塀の中にコロナが…裁判所「機能停止」で“獄中集団感染”の阿鼻叫喚

刑務所

 東京地裁・高裁・最高裁など、立川支部も含めた東京の裁判所は、4月8日から多くの裁判の期日を取り消し・延期し、当面は緊急事態宣言の効力が続く5月6日までは“半休状態”となった。

「同様の措置は宣言の対象地域である神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県でも取られています。ただ、この期間も新たな提訴や申し立ては受け付けます。また、債権の差し押さえといった民事保全事件、DVや人身保護・民事執行などの緊急性のあるもの、やはり倒産案件で緊急性のあるものはこれまで通り継続されます」(司法記者)

 今回のこの“半休”対応は、新型インフルエンザが蔓延した際の平成28年に策定された感染症対策などの緊急時の「業務継続計画」に基づくものだという。

 また同様に、司法の世界でも「緊急時の対応」になっているようで、破産事件を扱う東京地裁民事20部(破産再生部)は、「不急」な破産の申し立てを控えるように東京の3弁護士会に要請したという。

「東京商工リサーチによれば、3月の新型コロナウイルス関連倒産は51件(4月10日現在)で、宿泊業や飲食業で多発しています。今後、特にこれらの業種では倒産が増えるでしょう。もともと体力がない中小零細企業は、国の早急な支援があれば事業継続の見通しが立ったかもしれない。このコロナショックの出口がなかなか見えないために、早々に事業継続を諦めてしまう『あきらめ倒産』の件数が増えてくるでしょう」(前出・司法記者)

「不急」か否かは中身次第なのだろうが、東京地裁の要請は、こうした「あきらめ倒産」の増加を見越してのことか。なお、破産申し立ての受理は行うが、破産開始決定など次の手続きへの移行は宣言の解除を待ってからになる。

 裁判所が「機能停止」に陥ることで迷惑を被るのは、刑事事件で勾留中の被告人だ。裁判が先延ばしになるということは、必然的に勾留期間も長くなるからだ。

「裁判の結果、有罪となれば未決勾留期間は刑期に参入され、罰金刑の場合は金額が考慮されます。一番問題なのは、結果、無罪の場合です。1日あたり1000円〜1万2500円の補償金が得られますが、それも無罪確定から3年以内に自ら請求しなければいけません。補償が不服なら国家賠償請求訴訟を起こすしかありませんが、時間がかかるうえに勝つのはとんでもなく困難です」(前出・司法記者)

 本来、裁判所にまでかかる案件は当事者にとっては「不要」でも「不急」でもないはずだが、このコロナ禍では法廷闘争も“一時停戦”やむなし、ということらしい。

 4月11日には東京葛飾区の東京拘置所で60代男性の新型コロナ感染が確認された。外部と遮断された拘置所や刑務所は「3密」にあたり、“シャバ”とは比較にならないほどの集団感染の危険性が指摘されている。拘留中の被告人にとって、裁判の先延ばしは生死に関わる大問題だ。“塀の中”から「早くしろ!」と大ブーイングが聞こえてきそうだ。

(猫間滋)

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