あのカルト集団を徹底追跡(1)TOSHIが上納を続けたホームオブハート

TOSHI

 信じる者は救われる??。この言葉は「カルト教団」には当てはまらない。トンでもない教義を信じたばかりに財産を奪われ、金だけでなく命を失うこともある。そんな事件をかつて引き起こしたことで、看板をかけ替えた「異様な集団」は数多い。その正体を暴く!

「あの雑誌は信じないでください! 全部、デタラメです!」

98年、人気ロックバンド「X JAPAN」元ヴォーカルのTOSHI(現在はToshl)は、ワイドショーのカメラを前にこう言い放った。この年の「週刊現代」(9月19日号)が、TOSHIが自己啓発セミナーで洗脳されていると報道。本人や「レムリアアイランドレコード」のセミナー主宰者、MASAYA(倉渕透)氏らがワイドショーに生出演して反論する騒動に発展した。

 X JAPANはこの前年に、TOSHIの脱退により解散。以降、TOSHIはMASAYA作の曲を歌うソロ活動に入った。自己啓発セミナーとの関わりが人気バンド解散の原因になっていたことが、いっそう騒ぎを大きくしていく。

 その後、「レムリア」は「ホームオブハート(HOH)」に社名変更。拠点を都内から栃木県那須町に移してコアなメンバーが共同生活を始める。TOSHIは全国でドサ回りのライブを行い、売り上げをHOHに上納し続けた。ファンがHOHのセミナーにのめり込むケースや、TOSHIの求めに応じて金を集めた結果、詐欺罪で逮捕されるファンまでいた。

 その中で起こったのが、04年の児童虐待事件だ。施設内で子供が段ボールに入れられるなどして放置されていたことから、児童相談所が児童5人を保護。全国ニュースとなった。

 騒動のピークは10年にTOSHIがHOHからの脱会を宣言したこと。会見でHOHに10億円以上を貢いできたことなどを明かし、自己破産した。HOHやTOSHIは他の被害者たちとの間で複数の裁判を抱えていたが、これを受けて全てで和解が成立した。

 しかし、HOHやMASAYA氏は、名前を変えて現在も活動を続けている。

「TOSHIがいた頃は20人強のコアメンバーが那須で共同生活をしていました。現在は拠点を神戸に移して、おそらく十数名程度が拠点施設周辺に住んでいる形です」

 こう語るのは、被害者団体「MASAYA・MARTHこと倉渕透グループ問題を考える会」の関係者だ。MARTHとは、MASAYA氏が現在、名乗っている名前だ。ヒーリング音楽を作曲する一方、HOH時代から多数あった関連会社の名称を変えるなどして手広く事業を続けている。

「例えばヒーリングという会社では、足を乗せて使う数十万円の岩盤浴器具を漢方薬局などに売り込んでいます。店頭でそれを使う客にMARTHを紹介するといった勧誘が行われています。MARTHは現在もセミナーのようなことも行っています」(考える会関係者)

 HOHは、独自に開発予定のリゾート施設をうたった会員権ビジネスを行っていた。現在も屋久島に建設予定だとうたうリゾートやプライベートジェット、クルーザーなどの会員権も数百万円で販売している。TOSHIという広告塔を失っても、やっていることは今も変わらないのだ。

(ジャーナリスト・藤倉善郎)

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