を受けていた。

「九州国立博物館の開館記念式典での来賓祝辞の中で、『一文化、一文明、一民族、一言語の国は日本のほかにはない』と発言。当時、同博物館では、文化の多様性をテーマにした企画を展示しており、企画の根幹を揺るがしかねない麻生氏の発言に、多くの関係者が肝を冷やしたといいます」(全国紙政治部デスク)

 15年前のこととはいえ、同じ相手を二度も怒らせるとはまったく懲りていない様子。そんな麻生氏には、一度とがめられた問題発言を繰り返す「前科」があった。

 中でも最も問題視されたのが、一連の「ナチス発言」だ。17年に自身の派閥研修会の講演で放った言葉が、

「(政治は)結果が大事だ。何百万人殺したヒトラーは、やっぱりいくら動機が正しくてもダメだ」

 麻生氏は翌日に「不適切だった」と発言を撤回したが、国際問題に発展しかねない大事件となった。政治部デスクが解説する。

「ヒトラーの人種差別主義やユダヤ人排斥を肯定すると捉えられかねない発言だった。本人は『悪しき政治家の例として挙げた』と弁明しているが、政治家の心構えを説く場でヒトラーを引き合いに出すなど、言語道断。当時は野党だけでなく、国際世論からも厳しくとがめられていた。13年にも憲法改正を巡り、ナチスを引き合いに出して『あの手口に学んだらどうかね』と発言。自民党内からも大臣更迭論が噴出して痛い目にあっているはずなのに‥‥」

 ただ口が悪いだけの老害では済まされない。

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