「日本医師会」会長選挙で“安倍派”が落選!日本の医療制度はどう変わる?

安倍晋三

 全国的に新型コロナウイルスの感染者が増加して第2波到来かと懸念されるこの時期、テレビで医療専門家の顔を見ない日はないが、最近、日本医師会のトップの顔が変わった。普段は気にすることはほぼ皆無だが、それでもコロナ禍で露出が多かったのでそんな変化に気づいた人も中にはいたかもしれない。

 日本医師会は2年に1度会長選挙が行われるが、「こんな時に!」という周囲の声をよそに、6月1日公示、6月27日投開票で激しい会長選挙がガッツリと行われていたのだ。

 少し前までテレビでその顔を見せていた現職は横倉義武氏、2012年から4期8年にわたって会長を務めてきた。対するは横倉氏の「右腕」を自認する中川俊男氏、副会長を10年務め、会長就任は悲願だった。そんな“身内”の両者が争ったことで選挙戦はドロ沼化した。

「横倉さんは地元九州を中心に西日本の票を固めて、一方の中川さんは地元北海道を中心に東日本を固めてと、まるで天下分け目の東西対立の様相を呈しました。もともと横倉さんは今度の改選を機に中川さんに禅譲、勇退すると見られていたので選挙は出遅れていた。そこで、中川陣営を切り崩して巻き返しを図るために『3密』を避けて控えていた東京事務所を開設したり、安倍首相や二階自民党幹事長も一役買う形で永田町も巻き込んで、怪文書さえが飛ぶなど激しい選挙戦となりました」(社会部記者)

 さてその結果は、191対174票とわずか17票差で中川氏が勝利した。世間から白い目で見られた選挙戦の結果はともかく、ラグビーで言う「ノーサイド」でわだかまりなく改めて新たな体制でコロナ対策に……という流れのはずが、早くも周囲からは「先祖返り」との声が聞かれているという。

「横倉さんは安倍政権に近く、政権が進める全世代型社会保障などの改革案を受け入れてきました。一方で安倍政権は長期政権の弊害ばかりが言われてもはや長くは続かないでしょう。それもあって、中川さんは横倉路線からは明確に一線を画す姿勢を明確にしています」(医療に詳しいジャーナリスト)

 オンライン診療もその1つ。横倉氏はコロナ禍を受けてオンライン診療の初診を容認していたのだが、中川氏は慎重かつ否定的な意向を示している。

「理由は報酬の減額につながるからです。今後は人口分布の逆ピラミッド型の超高齢化社会が本格的に到来し、医療費が削減されて医療業界は大変な逆風にさらされることになります。そんな中、中川さんは医師会の業界利益を優先すると見られているのです」(前出・ジャーナリスト)

 選挙で生まれた医師会の「新しい生活様式」は、どうもオールド・ノーマルへの回帰を指すらしいのだ。

(猫間滋)

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