遺骨が中国で漢方薬に!? アフリカで横行する”ライオン大量虐殺”の深すぎる闇

ライオン

 中国では昔からトラの骨は「虎骨」と呼ばれ、リウマチや関節炎の改善、また滋養強壮の漢方薬として貴重とされてきたが、コロナ禍の影響もあり、「免疫力をあげる良薬」として今、トラの骨を酒に浸した「虎骨酒」が、富裕層の間で大人気なのだという。

 とはいえ、2007年のワシントン条約により、世界的に商業目的での取引は禁止されているため、むろん中国でもトラは絶滅危惧種として捕獲禁止とされている。

 そこで、ライオンの遺骨を「虎骨」と偽って、中国に販売する輸入ビジネスが今、南アフリカなどで拡大しているという。そんな衝撃的な記事が19日、香港のサウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙に掲載された。

 同紙によれば、今、南アフリカでは、あらかじめ薬物を投与したライオンなどをフェンスで囲んだ狭い敷地に放し、猟銃の標的とする「キャンド・ハンティング」が一大産業となり、加えて、骨を抜き取り輸出する目的でライオンを捕獲・飼育し、狩猟家に銃殺させる「ライオン牧場」なるビジネスが盛況なのだとか。

《彼らはトラの骨と偽ったライオンの骨を、中国や東南アジアの漢方薬市場で販売している。こうしたビジネスは、南アフリカの野生ライオンの個体数を脅かすまでに急拡大している。(中略)野生動物の取引を監視するNGO『トラフィック』の報告書によれば、ワシントン条約で野生トラの保護強化策が発効された翌年、南アフリカからアジア向けのライオンの骨の輸出量は6倍に跳ね上がった》(同紙より)というのだ。

 野生動物の保護に詳しいジャーナリストが語る。

「南アフリカでは現在、農場やサファリパークなど、少なくとも300以上の『ライオン農場』が存在すると言われ、その敷地内では狩猟家に射殺させる『キャンド・ハンティング』が日常的に行われていると聞いています。結果、年間1000頭を超えるライオンがこの狩猟法で殺害され、その骨が中国を中心に輸出に回されている……。しかも、近年はコロナの影響もあり、骨の需要が急増しているといいますからね。余りにも理不尽ですが、骨を抜き取るというだけの理由で、命を落とさなければならないライオンがさらに増えることは間違いないでしょうね」

 中国政府は2018年、サイの角とトラの骨について、医学研究や治療目的での使用を認める法改正を発表したが、それが骨を偽装するためのライオン射殺に拍車をかけることになった、とうのは前出のジャーナリストだ。

「中国では1993年、トラとサイについては、いずれも絶滅の危機にあるとして、サイの角とトラの骨をそれぞれ輸出入禁止にしていたんです。ところが、この年、国務院(内閣)が、農場で飼育された場合に限っては、医療目的の使用を認めると発表したんですね。で、角や骨の粉末は、国家中医薬管理局が認可した病院と医師だけが使用できるとしたのですが、とはいえ、需要に見合う絶対量が少ない。結果、トラと称するライオンの骨が市場に出回り、それがコロナ禍で、さらに拡大してしまった。国務院では違法な取引は厳しく取り締まると強調していますが、なにせワイロと癒着がまかり通るお国柄ですからね。状況が好転することは難しいと思いますね」

 ある動物愛護団体の調査によると、南アフリカのライオン牧場では1万〜1万2000頭のライオンが「死ぬのを待っている」状態だとされる。中国の漢方薬のために野生動物が“大量虐殺”されていく現実を、認識すべきかもしれない。

(灯倫太郎)

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